酉島伝法氏の奏で手のヌフレツンを読んだ。ちょっと形容しがたい作品だ。我々とは似て非なる世界が舞台のSFなのだが、単に世界というより違う宇宙の物語ととらえた方がいいのかもしれない。我々が知っているような原理はこの宇宙には適応できないような気がするのだ。しかも作者はこの宇宙のことに関してあまり事細かには説明しない。そのために、読んでいて異なる宇宙の物語を日本語に翻訳したような感じがした。序では太陽が終末期を迎え蝕になり、だんだん膨張していくのを、多くの奏で手達が楽器と思しきもので音楽を演奏しててなんとか食い止めているのだろうと想像させるような場面から始まる。だが、この時点では読者には何が起きている…
著者:酉島伝法出版社:早川書房 クセが強すぎる短編集のため1日1話ペースで読む。 既読は「環刑鋼」のみ。やはり面白い。けどグロい。 他の作品も読めるチャンスとばかりチャレンジするも 独自の造語や漢字に四苦八苦。 各話の扉にあるイラストと頼りに必死に追いかけ疲弊する。 各話を読み終える度に「著者による解題」を読み、 自分のイメージを補足してみても理解には届かず、 それでも慣れてくると雰囲気は伝わってくる。 そしてまたチャレンジしてみたいなと思わせるのはどういうことか。 そろそろ評価の高い長編にも触手を伸ばそうかとも思うが、 読み切れるかちょっと自信がない。 来年、チャレンジしてみるか? 【収録作…
酉島伝法のSF小説「宿借りの星」に登場する種蘇俱(種族)全40種*1の一覧です。 *1:「〇〇蘇俱」というように表記される種蘇俱のみを対象にしています。「砲戴様」や「ラバトトツバイ」、「ドロットラムレ」などは含めていません。 また、イドラッ蘇倶とイドラッ 蘇倶は実質同じ種蘇倶なので、正確には39種です
www.youtube.com たくみ部門候補作 #真相をお話しします 作者:結城真一郎 新潮社 Amazon 俺ではない炎上 作者:浅倉秋成 双葉社 Amazon 爆弾 作者:呉勝浩 講談社 Amazon あかりん部門候補作 まっとうな人生 作者:絲山秋子 河出書房新社 Amazon パパイヤ・ママイヤ 作者:乗代雄介 小学館 Amazon 旅書簡集 ゆきあってしあさって 作者:高山 羽根子,酉島 伝法,倉田 タカシ 東京創元社 Amazon
閨胞?搾門?隷重類?(けいぼう、さくもん、れいちょうるい、と読む)第二回創元SF短編賞を受賞した表題作「皆勤の徒」第一章の最初の一ページから、読む人は未知の言葉に出くわす。これは私が知らないだけで実在する言葉なのか、それとも作者による造語なのか? 気になって念のため辞書で検索してみたが(もちろん)ヒットしない。これらは著者、酉島伝法による造語であり、そして最初の一ページでこれなので想像がつくだろうが、著者による造語は三つでは終わらない。本編三八五ページ中に一つも造語が登場しないページが一ページでもあるだろうか、というほどの数の見知らぬ単語が読者を襲う。特にファンタジーやSFによく見られる、作者…
わたしの友人に活字潔癖症の人がいる。漢字の変換が氣になるそうだ。(←こういうののこと)真っ先に思いついたことを尋ねたら、「氣志團」は大丈夫らしい。「團」に打ち消しの効果があるからかな。これが「氣志団」だと、なんかデコレーションが中途半端だもんね。 そんな友人はブログや Facebook に「氣」の字を見たら怪しむそうなので、わたしも気をつけなければならない。 よくよく考えると、一般人がブログやSNSで長文を綴って思いを明かすようになるまで、元気を元氣と変換したい氣持ちは黙っていればわからなかった。それはカバンにぶら下がっているキーホルダーや手首に巻いているもの、待ち受け画面、飲み物などから察し…
www.shueisha.co.jp 集英社の別の書籍を購入した際、挟まっていた広告ペーパーに載っていた本。Kindleで購入して読んだ。 読み始めはよかったのだが、だんだん不穏なにおいがしてくる。 襖が開いていき、真弓が静かに和室に入ってきた。人との交わりを豊かにするチェック柄の寝間着姿だ。 ー『るん(笑)(集英社文庫)』酉島伝法著 https://a.co/amwKaZb 人との交わりを豊かにするチェック柄……? こういう小さい気持ち悪さが澱のように溜まって、じき「ああ、そういうことね」とわかる。気持ちよかった。いや、気持ちは悪いけど。 科学と迷信が逆転した世界が描かれているのだけど、科学…
友野リプレイの思い出 NOVA「キャラ作りは2版ですが、最近、初版のこれを読み直しているんです」 破壊の剣 ウォーハンマーRPGリプレイ(1) 作者:友野 詳 社会思想社 Amazon プラーグの妖術師: ウォーハンマーRPGリプレイ2 (現代教養文庫 1410) 作者:友野 詳 社会思想社 Amazon ヒノキ「うむ、それで?」 NOVA「改めて読み直すと、ドワーフのナイが初版のメイン翻訳家の高山浩さんかな、と思うんですが」 ヒノキ「確か、角川から出た文庫版ロードスRPGのデザイナーじゃったな」 NOVA「シンプルなルールのロードス島コンパニオンから、スキルがいっぱいの緻密なロードスRPGに…
https://www.tumblr.com/espio999/179707154623/%E7%A7%81%E3%81%8C%E6%80%9D%E3%81%86%E6%9C%80%E9%AB%98%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%81%B5espio999.tumblr.com Scraping access from Singapore ベンチマーク 指数 海外 中国、インド、ブラジル 個別 PKSHA 楽天 任天堂 NTT 日本ロジスティクス デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章 訃報 - 山本弘
ゴールデン・ギズモ作者:ジム・トンプスン文遊社Amazon本屋で積んであるのを手に取って、冒頭部分に撃ち抜かれて、酉島伝法の解説をちらっと読んで、即買った本です。とても好みだった。 トディが顎のない男としゃべる犬に出会ったのは、あがり時間まぎわのことだった。午後三時になろうとするころだ。(P.3) 主人公のトディは家々を回って、物置だの屋根裏だのにしまい込まれている古い装飾品などの金目のものを買い取るのを生業にしている。善良な市民とは言い難く、これまでの仕事でやらかしたあれこれによって、いくつかの州ではお尋ね者になっている。買い取ったものは仲買人のところに持って行く。仲買人は気のいい小男で、ト…
ウルトラマンブレーザー〔TV〕最終回 戦闘妖精雪風(神林長平)〔SFマガジン2月号〕第五部第十一回 対抗と結託 スペースダンディ〔TV〕ep.4 ゾンビ 水曜だけど土曜の番組〔TVer、RKK〕1月31日 草野、自分で作った門松を燃やす旅、まさやんが自分で作って握る俺の上握り 魔女と野獣〔TV〕ep.4 死霊使い 勇気爆発バーンブレイバーン〔TV〕ep.3 ダンジョン飯〔TV〕ep.5 宝石虫、ソルベ ヴェルト(吉上亮)〔SFマガジン2月号〕第1部第4章 B2 ベルテックス静岡 対 熊本ヴォルターズ〔静岡県武道館〕2月3日、4日 岡部宿大旅籠柏屋 蓮華寺池公園 アニソンアカデミー〔NHJKFM…
2024年1月1日読書 なれのはて 加藤シゲアキ (講談社) 106p〜読了 2日読書 日本蒙昧前史 磯崎憲一郎 (文春文庫) 40p〜60p 怪と幽 vol.015(角川書店) 112p〜125p ふたりの果て/ハーフウェイ・ハウスの殺人 浦賀和宏 (祥伝社) 1p〜191p ナイトランド・クォータリーvol.24 ノマド×トライブ〜多世界における異質の再定義 (アトリエサード) 104p〜122p 紙魚の手帳 Vol.11 (東京創元社) 154p〜169p 3日読書 ふたりの果て/ハーフウェイ・ハウスの殺人 浦賀和宏 (祥伝社) 192p〜読了 紙魚の手帳 Vol.11 (東京創元社) …
いつからかくしゃみをすると喉が痛くなるようになった。くしゃみをした後すぐにお茶を飲まないと、風邪をひいたときみたいに喉に焼けるような痛みが残る、その理由が知りたくて下のYahoo!知恵袋にたどり着いた。 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp 回答者の「鼻でくしゃみをする様に意識してみてはどうでしょう。」を読んで、『鼻で?』と思う。くしゃみなんて口から出るもんじゃないの? 鼻でするってどうやって?と戸惑いながらも、物は試しで次にくしゃみをするときはどうにか鼻でやってみることにしよう、そう心に決めたはいいもののくしゃみは突発的にやって来るもんだから、いざそのときを迎えると鼻で…
著者:グレッグ・ベア翻訳:酒井昭伸(鏖戦 オウセン)/小野田和子(凍月 イテヅキ)出版社:早川書房 2022年に逝去したグレッグ・ベアの追悼として「鏖戦」「凍月」の中編2編収録。 「鏖戦」は異星種族間の長い闘いをそれぞれの視点から描くが、 独特の漢字表現は酉島伝法を思わせ翻訳者の技量とともに慄く。 原作がどのように書かれたのか興味深いがやはり翻訳者のセンスが凄くないか? 最近苦労しながら読んだ酉島伝法のおかげでワリと読み易く感じたが ハードでキレがあり、難解でもあるSF作品だった。 とても約40年前の作品とは思えない。 「凍月」は月を舞台とした作品。 地球から死んだ人間の頭部だけ冷凍状態で41…
幻視の起爆力をそなえた唯一無二の作家、残雪。この短文では主にその評価の変容について、限られた知識しか持たない筆者なりに追ってみたい。 ・ふたつの世紀をまたいで 日本で『蒼老たる浮雲』の単行本が河出書房新社から刊行されたのは1989年。1980~90年代において、一般の読書子の間で残雪の知名度は高かったとは決して言えないだろう。海外小説事情に精通している筆者の知人によると、残雪は中国での評価よりも欧米での評価が早かったという。多数の残雪作品の翻訳を手がけた故・近藤直子氏が作成した著作リスト*1をみると、確かにこのようにある。 1 1987年 黃泥街 圓神出版社 台湾2 1988年 天堂里的对话 …
folcaの通販はBASEやSTORES等を使っておらず、「通販しますよ」のお知らせが出たら「これください!」とメールで注文する方式である。 今回危うく見逃す所だった・・・やばし。 物販でCD買うぞ!という日に限って超絶頭痛等で行けなかったんで大変有難い。 (でも缶かんは買い損ねたね・・・泣)「Sci-Fire 2023」読んだ。 「ゲンロン大森望SF創作講座修了生有志が作るSF文芸同人誌」との事。野生のSF。 前から読んでみたかったがはてさて、今回1月分の売上を能登半島地震の義援金として寄付されるとの事で思い切って買った。 久しぶりにゴリッゴリのSF短篇集が読みたかったので丁度良かった。特集…
『短編宇宙』集英社文庫編集部編(集英社文庫) 宇宙をテーマにした文庫オリジナルのアンソロジー。 「南の十字に会いに行く」加納朋子(2017)★★★☆☆ ――今朝いきなり、「七星《ななせ》、南の島へ行くぞ。石垣島だよ」とパパが言った。「なんで急に?」「いいじゃん、二人っきりの父と娘がたまに旅行に行ったってさ」。飛行機では白髪頭の優しそうなおばあちゃんが隣の席だった。四十年以上会っていない友達に会いにきたという。ベルトコンベアの前で待っていると、黒服に黒い帽子、黒いサングラスに赤いネクタイをしたギャングみたいな男が間を割るようにして荷物を受け取り立ち去った。その後も行く先々にサングラス男がいた。観…
もうすでに年も明けていますが、2023年発売で読んで面白かった本についてを振り返ります。記憶力が悪いのと、年が終わろうが明けようが生活も気持ちも変わらないのでその年を振り返ることはあまりないのですが、なんとなく年末になるとその年の面白かった本だけは選んでいます(最大5冊ぐらいで選んでいます)。今年は夏頃がやたら時間がなくて読む量がガクンと減ってしまっていたのが寂しいところですが(特にフィクション作品)、その分ノンフィクション類は例年に比べて読んだなぁ、という印象の2023年でございました。 ・小説枠 パラニューク『インヴェンション・オブ・サウンド』は発売が今年の1月ぐらいだったと思いますが、相…
気になる展覧会やイベントのリスト◉訪済'240518−0529 ポストKawaii : ハイパーポップ2024|SUNABA ギャラリー|※斉藤P、縁海臍、吉田有花0518 すずめのティアーズ ワンマンコンサート|音凪0508−0708 わたしが難波橋のライオン像をつくりました!! なにわの彫刻家・天岡均一没後100年記念展|大阪歴史博物館0503−0505 春一番|服部緑地野外音楽堂0502−0715 辻愛造 風景・風俗・挿絵|西宮市大谷記念美術館0428 ひるねこぶたぬきコンサート|姫路城北側シロトピア記念公園野外ステージ|※井手健介、mmm、山本精一&須原敬三、ゑでぃまぁこん0428 寺…
12/1 人からすすめてもらった『個人的な体験』(大江健三郎)をようやく読み切る。女性であり主人公(鳥)の性的対象である火見子とかつて鳥が見捨てたゲイの菊比古が完全に鳥の成長、というか未熟さへの決別のための道具として配置されており、いっそすがすがしい。個人的には鳥側の葛藤より火見子や鳥の妻(作中では名前すら与えられていない)の内面の方が気になる。 鳥が最後には「子どものためではなく自分自身のために子どもを救うんだ」と自覚するところは好きだった。自分はどこまでも自己中心的であるということを受け入れたところからいろいろ始めていくしかないよね。 12/2 荻原規子の「西の善き魔女」シリーズは、気にな…