(考察その2の続き) 中年の危機を背負ったアリーテ姫は、原作との距離を広げていく。 ここは原作には申し訳ないところなのだけれど、世界にはそうやすやすと主人公に微笑みかけてもらいたくなどない。ここは厳然と厳しい顔でい続けてほしかった。そういう意味では、原作から逸脱していこうとしているのは間違いない。 いっそ『アリーテ姫』でもなく、『アレーテ姫』とか『アレイテ姫』でいいんじゃないかなあと考えてしまう。原作の邦訳「アリーテ姫の冒険」は、この時点よりもう8年くらいも前に出版された本だったし、新聞紙上などでもてはやされていた頃からもだいぶ経つ。原作のネームバリューに今さらおんぶするまでもなかったわけで。…