東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授、駒場図書館長。1951年東京生まれ。専攻はフランス地域文化。ロートレアモン研究の世界的権威として名高い(らしい)。外見どおり講義中は温厚な紳士であるが、ごくまれに学生の解答を「美学にそぐわない」という理由ではねつけてみたり、某韓国ドラマにちなんだギャグを披露したりとかなりお茶目な一面も見られる。
ロートレアモン全集 (ちくま文庫)
美の思索―生きられた時空への旅
スティーヴン・モートン『シリーズ 現代思想ガイドブック ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク』青土社 (2005) 石井洋二郎『告白的読書論』中公文庫 (2013) 新・読書日記30 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
東京都内の大学で卒業式が今週末にピークを迎える。東京大では22日、文京区の安田講堂で開かれ、学部の卒業生約3000人が新たな一歩を踏み出した。藤井輝夫総長は「グローバルな視点で見たときの自分の個性や強みをいかして、世界の公共性に創造的に貢献していただきたい」と卒業生に呼びかけた。 卒業式で告辞を述べる東京大の藤井輝夫総長=東京都文京区の東京大で(代表撮影) 一方、能登半島地震で大きな被害が出た石川県唯一の国立大の金沢大でも金沢市で卒業式があり、約2400人が門出を迎えた。式の冒頭では地震の犠牲者に黙とうをささげた。和田隆志学長は「被災地の復興、持続的な発展に真摯(しんし)な関心を持ち続けて」と…
東大の式辞で時事的なテーマを扱うことは、昔から珍しいことではない 東京大学の入学式・卒業式では、総長やゲストスピーカーによる祝辞が読まれる。近年では安藤忠雄氏や上野千鶴子氏など、非常に大きな話題を呼んだものもある。式辞では学生を祝う言葉はもちろん、時事的なテーマを扱いながら、学生に考えさせる言葉も多い。この流れは古くからあり、昔の式辞を見るとより色濃く反映されている。 【この記事の写真を見る】「昭和天皇」が嫌いだった東京大学の総長 たとえば、1947年に読まれた南原繁総長の式辞では、軍国主義や天皇を頂点とした“神権的君主政治”についてかなり踏み込んだ表現が見られる。格調高い文章からは、過去のあ…
2024年3月の講談社学術文庫は、以下の5冊です。 それぞれの本の冒頭にある4桁の数字は、講談社学術文庫の通し番号です。 ★2808:クラウス・リーゼンフーバー『存在と思惟 中世哲学論集』(山本芳久編・解説、講談社、2024/03/12) 『中世哲学の源流』(上智大学中世思想研究所中世研究叢書、創文社、1995)を元に編者の山本芳久さんが論文を選んで編み直した文庫版。収録されている論文は以下の6本。 ・「中世思想における至福の概念」・「トマス・アクィナスにおける言葉」・「トマス・アクィナスにおける存在理解の展開」・「存在と思惟 存在理解の展開の可能性を探って」・「トマス・アクィナスにおける神認…
基本スタンスとして、「人間誰1人とて全く同じ人間は存在しない」と言う至極当たり前の大前提を踏まえた上で、話を進めて行きます。特に性的リビドーについてはそれこそ千差万別につき、他人に言っても理解されない事の方が多いかと思います。例えば、"絶対領域" について興奮を覚える男性は比較的多いかと思います。比較的多いと思うその理由として、ミニスカートやショートパンツと、ニーソックスとの間に現れる太ももの素肌部分に「絶対領域」なんて固有名詞が命名されている事自体、市民権を得ていると判断できるからです。しかし。「腕の絶対領域」についてはほとんど語られる事がありません。夏場に良く目にする光景として、Tシャツや…
そうだ、写真を撮っている自分のことも客観視することがあるんだよな…… 2024W05 (2024-01-29 / 2024-02-04) 先週の週報を書いてから「自分を客観視して、自分が嫌になる」という点について考えていた。 文學界のオードリー若林さんと國分功一郎さんの対談の冒頭で話題に挙げられていたので最近読んだ、ワキ方を演じる能楽師・安田登さんの著書『あわいの力』*1に書かれていた内容を思い出している。能を起点に、「心」が生まれたのは「文字」が生まれた後として、甲骨文字や古代メソポタミア文明の楔形文字(シュメール語・アッカド語)、ギルガメッシュ叙事詩など、さまざまな事柄を行き来するけど、し…
書誌情報:桜井書店,102頁,本体価格1,200円,2023年12月5日発行メキシコ日記作者:中村 哲桜井書店Amazon前著『研究生活55年』と『波瀾の時代を生きて——一歴史研究者の人生——』でも触れられていた1990年3月から4月にかけてのメキシコ体験記である。 何度か実地調査の経験があった東アジアと西ヨーロッパとの比較史が鮮明で,「メキシコ体験は私の歴史研究にとって大きな意義を持った」(「あとがき」102ページ)と述懐されている。 関連エントリー 中村哲著『波瀾の時代を生きて——一歴史研究者の人生——』→https://akamac.hatenablog.com/entry/2024/0…
杉敏三郎は吉田松陰の実弟である。 姓が違うのは、松陰が二男で吉田家に養子に出たからだが、兄弟は一緒に暮らしていた。 私が敏三郎に興味を抱いたのは、彼の顔立ちが吉田松陰に最も似ているといわれていたからだ。 敏三郎は、生まれた時から耳が聞こえぬ ろう者だった。 家族、特に松陰はそんな敏三郎を気にかけ、治療法や教育法を求めて奔走している。 今回読んだのは、山本光矩著『ろう者から見た杉敏三郎のいきざま』 この本は、著者自身がろう者である視点から書かれている。 著者が育った環境と、幕末の環境とを比較しながら、松陰の手紙や史料から敏三郎に関して書かれているものを抜粋したり、当時を知る親戚のインタビューなど…
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ブルデュー『ディスタンクシオン』講義作者:石井 洋二郎藤原書店Amazon どんな本? ディスタンクシオン翻訳者による解説本。原著と同じ章立てで進行していく。 感想 講義形式で非常に読みやすかった。 この社会を生きていると階級闘争に必然的に参加してしまうということは受け止めた上で、いかにしてそこから自由になるかということを考えて生きていかなければならないと感じる。というのも他者との差異の間に価値を見出すスタンスは、他人軸の幸せの獲得には繋がる(客観的に見て幸せっぽく見える人間にはなれる)が、自分のための幸せの方向性を定め涵養していくことにはつながらないからだ。 ただし、自由になるというのはもち…
毎週日曜日は、この一週間に週刊誌などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPをご覧ください。 今週の書評本 表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者 出版社 税込価格 書評掲載回数(2回以上のもの) ◆サンデー毎日「遠回りの読書」: 6/25 号 2 冊芝浦屠場千夜一夜 山脇史子 青月社 1,650 ②WILDERNESS AND RISK 荒ぶる自然と人間をめぐる10のエピソード ジョン・クラカワー 山と渓谷社 1,760 ◆女性自身「今週の本」: 6/27 号 4 冊墨のゆらめき 三浦しをん 新潮社 1,760 ②ロボットには尻尾が…
本を買った。山内志朗『中世哲学入門――存在の海をめぐる思想史』ちくま新書、2023中世哲学入門 ――存在の海をめぐる思想史 (ちくま新書 1734)作者:山内 志朗筑摩書房Amazon今井むつみ、秋田喜美『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』中公新書、2023言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書 2756)作者:今井 むつみ,秋田 喜美中央公論新社AmazonJulien Green『モイラ』(石井洋二郎訳)岩波文庫、2023モイラ (岩波文庫 赤N 520-1)作者:ジュリアン・グリーン岩波書店Amazon中世哲学入門を書き始めました。哲学や論理学が、倫理学や恩寵論…
『モイラ』ジュリアン・グリーン 石井洋二郎/訳 岩波書店[岩波文庫] 2023.5.30読了 信仰心の篤い赤毛のジョセフは、ミセス・デアの家に下宿することになり、ここから大学に通う。このジョセフという主人公がまた独特の人物だ。極度の潔癖というか、真面目で純朴で、性に対して異常なまでの嫌悪感を持っている。ジョセフ本人の一番の興味は「宗教」だという。 第一部では、大学生になりたてのジョセフが新たな生活に向けて準備をする。仲良くなったディヴィッドや他の学生たちと、もしやそういう関係になるのかなと思ったけどそうはならなく(ジョセフは同性が好きというわけではないらしい。まだ気付いてないのか?)、もやもや…