また新たな組織が

lovelovedog2004-02-16

劣化ウラン弾廃絶キャンペーン・東京
http://popup12.tok2.com/home2/rekkauran/
俺が以前批判的にテキスト紹介した自由法曹団の弁護士・伊藤和子さんとか(参照→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040128#p1)、フォト・ジャーナリストというよりはフォト宗教家、フォト伝道師みたいな森住卓さんなどがメンバーにいるのは俺的にはやや香ばしさを感じますが、中のテキストはけっこう興味深く(邪悪に)読めるものが多くて参考になりました。
で、一つだけ過去テキストの間違いについてお詫びを。
「[劣化ウラン弾]この人にも発言の改変疑惑が」(http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040212#p1)で「バンカーバスターに関する藤田祐幸さんの発言が議事録に残されてない」って言っちゃいましたが、それはid:junhighさんが2004年2月9日の日記で言及している(http://d.hatena.ne.jp/junhigh/20040209#p1参考人陳述のあとの、社会民主党市民連合今川正美議員との質疑応答で出てきてました。要するに、「イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会」の平成15年07月01日の会議では、藤田氏は3回発言しており、id:junhighさんはそのうちの2回を紹介していた、ということです。元テキスト(議事録)を確認しないで、うかつなことを言ってしまって申し訳ありません、藤田祐幸さん(この日記をご覧になっているかは不明ですが)。(追記:id:junhighさんの日記にも「三回目の発言」が入りました。参照→http://d.hatena.ne.jp/junhigh/20040212#p1。それ以外にも藤田さんのテキストにたいするid:junhighさんの分析が入っていて、読みごたえがあります)
この、藤田祐幸さんの「議事録」は、紹介しました「劣化ウラン弾廃絶キャンペーン・東京」のサイトの、以下のところで読めます。
衆議院特別委員会議事録
http://popup12.tok2.com/home2/rekkauran/giin.html
こういったテキストを、ちゃんと載せているところが、このサイトをなかなかと思った理由です。
以下、気になったテキストを、引用しながらコメントしてみようかと思います。まず、やはり藤田祐幸さんのテキストから。
イラクにおけるウラン兵器使用の実態
http://popup12.tok2.com/home2/rekkauran/ssh.html


 持参の放射線測定器(直径1インチのヨウ化ナトリウム(NaI)シンチレーター)を、弾頭に接触させると6μシーベルトほどの値を示す。市内の公園で測ったバックグラウンドは0.06マイクロシーベルトであったから、およそその百倍ほどの値になる。
 帰国後にこのことを話すとメディアはすぐに百倍だと書き立てるには閉口した。ウラン弾頭は直径1センチ、長さ10センチほどの先のとがった円柱形をしている。測定器のほうは直径3センチ弱の円柱である。この二つを平行に並べたとき、ウランから四方八方に放出される放射線のうち、ヨウ化ナトリウムの結晶の中を横切ったガンマ線の数がカウントされる。その数が、環境放射線の百倍程度になったことを意味するが、そもそも均一な放射線密度を想定した測定装置で、このような局所的な線源の測定をすることには無理がある。測定器の種類やセンサーの大きさでこの値は変わってしまう。全ての放射線を数えるならセンサーでウラン弾を包み込まねばならないが、それは線源の放射線量を数えることになり、その場合の単位は単位重量あたりの放射線量(ベクレル)になる。シーベルトはその放射線を被曝する場合の影響を評価する単位であり、このような局所的な線源に使える単位ではない。このあといくつかの数値を扱うことになるが、それはあくまでも100倍程度の場合には非常に強い放射線、10倍程度であれば強い放射線、2倍前後であれば弱い放射線、という程度の指標として理解してもらいたい。
な、なんかそれ、ものすごくまっとうなマスコミ批判になってませんか。「放射線量は通常の○○倍」という形で煽っているのは、藤田さんのこのテキストだと、調査している側ではなくマスコミみたいな感じです。
その他具体的に、どこでどういう形でイラク放射線を測定したのか、という、俺が知りたかった情報なども入っていて、興味深く読めました。
あと、こんなのも。
NGO白血病の子どもたちの支援
http://popup12.tok2.com/home2/rekkauran/NGO.html

 マンスール病院にいくと、ルアイ医師は更迭され、代わりに選挙で選ばれたというマーゼン医師が、ガン病棟の責任者になっていた。
さり気なく読むと読み飛ばしそうな一行ですが、邪悪な俺は「なるほど、『ルアイ医師』の案内の下でNGOの人が見た「かわいそうな子供」というのは、実はフセイン独裁政権下で、反米プロパガンダのために見せられた子供なのかも知れないなぁ」というような想像力が働いてしまいました(それが正しいかどうかは別にして、また「更迭」の理由も不明なままそのようなことを言うのは想像力を働かせすぎかもしれませんが)。
で、俺が一番気になったのは、以下のテキスト。
↓D.U会議
http://popup12.tok2.com/home2/rekkauran/du.html
これ、元の英文がどこに掲載され、どういう状況でのインタビューなのか皆目不明ですが(それが分かるようなリンクをしていただけるとありがたいです)、注意深く読んでみると実は、「劣化ウランによる病気」の話は出ていても「劣化ウランの【放射線による】病気」という部分に関しては、とても慎重な発言をしているような気がします。皆さんはどうですか?
たとえば、こんなの。

Q How was he exposed by DU?
 (テリーはどうやって劣化ウラン被爆したのか)
Probably going to save house in the al-Qaedah. Or wherever outs he went. He had no protection. He had no suits with them. What he was doing and he don’t have to wear uniform to do that.
 (おそらくアルカイダから民家を守りに行ったところで。もしくは彼が出掛けたどこかで。何の保護もしていなかった。防護服をなにも持っていなかった。そのとき、そんなものを着なくても良いと思われてた。
この「exposed」を「被曝した」と訳すのは、俺には故意の誤訳のように思えます。被曝とするのなら、最低「radiation」もしくはそれに近い言葉が入っていないとおかしいわけで。普通に「テリーはどのように劣化ウランを浴びた(浴びせられた)のか?」と訳すべきではないでしょうか。「suits」はさすがに「放射能防護服」とは訳していないようで、日本語としての歪みを感じました。
さらに驚きなのは、以下のところです。

Q What happened other member of his military?
 (彼の部隊の他の兵士に何がおきたか)
A I talked to my boyfriend’s partner and I knew that it was at least four people had some kind of disease who serve with my boyfriend at the same time in Macedonia. Two girls, one girl with a tumor in the ovary, another girl with Hopking lymphosarcoma. A guy has with Hopking lymphosarcoma, too. And clone disease guys, some of them had bloody mouse, nose. They didn’t know. A lot of problems were digesting system. I tried to get contact with them. After all the news came out in Spain, the Frants Antonio called me. Don’t call and ask him because under pressure in the army. Please don’t call us again.
 (私は彼の相棒だった人に話した。マセドニアで彼と同時に任務にあたっていた少なくとも4人が同じ病気にかかっていた。2人の女性のうち、一人は子宮筋腫で、もう一人はホプキングリンパ肉腫になった。一人の男性もホプキングリンパ肉腫になった。クローン病になった男性たちは鼻や口から吐血した。彼らは知らなかった。多くの問題は消化器系にあった。私は彼らと連絡を取ろうとした。スペインでそのニュースが流れた後、フランツ・アントニオが電話してきた。軍の圧力がかかっているからもう電話するな、と。2度と私たちに電話しないで、と。
「Hopking lymphosarcoma」などという病気は聞いたことがありませんが(検索しても見当たりませんでした)。ホジキン病、「Hodgkin's disease」なら存在します(俺の日記の以下のところ参照→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040126#p2)。これは「悪性リンパ腫」の一種ですね。
しかし「クローン病(clone disease)」となると、さらに聞いたことがありません。世の中に存在する、それに似たような名称の病気の「クローン病(crohn's disease)」のことでしょうか。クローン病は腸を中心にした病気で、大変な難病なことは事実ですが、「鼻や口から吐血」するということはないみたいです。さらに言うと、原因に関しては放射線ではなく「細菌やウィルス」による炎症が考えられています(以下のサイト参照→http://www.c-bldg.com/)。まぁ、重金属としての劣化ウランが腸を傷つける、ということは可能性として考えられますが、少なくともその放射性物質としての特性によるものだと考えるのは無理があるのでは。
どうもこの「関係者の証言」をテキスト化した人は、あまり医学関係にくわしくないか、割とどうでもいいと思っている人みたいな気がしました(それをさらにチェックする人がいたかどうかにも興味があります)。
ということで、この「劣化ウラン弾廃絶キャンペーン・東京」のサイト、中に存在するテキストに関しては、だいぶムラがありますが、たとえば以下のリンクなどは、面白そうなところに行けそうなので参考になりました。
↓Environmental Exposure Report
http://www.gulflink.osd.mil/du_ii/index.htm

「反戦」落書き裁判

↓リファで行ったこちらのサイトの解説が、あまりにも面白いのでご紹介
http://d.hatena.ne.jp/MASH/20040212#p1
↓この件について触れている俺の日記はこちら
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030621#p2
ということで、今日は珍しく画像を貼ることにしました。「反戦落書き」がどのようなものであったか、少し分かるんじゃないかと思います。縮小しちゃうと、少しメルヘンチック。
↓オリジナルはこちら
http://mypage.naver.co.jp/antiwar/graffiti417/images/graffiti/K/graffiti_01.jpg

邪悪な「新聞のミカタ」

イラク劣化ウラン弾被害「5年後に出る」医師語る(毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200401/10/20040110k0000m030028001c.html


 【バスラ(イラク南部)小倉孝保イラク劣化ウラン弾によるとみられる被害の対応に当たっている2人の医師が8日、バスラでインタビューに応じ、イラク戦争における劣化ウラン弾被害について「5年後には出てくるのは間違いない」などと語った。

 バスラ教育病院のジャワッド・アリ医師(60)とバスラ小児産婦人科医院のジャナン・ガリブ・ハッサン女医(47)の2人。ともに91年の湾岸戦争以来、劣化ウラン弾の被害調査に携わり、がん患者の治療のほか世界各地で講演をしたりシンポジウムに出席し、被害実態を訴えている。

 アリ医師は「私の調査では、バスラのがんによる死者は88年には34人だったのが02年には644人と19倍になった」と指摘。イラン戦争について「湾岸戦争では郊外に集中していた劣化ウラン弾の使用地域が、今回はバスラやバグダッドの市街地にも拡大した。5年後には被害がはっきり出てくる」と語った。

 また、ハッサン女医も「最近私の患者には骨のがん患者が増えている。劣化ウラン弾被害は収まる気配をみせていない」とし、「今回の戦争ではバスラ以上にバグダッド劣化ウラン弾が使用された可能性がある。次に被害が続出するのはバグダッドかもしれない」との見方を示した。

 フセイン政権下、2人が主張する劣化ウラン弾被害は同政権にとっても都合が良かったため、一部には「政権が2人を利用している」という見方があった。政権崩壊後、バスラ教育病院では一部の医師から「劣化ウラン弾被害はフセイン政権が作り上げたもの。2人の医師は政治利用された」と批判もあった。

 これについて、2人は「科学的な根拠に基づいて発言しており、政権が変わっても、主張に変化はない。医師の中には米政府を怖がったり、米政府に接近するため、被害を否定するものがいる」と口をそろえた。

 バスラ教育病院のネザル・マフフーズ外科部長は「政権崩壊後、劣化ウラン弾の被害についてさまざまな意見が出たが、アリ医師らの調査は信頼できるものだと考えている」としている。

毎日新聞1月9日] ( 2004-01-09-19:02 )

ここで注意したいのは、「フセイン政権下、2人が主張する劣化ウラン弾被害は同政権にとっても都合が良かったため、一部には「政権が2人を利用している」という見方があった。政権崩壊後、バスラ教育病院では一部の医師から「劣化ウラン弾被害はフセイン政権が作り上げたもの。2人の医師は政治利用された」と批判もあった。」という部分でしょうか。
また、「メディアリテラシー」の「報道に対する十箇条」、「1.情報を流して得する人を考えてみましょう」という項から考えて、このお二人(ジャワッド・アリ医師とジャナン・ガリブ・ハッサン女医)には対立勢力がいて、病院内での彼らの地位が微妙なので、マスコミを利用して「あと5年は現在の地位に留まって『劣化ウランの悲劇』に対処したい」というアピールをしているのかな、と思えます。
こういうのが記事のひとつの、邪悪なミカタですね。
それはともかく、どういう報道陣の前でインタビューをおこなったのか、にも興味があります。毎日新聞の独占インタビューだったのでしょうか。