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サブプライムローン

社会

サブプライムローン

さぶぷらいむろーん

米国における「信用度の低い借り手への住宅ローン」のことをいう。

通称、サブプライム

2007年夏に金融市場を揺るがせたサブプライムパニックについて。

住宅ローン市場の混乱

この手のローンは、年利10%を超える高利の住宅ローンで、住宅価格が上昇し続けていない限り成立しない代物であり、2006年米住宅市場の軟化に伴って当然のように延滞率が上昇、同年秋以降一部住宅金融専門会社が経営不安に陥った。その後2007年に入って大手金融機関の決算内容が明らかになるとサブプライム関連資産不良債権化していることが広く認識され、サブプライムローンを担保とする低格付けのABS市場が混乱した。ただしこの時点では損害は償却可能な範囲であり、市場は楽観的であった。

2007年6月に米系証券会社ベアスターンズ傘下の投資顧問会社が運用するABSファンドでの損失発生に端を発してサブプライム関連に留まらないクレジット市場全体が急落する事態が起こった。10倍近いレバレッジをかけて、すなわちファンド投資している投資家の資金の10倍近い金額を借金して運用しているため、ファンド信用状態が悪化すると融資が受けられなくなり、借金を返すために資産の換金売りが行われる懸念があるからである。じっさいに金を貸していた金融機関からは「金を返せ」と言われて数千億円相当のABSが市中売却されかねなかったが、ベアスターンズ本体からの融資によって投げ売りそのものは回避された。それでもクレジット市場の動揺は続いた。

さらに翌7月大手格付け機関S&PとMoody'sが相次いでAAA格相当のABSの格下げの可能性を公表した。住宅ローンなどを組み込んだ証券化商品では、優先的に利払いや償還を受けられるトランシェをつくって最上級の格付けを受けられるようにしている。そうしたAAAABSはクレジット市場でも最も流動性が高く信用力の高い証券として、投資ガイドライン投資債券AAA格相当以上が義務づけられている投資家が買っていることが多い。そういう投資家にとって格下げは即売却を意味することになる。売り殺到でAAAABS市場は急落し、たちまちクレジット市場全体でパニック売りが襲った。

世界経済に与える影響

株式市場の活況を支える一翼であった投資ファンドの多くはクレジット市場からの資金調達によってレバレッジをかけている。例えば近年話題となっている大型買収を行うLBOファンドは、クレジット市場がパニック売りによって機能麻痺に陥るとたちまち大きなダメージを受けた。同時期にマーケットニュートラルヘッジファンドの多くに異常な損失が発生していたことも相俟って、株式市場に混乱が伝播して行った。

また、クレジット市場の混乱はABCP資産担保CP)を通じて短期市場に波及した。レバレッジのための資金調達が困難になった投資ファンドはポジションを縮小せざるをえず、限界まで膨張していたレバレッジの巻き戻しによりリスク商品全体が投げ売りされ世界同時株安となった。投資ファンド資産内容が劣化すると融資または投資している銀行の資産劣化が取りざたされ、銀行間で短期資金を融通し合うインターバンク市場までが混乱するに至って金融システムを揺るがす大問題となった。これにより、欧米系金融機関を筆頭に流動性の問題が表面化するのを防ぐために、中央銀行による緊急巨額な流動性供給が行われた。急激な信用収縮によるショックから一般事業会社を守るためにFRBは2007年8月17日緊急FOMCで異例な公定歩合引下げと貸出し期間の延長を発表している。

なお日本のゼロ金利政策+長期にわたる円安を利用した資金調達(いわゆる円キャリートレード)もレバレッジを膨らませる有力手段であったことから、レバレッジの巻き戻しは為替市場で急激な円買いを発生させた。