美術館を巡る小さな旅行

今年の夏休みは、まとまった休みを取ることができず
想定外のことも多く、まさに飛び石の休みとなった
12日は、前日の地震による東名高速道路の通行止めの影響を心配しながら
中央道で長野へ行った

これは半分は仕事のようなものだが(実地調査=俗に言う下見)
朝7時半に自宅を出発し、一路東名へ、走り慣れた?中央道をひたすら走り、
長野道、さらに上越道を通り、「東御(とうみ)市」へ行った。
行き先はもちろん、「梅野絵画記念館」である。


館内から見える風景もすばらしかった!


前日電話で学芸員のSさんと約束をしていたので
丁寧な対応をしていただき恐縮した
10月に行われる犬塚勉さんの展覧会を、地区の造形教育学会の美術館ツアーに取り入れるための打合せをしにきたのだ。
実施できるかどうかは未確定だが、4時間あまりかけてここまでくるのはなかなか大変である
この距離感をまず体に覚えさせるために今日の実地調査がある
ひととおり打合せが終わった後
昼食場所に蕎麦屋を訊ねると、2軒紹介された
それから、近くにある「無言館」までの道のりを訊ねれば
ちゃんと別紙が用意されていた
まさに、至れり尽くせりである

ところで、展覧会ではこの日はまだ犬塚勉さんの展覧会はやっていないのだったが
新世界へ… 秀島由己男展(8/1〜9/27)」と「ねこまみれー吾輩はネコキチであるー(8/1〜10/12)」と
常設展の三つを見た

秀島さんについて、全く知らなかった自分が恥ずかしい
このチラシを見る限り、失礼ながら全く期待していなかったのだが
すばらしいアクアチントの銅版画あるではないか!
会場にはかの「浜田知明さんに師事」とあり驚いた

版画のオークションサイトでは×のような記事がある→http://www.gallery-ritchie.com/artist/hideshima_yukio.html
かの南天子画廊にも→http://nantenshi.com/artists/hideshima000108.php

この作品は気に入っている 八代市博物館未来の森ミュージアム収蔵品より→http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/search/dtl.jsp?kid=91115&cgid=22&searchstr=

つづいて、「ねこまみれ」である
これには仰天した
収蔵品にこれほどの作家の秀作があるのは類を見ないのではないだろうか?

・・・なにしろ春潮、広重、国芳、国貞らの浮世絵版画はじめ、西欧近代版画のビアズリー、スタンラン、フィニー、またフランスに帰化したレオナール・フジタの版画や素描・水彩、その他岸田劉生竹久夢二熊谷守一ら明治・大正期の巨匠から清宮質文、秀島由己男、池田満寿夫横尾忠則ら昭和の俊英に至るまで、アート、版画を愛する人ならば、展覧会のテーマなどにこだわらずご清鑑いただけるものと信じてやまない。
http://umenokinen.com/modules/myalbum/photo.php?lid=124&cid=2 より引用


何よりも驚くのは
常設展にある「青木繁」と「菅野圭介」である
いずれ、菅野圭介については、巡回展もあるようで「大ブレイク」間違いないと思う
たどってみると、三岸節子の2人目の夫となっているようで・・・・・?

菅野圭介(1909-1963)の作品は、当館が最多収蔵を誇ります。平成22年には、横須賀美術館ミウラアートヴィレッジ、三岸節子記念館、梅野記念絵画館を巡回する大規模な「生誕100年 菅野圭介展(仮称)」が開催予定です。

最後に、青木繁であるが
私は高校生の頃、青木繁に心酔していた
当時訳も分からず、このような本を購入して
なんども眺めていたものだ
最近新しくなって出されており驚いている

仮象の創造―青木繁全文集

仮象の創造―青木繁全文集

会場には、館長の父親に金を無心する青木の手紙が展示されている
ゴッホの手紙同様、画家の手紙の最後の方には結構「お金を送って欲しい」と書かれている
美術番組では結構省略されることが多い
しかし、こうした生々しい部分がある展示こそよいのでは?

ちなみに、こんな看板があった

また美術館の周辺にはたくさんのキノコが頭をもたげていた

無言館

梅野記念絵画館から20分で到着する
専用の案内図まである
塩田平という、高すぎない山に囲まれた歴史ドラマにも何度も名前を聞いた場所である

さて、開館当初から気にしていたのだがなかなか行くことのできなかった無言館
ようやく訪問することができた
大学生の頃「戦没画学生」に関して、はじめて本を読んだのだ

以下建物だけだが、写真を羅列しておく



昨年開館した第二展示館もあった
オリーブの読書館といって、豊富な蔵書もありゆったり時間を過ごすことも
可能であるが、旅を急ぐものには結構つらい・・・・


第二展示館の前にはこうした文字が刻まれていた


もちろん、庭も「非戦の庭」となっていた

信州デッサン館

もともとはこちらが本家のようだが

この写真では、左手の「氷」が少しアクセントとなってしまった
なかには、村山槐多等のデッサンが多数あった
お気に入りの松本竣介も一枚あった
田英夫もよかった
なぜか「シーレとブレイク」の区画があった
妻が「ブレイクって夭折か?」と言ったのだが、まぁ・・・・

庭先からは、無言館が見える案内板があった

書かれていなければ気づかなかったと思う