(独語:Weimarer Republik)
1919年に発足して1933年1月30日のナチス・ドイツ政権の誕生により事実上崩壊した戦間期ドイツの政治体制。
1919年8月に制定・公布されたヴァイマル憲法に基づいている。「ヴァイマル共和国」「ワイマール共和政」「ワイマール共和国」などとも訳される。なお日本の歴史教科書、学習漫画などではドイツ共和国の語も広く用いられている。
第一次世界大戦敗戦後のドイツ革命でドイツ社会民主党は革命の進展を阻止して、国民議会がヴェルサイユ条約を受諾して憲法を採択し、議会制民主主義の共和国を成立させた。対外的にはルール問題や大戦での戦争賠償金支払いに苦しみ、内政的にはカップ一揆や選挙での敗北、インフレや保守勢力の抵抗に苦しむ。グスタフ・シュトレーゼマンによる外交でロカルノ条約を締結させる。
小党濫立の機能麻痺に陥ったため危機を招き、フリードリヒ・エーベルト大統領のあとを継いだパウル・ヒンデンブルク政権では不信が進み、大恐慌となると大統領制となり、ナチ党の台頭をもたらすこととなった。
経済的にはハイパーインフレに見舞われ、政治的には極右、極左によるテロが横行したが、文化面は非常に高度な発展を遂げた。
文学作品としては、トーマス・マン『魔の山』、ヘルマン・ヘッセ『デミアン』、ベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』などがある。
映画作品では、ロベルト・ヴィーネ監督『カリガリ博士』、フリッツ・ラング監督『ドクトル・マブゼ』『メトロポリス』などが撮られた。
また、思想家、哲学者としては、マルティン・ハイデガー、ハンナ・アーレント、ジークムント・フロイト、ヴァルター・ベンヤミンなどが代表的著作を残している。
ヴァイマル共和政におけるドイツの正式な国号は、社会民主党らが提案し、後に日本を始め他国の言語での翻訳でも実際多く用いられたドイツ共和国が拒否されたため、ドイツ帝国の正式な国号である Deutsches Reich(ドイツ国)が用いられた。そのため、この時代をドイツ国の帝政時代終焉後の共和政時代とも表現できる。首都も帝政期と同じくベルリンであり、ヴァイマルが首都であったわけではない。