Outland
木星の第5衛星イオには、巨大な鉱山があった。新任保安官オニールは、そこで暴力沙汰や自殺が相次いでいることに気付く。その背後には腐敗した巨悪が待ち構えていた。
SFというよりも『真昼の決闘』宇宙版といったアクション映画。実際、あの名作西部劇に細かい箇所までなぞらえており、SFならではのセンス・オブ・ワンダーを期待すると当てが外れるだろう。しかし孤立無援の中で巨悪に立ち向かう男の心意気を描いた点で評価されるべきではないだろうか。演ずるショーン・コネリーも好演している。
ハイアムズの演出はクライマクスでの殺し屋たちとの戦いに物足りなさを感じるが、中盤にあるオニールと容疑者スポタ(ハイアムズ作品で御馴染みの固有名詞だ。「ピーター・ハイアムズ」参照)との追跡アクション場面が物凄い迫力で、前進・後退を効果的に使った撮影はハイアムズの面目躍如。公開当時は、この場面だけでこの映画が好きな人もSF界に結構居たらしい。
ジェリー・ゴールドスミスの地鳴りのようなスコアも、自作『エイリアン』に繋がる無調性が印象的。実際、意図的とはいえメロディの徹底的な排除と、状況音楽に徹した様は潔ささえ感じられる。木管や打楽器を生かした全体には地味目なスコアだが、アクション/サスペンス場面の迫力はさすがである。
尚、日本での劇場公開時はSFホラー映画と受け取られかねない予告編・宣伝だったが、夏休み映画として公開されて大コケした。
製作元のアラン・ラッド・ジュニア率いるラッド・カンパニーの第1作。この後、『ブレードランナー』、『ライトスタッフ』と、本作から引き続き高額な制作費を回収出来ない作品を連発し、倒産することとなる。