内閣府:少年非行等に関する世論調査を公表

 
4月6日、内閣府は「少年非行等に関する世論調査」(2005年1月調査)を公表しました。
あくまでも「どう思うか」という大人の主観の調査であって、客観的事実を示しているわけでも子どもの意識の実態でもない、という点は最低限踏まえて読む必要があります。
世論調査の発表は、調査者の思惑はともかく、メディア規制制度の城攻めの道具として利用され、反撃を事前に封鎖し表現の自由という城の外堀を埋める効果を果している可能性があります。
青少年有害社会環境対策基本法案など、これまでの制度議論の下地づくりのパターンから推測すると、表現を規制する制度が必要だといった言論が一気に吹き上がり、制度改正の議論づくりが始まる可能性があると思われます。
世論調査を、誰が、どんな目的で、どのように利用しているかといった点については、今後引き続き監視と注意が必要と思われます。
 

内閣府
http://www.cao.go.jp/
世論調査
http://www8.cao.go.jp/survey/index.html
世論調査報告書 平成17年1月調査 内閣府大臣官房政府広報
少年非行等に関する世論調査
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/index.html
本報告書を読む際の注意
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/chuui.html

Nは質問に対する回答者数で,100%が何人の回答に相当するかを示す比率算出の基数である。なお,特に数字を示していない場合はN=2,047人(有効回収数)である。
標本誤差は回答者数(N)と得られた結果の比率によって異なるが,単純任意抽出法(無作為抽出)を仮定した場合の誤差(95%は信頼できる誤差の範囲)は下表のとおりである。*1

なお,本調査のように層化2段抽出法による場合は標本誤差が若干増減することもある。
また,誤差には調査員のミスや回答者の誤解などによる計算不能な非標本誤差もある。

1.少年非行に関する意識
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/index.html

(1) 少年非行は増加しているか
少年による重大な事件が以前に比べて増えていると思うか*2
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z01.gif
(2)増加している少年非行
少年非行はどのようなものが増えていると思うか
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z02.gif
(3) 重大事件を起こす少年の経緯
少年による重大事件はどのような経緯を持っている少年が起こしていると思うか*3
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z03.gif
(4) 周囲で起こり問題となっている少年非行
※「特に無い」が一位
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z04.gif
(5) 社会的にみて問題だと思う少年非行
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z05.gif

2.少年非行の問題点
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/2-2.html

(1) 少年自身の問題点
最近の少年の性格や資質について,問題だと思う点
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z06.gif
(2) 社会環境の問題点
少年非行について,どのような社会環境が問題だと思うか*4
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z07.gif
(3) 社会風潮の問題点
少年非行について,どのような社会風潮が問題だと思うか
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z08.gif

3. 少年による不良行為への対応
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/2-3.html

(1) 不良行為をしている少年を発見した場合の対応
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z09.gif

ア 見て見ぬふりをする理由
「注意したいが見て見ぬふりをする」と答えた者(1,105人)にその理由を聞いた
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z10.gif

4.少年非行の防止
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/2-4.html

(1) 性的な非行の防止
性的な非行を防止するために,どのようにすればよいと思うか*5
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z11.gif
(2) 家庭での対応
家庭で,保護者はどのように対応すればよいと思うか*6
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z12.gif
(3) 学校での対応
学校ではどのように対応するのがよいと思うか
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z13.gif
(4) 地域住民の対応
地域社会の住民はどのように対応するのがよいと思うか
*7
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z14.gif

5.非行少年の立直り
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/2-5.html

非行少年を立直らせるためにどういうことが必要だと思うか
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z15.gif

6.行政に対する要望
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/2-6.html

(1) 少年非行の防止や立直りのための対策
少年非行の防止や非行に走った少年の立直りのため,今後,行政に力を入れてほしい対策http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z16.gif
(2) 非行少年の検挙・補導などで望む警察の対策
非行少年の検挙や補導について,今後,警察に力を入れてほしい対策*8
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/images/z17.gif
(3) 少年警察ボランティアに行ってほしい活動
少年警察ボランティアにどのような活動を行ってほしいと思うか*9

調査票
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-shounenhikou/3.html

 
今回の世論調査は、マンガ喫茶、インターネット、コンビニエンス、有害図書の隔離・排除といった内容が含まれており、「青少年有害社会環境対策基本法案」の内容に対する世論の支持を印象付けるような調査項目内容になっているように思われます。
青少年有害社会環境対策基本法案については、平成14年11月27日の参議院憲法調査会で、参考人の田島泰彦氏(上智大学文学部教授)がその問題点を表現の自由の観点から陳述しています。田島泰彦参考人は、青少年有害社会環境対策基本法案について「大臣の勧告、公表などの権限は、行政による非常に強力なメディアへの介入を認めている措置であり、表現の自由条項が事実上改定されたに等しい重大な事態を迎えることを危惧する」と述べています。
世論調査は必要ですし、国民感情を満足させることも政治のひとつの役割の一つでしょうが、国民の権利を制限するような形で国民感情の満足させる政治は、結果的には国民感情を損ない、多くの不要不当な犠牲を生むことになると思われます。
国民感情に左右されることなく科学的政策・理性の政治によって生活を改善し、それによって国民感情を満足させることが重要であって、国民感情を満足させるために感情的になる政治は好ましい政治とは思えません。
 

第155回国会 憲法調査会 第4号
平成十四年十一月二十七日(水曜日)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/155/0051/15511270051004c.html

参考人(田島泰彦君)
(略)
それで、早速、メモ書きの二、規制法案と表現の自由というところに入りますが、御承知のように、現在、国会では個人情報保護法案あるいは人権擁護法案、こういう法案が上程され、議論されております。さらに、これはまだ国会に上程されてはいませんが、自民党は、青少年有害社会環境対策基本法案、テレビのアナウンサーも時々正確に言えなくて間違う長い名前の法案なんですが、これが国会の上程に向けて取りまとめがなされている最中のようであります。
(略)
それからさらに、3の方に行きますけれども、この点では、まず有害情報、有害な情報から青少年を保護するということを理由にして新たな立法措置を取ることが自民党で検討されております。これが、先ほど申しました青少年有害社会環境対策基本法案という法案であるわけです。ここでは、有害情報等の規制について、主務大臣など国の監督の下で、業界団体の設立も含め、自主規制の強化ということがメディア等に求められるとともに、もしその自主規制が不十分な場合には、大臣等が業界団体に対して勧告、公表などの権限を行使できるということが定められております。これは、行政による非常に強力な介入を認めている措置ではないかというふうに指摘をされるわけです。
(略)
以上を踏まえまして、メモの4、憲法二十一条の解釈改憲のおそれというところに入りますけれども、このような状況を眺めますと、個人情報の保護、人権の擁護、青少年の保護、さらには有事への対応と、こういう様々な名目で表現や取材報道に広く国家規制の網が掛けられ、そこでは大臣や人権委員会などの言わばお上が、表現の中身に深く立ち入り、その是非を判断し、ある種の制裁を加えると、こういう仕組みが作られようとしているということが分かります。さらに、ここでは、新聞など活字メディアも含めて、あらゆるメディアが幾つかの大臣や人権委員会など主務官庁の監督の下に置かれるということが想定されております。
このように、一連の規制法案が成立すると、政府に規制されない自由な言論と権力から独立したメディアという、憲法二十一条が保障する表現の自由の核心的な部分が変質させられ、表現の自由条項が事実上改定されたに等しい重大な事態を迎えることにならないかという危惧を私は強めております。
解釈改憲のおそれというふうに指摘しましたのは、憲法の条文は変えないけれども、いろんな立法措置が様々な形で取られることによって表現の自由の本質的な部分が変えられてしまうのではないかと、そのことを指しているわけです。法案の修正の議論もなされているようですが、恐らく、中途半端な修正ではこのような憲法上の疑念を到底払拭できないように私には思われるわけです。
それで、メモの5のところに行きます。
それでは、しかし、人権救済やプライバシーあるいは青少年の保護などのためにメディアを規制したり規律する必要はないのかといいますと、それがないという立場には私は立っておりません。ある種の規律を加える必要は当然あるというふうに思います。
しかしながら、そのような規律は、今提案されているような法律によって権力的に押し付けるという、そういうものではなくて、裁判による調整ということを別にすれば、それはあくまでもメディアによる自主、自律の努力によるべきであるというふうに私は考えます。現に、放送や新聞など、この間、様々な具体的な取組が積み重ねられ、一定の実績も残しつつありますし、それから諸外国の例を考えても、メディアの人権侵害などの解決は基本的に自主的な仕組みにゆだねているというのが通例の在り方であるわけです。
(略)
私の結論は次のようなものです。将来的には改憲を検討する余地はあるかもしれませんが、今すぐ改憲に取り組むのは時期尚早であり、またすぐ改憲しないからといって特段の不都合が生ずるものでもないというものです。
すなわち、知る権利やプライバシーの権利などの新しい人権については、理念的、原則的には前向きに受け止める必要はありますが、さきにも述べましたように、その内容や範囲、機能などにつき、まだまだ検討を深め、詰めていかなければならない点も少なくないからであります。
こうした作業抜きに拙速、性急にこれらの権利を憲法に書き込むのはそもそも難しいわけですし、そのことがもたらす弊害も懸念されます。学界や国会等での十分な議論と立法や判例の着実な積み重ねがまず前提となるべきだと思われます。そうした努力によって、改憲をしなくとも権利の内実を実質化していくことは可能であるし、現にある程度このような権利の定着も見られてきました。そして、こうした権利をめぐって議論や実務が一定の成熟を見た段階で初めて憲法改正の具体的な議論の条件が整うのではないでしょうか。
(略)

 
以下、内閣府の過去の関連世論調査
 

世論調査
http://www8.cao.go.jp/survey/y-index.html
平成16年度 世論調査
治安に関する世論調査(平成16年(2004)7月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-chian/index.html
平成14年度 世論調査
児童の性的搾取に関する世論調査(平成14年(2002)8月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h14/jido-sakushu/index.html
平成13年度 世論調査
少年非行問題等に関する世論調査(平成13年(2001)11月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h13/h13-syonenhikou/index.html
平成10年度 世論調査
青少年の非行等問題行動に関する世論調査(平成10年(1998)4月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h10/seishonen.html
平成8年度 世論調査
薬物乱用防止対策に関する世論調査(平成8(1996)年7月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h08/yakubutsu.html
平成7年度 世論調査
少年非行問題に関する世論調査(平成7年(1995)6月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h07/H07-06-07-04.html
平成5年度 世論調査
青少年と家庭に関する世論調査(平成5年(1993)5月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h05/H05-05-05-02.html
平成3年度 世論調査
親の意識に関する世論調査(平成4年(1992)1月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h03/H04-01-03-17.html
平成2年度 世論調査
家庭教育に関する世論調査(平成2年(1990)6月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h02/H02-06-02-04.html
平成1年度 世論調査
犯罪と処罰に関する世論調査(平成元年(1989)6月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h01/H01-06-01-06.html
昭和63年度 世論調査
少年非行問題に関する世論調査(昭和63年(1988)7月)
http://www8.cao.go.jp/survey/s63/S63-07-63-10.html
昭和60年度 世論調査
青少年の社会参加に関する世論調査(昭和60年(1985)11月)
http://www8.cao.go.jp/survey/s60/S60-11-60-11.html
性意識に関する世論調査(昭和60年(1985)9月)
http://www8.cao.go.jp/survey/s60/S60-09-60-07.html
昭和58年度 世論調査
少年非行問題に関する世論調査(昭和58年(1983)7月)
http://www8.cao.go.jp/survey/s58/S58-07-58-05.html

 
以下、関連記事。
「非行注意する大人は11%」とありますが、11%を超えているのは50歳以上で、50歳未満は1割を切っています。こうした世論状況は、東京都の「心の東京革命」政策の「子どもを叱ろう」運動の高揚の前提にもなっているわけで、内閣府世論調査は東京都の「心の東京革命」の全国普及のきっかけとなる可能性があると思われます。東京都の「心の東京革命」の他県への“伝染”に注意が必要です。
 

少年非行注意する11% 内閣府世論調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050319-00000130-kyodo-soci

内閣府が19日付で発表した「少年非行等に関する世論調査」によると、喫煙など不良行為をしている少年(14−19歳)を見つけた場合に「注意する」と答えた人は11・5%と、ほぼ10人に1人しかいないことが分かった。前回2001年の調査より4・8ポイント減少しており、少年非行をいさめる大人が極めて少なくなっている実態が浮き彫りになった。
不良行為を「注意したいが見て見ぬふり」と回答した人は54・0%。「見て見ぬふり」の理由は、「暴力を振るわれる恐れ」が78・8%と最も多く、次いで「注意しても聞き入れないと思う」(14・3%)だった。
このほか、不良行為を見つけた場合、「警察官に連絡」が14・2%で「学校に連絡」は4・0%にとどまった。「注意する問題ではなく放っておく」は11・0%だった。

Googleニュース検索「内閣府 and 世論調査」
「見て見ぬふり」5割超す 朝日新聞 - 2005年4月5日
http://www.asahi.com/kansai/wakuwaku/info0406-3.html
非行注意する11.5% 見て見ぬふりは54% 内閣府調査
http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/child/news/050320.html
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050320/mng_____sya_____010.shtml
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050320k0000e040001000c.html
http://www.kenmin-fukui.co.jp/00/sya/20050320/mng_____sya_____000.shtml
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050320/mng_____sya_____000.shtml
非行注意する大人11%
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/kyoudou.asp?id=20050319000244
http://www.minyu-net.com/news/2005031901005768.html
http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/5031901005904.html
http://kumanichi.com/news/kyodo/main/200503/20050319000253.htm
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2005031901005768_Main.html
http://www.ehime-np.co.jp/newsflash/news20050319059.html
http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20050319000296
http://www.shizushin.com/national_social/2005031901005768.htm
http://www.sanyo.oni.co.jp/newspack/20050319/20050319010057682.html
http://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=CN2005031901005768&gid=G01
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20050319010057681.asp
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?main+CN2005031901005768_1
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/03/2005031901005768.htm
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.NewsPack.npnews?newsid=2005031901005768&genre=main
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1040584/topics_detail
http://www.asahi.com/life/update/0319/005.html
少年の非行、54%は「見て見ぬふり」 内閣府調査 産経新聞 - 2005年3月19日
http://www.sankei.co.jp/news/050319/sha108.htm
少年の不良行為「見て見ぬふり」54%…内閣府調査 読売新聞 - 2005年3月19日
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050319it12.htm
少年の不良行為に注意、大人の1割だけ・内閣府調査 日本経済新聞 - 2005年3月19日
http://rd.nikkei.co.jp/net/news/main/headline/u=http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050319AT1G1901C19032005.html

関連ログ。
 

統計でウソをつく法
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040324#p3
日本フランチャイズチェーン協会の自主基準(ガイドライン
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050330#p2
少年犯罪は減少しました
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050318#p1
カラオケボックスでの少年犯罪は増えていない
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040420#p1
自殺者数過去最多の3万4千人:「悲観せず頑張れ」純一郎談
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040729#p1
少年暴力が激減しているという統計
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040108#p1
青少年有害社会環境対策基本法案反対声明
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040315#p3

───────────
■追補(2005.04.11)
 
4月9日、ある方からメールがあり、以下のような指摘があったことを報告しておきます。
 

警察への通報が10%も上がっているのに、報道が何故かこの点を無視しているので疑問を覚える。
全体としては、行動する人の割合は変わってないないが、行動しない人の中で注意したいと考える割合が増えた。行動する人の対処法が警察への通報にシフトした。
行動する人の割合は、20〜40代でそれほど変化しないが、50代が減少、60代以上では上昇している。
行動する人の他処方は全ての成人年齢層で警察への通報にシフトしている。
行動しない人の意識は20代は殆ど変わらないが、30代以上は注意したいと考える人が増えた

 
この事実について、メールを送られた方は「行動の重点が警察への通報にシフトし、行動しない人の間でも注意したい人の割合が高まっており、成人の間で青少年のモンスター化が進行しているが、決して不良行為を見て見ぬ振りをする大人が増えているわけではない。特に60代以上は何らかの行動をとる者が増えている。唯一の例外が50代で、行動をとる者が減っている。」と分析しています。
メールを送られた方の視点・指摘を含め、時系列での世論変化については、考えなければならない論点がいくつか含まれていると思います。
───────────

*1:「少年非行等に関する世論調査」の回答基数は2,047人ですので、たとえば回答率50%という回答があるとすると、統計学上の標本誤差はプラスマイナス2.2%(47.8%〜52.2%)ですので、最大誤差は4.4%となります。意見が分かれている質問ほど誤差が生じやすい、ということを念頭に統計を見てください。

*2:※少年非行が実際には減っていることを知らない人は99.8%

*3:※質問項目が前回と異なる点に注意

*4:質問項目が前回と異なる点に注意。例:前回質問「インターネットの普及」→今回質問「簡単にインターネットで暴力や性、自殺に関する情報を手に入れられる」。前回質問「コンビニエンスストア、カラオボックスなどが深夜まで営業している」→今回質問「コンビニエンスストア、カラオボックス、マンガ喫茶インターネットカフェなどが深夜まで営業している」。ちなみに、重大犯罪を犯した少年の全員がマンガ喫茶を頻繁に出入りしていたとの事実は無い。

*5:質問項目が前回と異なる点に注意。例:前回質問「性的な内容を扱った出版物やビデオなどの映像について見直す」→今回質問「性的な内容を扱った出版物やビデオなどの映像やインターネット上の画像などについて見直す」。前回質問「親が子どもの性の非行に走らないよう、断固とした指導を行う」→今回質問では回答項目が削除され「少女を風俗店などのいかがわしい店で働かせた大人を厳しく罰する」。という項目が新設されている。以前の世論調査の後、風適法改正によって性表現を含んだマンガやアニメのインターネット映像販売が公安委員会への届出制になったが、こうした世論調査の情報が多少なりと制度「改正」に影響していると思われる。

*6:「子育てに関して十分な知識を持つ」と回答した人はわずか17.5%。「子どもが悪いことをしたら親が責任をとって処罰を受ける」という回答項目はありません。

*7:質問項目が前回と異なる点に注意。例:今回質問の新規項目「ピンクビラの撤去や有害図書自動販売機の撤去運動などの地域における有害な環境を浄化する活動を行う」。この回答項目の新設は、明らかに一部の規制過剰県の制度規制運動の既成事実化を想定した質問と思われます。

*8:非行少年の検挙・補導などで望む警察の対策についての質問で「関係法令に基く事業者などへの指導・取締りなど、有害な環境を浄化するための取り組みを強化する」に回答した人は36.5%。

*9:少年警察ボランティアに行ってほしい活動についての質問で「出会い系サイトなどのインターネット上の少年に有害な情報に対する環境を浄化する活動」に回答した人は37.2%。