戦後、日本が占領下にあった時、検閲官という職業があった。大卒公務員初任給が300円であった時、月給は700円であった。能力が高ければ高給を与えられる。9000円以上になる者もいた。何を仕事ととしたのか? 通信検閲、つまり手紙や電報、電話を盗み取ること。戦後四年間で郵便二億通、電報一億三千六百万通開封し、電話は八十万回盗聴した。本書は、主に郵便検閲に携わった人々からの聞き取りを基にしている。元検閲官に接触したり、自費出版書や同窓会誌などを丹念に当たって個々の証言をまとめたのがこの本だ。 本書によれば、1949/10/31の解散時には、全国で5,359人の日本人が働いており、通期での総人数は1万と…