紅テントの想い出

kuronekobousyu2005-10-04

『教室を路地に! 横浜国大vs紅テント2739日』(唐十郎室井尚 )という新刊が岩波書店から刊行された。
惹句によれば、「唐さん、大学に<密航>してください! 横浜国大vs紅テントの2739日。黒板を破って登場した初講義から最終講義まで、ゼミから発した劇団唐ゼミ★を生んだ大学での活動を室井尚氏と総括し、現在の状況、文化、教育を根底から問う。」だそうだ。
上野不忍公園で観た「唐版 風の又三郎」が想起される。主役の小林薫への劇評は「端正な演技」だったそうで、それ以来劇団員内では小林薫は「端正」と呼ばれたそうだ。李麗仙のダンスもよかったなぁ。当時「状況劇場」と呼ばれていた時代のお話。因みに、唐十郎の卒論はサルトルの「シュチュアシオン」だったとか。
それと大島渚の「新宿泥棒日記」にも「状況劇場」が出てくるが、そこにはなんと四谷シモンや麻呂赤児が出ている、お宝映像かな(因みに、先代の紀伊國屋書店社長・田辺茂一横尾忠則が主役級で出ている)。というのも、僕が「状況劇場」に出会ったのは田舎から上京した70年代半ば頃で、大学祭で「ベンガルの虎」を茣蓙に座って観たのが最初。すでにその当時には四谷シモンも麻呂赤児も退団していた。
ベンガルの虎」はラストシーンが劇的で、舞台背後のテントを捲し上げたかと思うもつかの間、晩秋の暗黒から松明を掲げた一団が雄叫びを上げながら押し寄せてくるという演出に感動。それ以来、僕は「状況劇場」のファンとなった。(続く)