Sat 26-11-11■[ceol] RTEの大英断ショーン・オリアダの伝説のラジオ講演が半世紀ぶりに再放送される。アイルランド音楽を決定的に変えたといわれるあの放送だ。 14回のシリーズで、題は「われらの音楽的伝統」(Our Musical Heritage)。同名の本と、付随するLP3枚組がある。本のほうは古書で見かけることはあるかもしれないが、LPのほうは知る限りでは全く見かけない。仕方なく、ITMAに置いてあるそれを聴くために通いつめたことがある。 今回の再放送ではLPの内容はもちろん、オリジナルの放送が完全に再現されるはず。画期的なことだ。 放送は11月20日(日)から15回にわたって夜10時の The Rolling Wave で行われる。第1回は Éamonn de Buitléir がゲストだった。
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Mon 3-10-11■[Gaeilge] 古アイルランド語の辞書古アイルランド語の辞書について、電子篇では eDIL の名前を挙げながら、紙媒体篇では名前を挙げなかった。重要でないと思ったからではなく、その逆に、とてつもなく重要な辞書なのだけど、あまりにも専門家向きなので挙げなかったのだ。だけど、そこまで関心のある人のために少しだけ補足。 紙媒体にしろ電子版にしろ、DIL (Dictionary of the Irish Language) はパッと引いてすぐ使えるかと云えば、そうとも限らない。原因は見出し語にある。どの見出し語を引けば目的の情報に達することができるかが判りにくいのだ。 古アイルランド語の語彙が殆どぜんぶ頭の中にあるような人は別にすれば、たいていの人は現代アイルランド語の語彙に相当する古アイルランド語の単語を探し求める。そこには実はギャップがあり、両者は一致しないことが多い。 それを埋めてくれる本がある。Innéacs Nua-Ghaeilge (Acadamh Ríoga na hÉireann, 1981) で、この本を開けば現代アイルランド語と古アイルランド語の語形の対照が一目で判る。古アイルランド語の語形が空欄であれば、両者は全く語形が同じだということ。 例えば、cách などは現代アイルランド語と古アイルランド語とで語の形が同じだ。先日、ある所でこの語を含む歌のことを教えてくださる方があったときに、ハッとした。意外に古いものが現代に生き残ってる。 Sun 2-10-11■[Gaeilge] アイルランド語の辞書(紙媒体篇)忘れないうちに紙媒体のアイルランド語の辞書についても書いておこう。「紙媒体」は以前は「冊子体」とも云った。 ある辞書が使えるかどうかは、その序文が読みこなせるかどうかだと、よく云われるが、もう一つ重要な前提がある。文法が完全に頭に入っているかどうかだ。完全に入っていない場合は、電子篇で挙げた活用表附きの辞書を使うのが最善。 というのも、辞書を引く場面を考えてみると、単語が原形で出ていることはむしろ稀で、たいてい活用した形だ。従って、なぜその形になってるのかが理解できなければ、そもそも辞書は引けない。 ところが、問題になるのがアイルランド語の文法規則だ。規則の数が英語の7倍あると云われるくらいで、しかも、標準語がなく、方言ごとに活用が違うことが多いので、ターゲットの素性をよく調べてからでないと文法的分析もできない。 実際上、一番難しいのが名詞の活用を見分けることで、次に難しいのが動詞の活用。ただ、動詞の場合は、活用表を手許に用意しておけば、わりと簡単に判別できる。辞書に附属の表でもいいし、単独の冊子、例えば Briathra na Gaeilge (Folens, n.d.)などを使ってもいい。 名詞の場合は属格の弱変化と強変化について知っておくのがよいけれど、一般のアイルランド語独習書(Learning Irish など)には書いてない。ならば、文法書となるけれど、大概はややこしい書き方がしてある。弱変化の場合だけ書いておくと、
これ以外は強変化である。つまり、主格複数形と属格複数形は同一である。 以上の前提を置いた上で、紙媒体で備えるべきは電子篇で名前を挙げた Ó Dónaill 編の FGB (Foclóir Gaeilge-Béarla, 1977)である。これしか標準はない。少し古いアイルランド語に接する必要があれば、Dinneen 神父の Foclóir Gaedhilge agus Béarla, an Irish-English Dictionary (Irish Text Society, 1927)は重宝する。文法的な説明というより、用例に見るべきものが多く、読んで面白い。 これ以外に、学習者向けの辞書がいろいろある。近年に出たものでは、Collins Irish School Dictionary (2011)や Collins Easy Learning Irish Dictionary (2009) が中々いい。後者は語彙が絞ってあり、用例も分かりやすいものしか挙げてない。 ざっとこんなところだけど、以上の現状で満足してるかというと、そうではなく、できれば英語の Longman Pronunciation Dictionary のような詳細な発音辞典がほしい。また、FGB よりもっと大規模な最新の辞書がぜひほしい。本当に詳細に書けば、方言の数だけ必要なので、同程度の英語辞書の3倍の大きさにはなると思うが、それは仕方ない。 Sat 1-10-11■[Gaeilge] アイルランド語と英語の辞書(電子篇)〔追記〕日頃、アイルランド語や英語に接する際に、お世話になっている辞書を、感謝をこめてちょっと挙げてみよう。 紙媒体が依然として最も有用な資源であることに変わりはないのだけど、実際には電子的なものにも相当助けられている。片っ端から挙げていくと長くなるので、今回は電子的なものに絞って書いてみる。 時間の比率でいうと、たぶん最もよく使うのが WinGléacht だ。中身は現代アイルランド語の標準的辞書 FGB*1 本文の語義部分(例文なし)プラス電子版独自の情報。これ、アイルランド語の初級者から上級者まで、お薦めできる。FGB 本文が詳しく読みたい時は本のほうに当たればよいのだけど電子版にしかない情報は貴重。見出し語を右クリックすると活用表が表示される。動詞なら各時制、名詞なら格変化といった具合。 つぎによく使うのは、同率で eDIL と focal.ie だ。前者は古アイルランド語の辞書。言葉の歴史を辿ろうとする時の最高の辞書 Dictionary of the Irish Language が電子化されたもので、紙媒体より引きやすいと思う。後者は現代アイルランド語に関するデータベースで、国家的プロジェクト。最新の科学的話題を読書きする時など、すごく頼りになる。 ほかにもたくさんあるけれど、急いで英語に移ろう。が、英語については、知ってる人はよく知ってるのじゃないかと思う。私見では、いま最高の携帯電子辞書環境は iPod で手に入る。例えば、SOD や Webster 第三版が携帯できるのは iPod 環境しかない。さらにスコットランドの特徴豊かな Chambers や、訳語が抜群のロングマン英和も(専用機を除けば)、iPod 用しかないはず。言葉の歴史を遡ろうとしてラテン語やギリシア語が引きたくなっても iPod 用の辞書がある。もちろん、例えば SII 製の G10 が悪いと云ってるわけではなく、それはそれで素晴らしい。けれども、OED に近いレベルで引ける携帯環境は iPod 上にしかないのは事実だ。もちろん、PC があれば電子版 OED が使えるけれど。 が、実は時間の比率でいうと、最もよく使ってるのは Kindle に内蔵の辞書だ。英文を読むときにすぐに引きたくなったら、速さでこれに優るものはない。なにしろ、本文に辞書が埋め込まれているようなものだから。現行版では ODE と NOAD とが入っていて、どちらかを設定しておける。例えば、Tim Robinson の Connemara 連作のようなアイルランド特有の語彙が豊富な作品でも ODE なら、かなりヒットする。 駆け足で書いてきたけど、現状で満足なわけではない。アイルランド語についてはせめて WinGléacht 級のもので携帯できるものがほしい。Collins Pocket Irish の iPod 版は便利だけど、いかんせんポケット版辞書の限界がある。英語については、長年望んでることだが、OED を携帯したい。それに尽きる。 〔追記 20111017〕 英語の辞書について。SOD は現在 iPod/iPad アプリとしては入手できないようだ。このためだけでも iPod Touch を入手する価値があるくらいのアプリだけに残念。また、iPad への最適化もされていない。▽Webster 第三版は iOS 5 になって表示が乱れる。早急に改善してもらいたい。iPod でも iPad でも。▽Kindle に内蔵の辞書として ODE と NOAD との両方が使えるのは Kindle 本体と iPhone 版だけで iPad 版では NOAD しか使えない。ODE も早く搭載してほしい。 〔追記 20111112〕 Webster 第三版は修正され、iOS 5 でも表示が正常になった。実は、開発元に改善要求を送っておいたところ、可能な限り早く対処すると返事が来て、実際それからほどなく改善された。 Thu 11-8-11■[etc] 新しい世界三月の東日本大震災を機に世界は変わってしまったと実感する日本人は多いけれど、もっと大きな世界も変わってしまった。 青山繁晴さんは、新しい世界は<リーダーなき世界>だと云う。直接の原因はドルが基軸通貨でなくなったこと。1944年以来のブレトン・ウッズ体制は67年経って終焉を迎える。米国はもはや世界のリーダーではない。米国の軍事力とはドルを支える存在だった。軍事力のゆえにアメリカが世界のリーダーであった訳ではない。 今後米国に代わるリーダーはどこか。それが当面見当たらないがゆえに、リーダーなき世界が始まったのだ。EUもシナも無理である。日本は今より負担が増大する。しかし、同時に自立する大いなる機会ともなる。 その観点から民主党代表選を捉えよう。今月の「文芸春秋」に論文を発表した三氏を初め、各陣営の「隠し玉」も出てくるだろう。日本の九百兆近い借金を返し国を再建するのは誰か。 Tue 17-5-11■[etc] 宿題覚書そうこうしてる間に宿題がいっぱいたまってきた。忘れないうちにメモする。殆どゲール音楽文化に関することだけど分野はいろいろ。
・・・等々、とりとめもなく思いつくまま書いてみた。恐らく他の人にとっては何の関心も呼ばないだろう。が、万が一、何かあれば、コメント欄にでも書いてくだされば、物怪の幸い。 〔追記 2012年2月5日〕 上記のうち、Seán Ó Riada の Our Musical Heritage は全篇が再放送中。 Sun 1-5-11■[etc] 一杯の水 Gloine uisce一杯の水を飲む倖せをかみしめる。 琵琶湖のごとく巨きな水甕、すなわち一千万人を超える人々の水源が汚染されたらなどとの懸念から直接発するわけではないけれど、やはり倖せには違いない。それは以下のごとき妄想にしばしば襲われるからだ。 熱い黒烏龍茶のガラス瓶を桶の水で冷やしていると何故か炉心冷却の語が浮かぶ。 英連邦が54あると聞けば日本の原発数54を直ちに思い浮かべる。 アイリシュ海の名を聞けば1970-80年代に世界一の汚染された海であったことを想起する。日本の再処理で儲けており止められない英国ウィンドスケール(Windscale 「ウィンズケール」)核燃料再処理工場から流された放射能汚染水。*1 アボリジニの名を聞けば東電や関電が買っているウランの採掘地としてのオーストラリアを想う。それはしばしばアボリジニの聖地でもある。*2 世界は明らかにつながっている。 その世界とは3月11日以降、変わってしまった世界だ。 技術的理屈は分らなくともただ差別の故に脱原発を目指せと小出裕章・京都大学原子炉実験所助教は語る。危険を他人に押付ける差別。都会に原発を作らず、原発労働者に社会の底辺の存在を使う。*3 毎日生きてゆく上で、これまで意識してこなかった根源的な問いを突きつけられた気がする。 ぼくは一杯の愛蘭の水を飲む。ただその倖せをかみしめる。 Tá buidéal uisce agam atá ag 'An Ainnir Gheal' freisin is fada liom uaim í. Fri 25-2-11■[song] ヨイクの新しい形――Sofia Jannokある親友が最近北欧の伝統歌の研究を始めた。彼はぼくと殆ど同じ趣味、即ちアイルランド語伝統歌が好きなのだが。彼が紹介したのはスウェーデンのヨイクの歌い手で、1982年生れの Sofia Jannok だった。聴いてみると従来知っていた無伴奏の即興的なヨイクとは違い非常に現代的でポップ・ソングとしても聴けそうな編曲である。その軽やかさは最近のスコットランド・ゲール語歌の新しいアプローチを想起させる新鮮さがある。大変気になる。その曲とはサーミ語で唄われる次のものだ。*1
Thu 27-1-11■[ceol] 詩からエアへアイルランド語伝統歌とスロー・エアとの関係について某所で書いたことをまとめておきます。 音楽家にとって音色は基本のことですが、そこからスタートして考えます。 「音色」の語の代わりに「響き」(Klang) をオーボエ奏者の渡辺克也さんは提唱。アイルランド語伝統歌の場合は音のみの考慮では不足で、まず詩の構造を考え、そこから息継ぎの場所を詩全体について決め、それでやっと鼻音とか装飾音とか実際の音の検討が可能になる。各連ごとに対処が変わる。 つまり、<(発音体から)必要最小の力でうまく効率よく最大限の振動を引き出す訓練、これこそがわれわれ演奏家にとって、一番大切な、基本中の基本練習です>(渡辺克也さん)の前に、アイルランド語伝統歌の場合は、詩として声に出せなければ始まらない。声に出せれば「響き」への道は開かれる。 そして、この手続きを経た上で、アイルランド語伝統歌をエアとして演奏する際の「響き」の検討が可能になる。そのようなアプローチをとるスロー・エアのワークショップもある。 詩をまず朗誦してから(=<言葉の音楽>を味わってから)唄うことを実演してくれるビデオ: http://ow.ly/3IPZH 歌はラフタリーRafteryの名歌'Úna Ní Chatháin', 歌い手は現存する最高のシャン・ノース男性歌手 Éamon Ó Donnchadha. このビデオを見ると、歌い手はまず詩を自分の中に入れてから、唄うのだと判ります。原歌を頭に入れてエアとして演奏すると、その歌を知っている人にも違和感なく聞こえるでしょう。多くは有名な歌なので歌詞を覚えている人は珍しくありません。元の言葉の途中でフレーズを切ったりといったことはできれば避けたほうがいいと思います。 ちなみに、このビデオは NPU (Na Píobairí Uillean) のビデオ・アーカイヴにあるものです。ここにはさまざまの演唱が収められています。
Sat 22-1-11■[Gaeilge] 時の beag をめぐる仮説アイルランド語の 'beag' (小さい)の語が時の表現で使われることがあります。それについて某所で書いたことをまとめておきます。 ガロージーン・ヴラナハの名唱で知られる歌 'Tráthnóna Beag Areir' 「夕べ遅く、昨日の夕方遅く」に現れる beag は典型例です。 まず、tráthnóna < tráth nóna [< nóin] と語源を考えてみる。つまり、元「九時課」(=午後3時)であると。そう考えれば、tráthnóna が午後3時以降の夕方を(元々)指す理由が判る。 その前提に立ち、nóin beag とか tráthnóna beag を考える。いづれも「夕方おそく」の意。ドネゴール方言(的)な表現。どうして<小さい夕方>が遅い夕方の意味になるのだろう。 beag は最近の時を指すのに使うことは使う。anois beag 「たった今」とか inné beag 「ほんの昨日、昨日遅く」とか。 ここから、時の beagについての仮説。今の〔或いは、ある〕時点から考えて<ほんの少し>(前)を表すのが元々の使い方ではないか。夜になったばかりの時点で直前の夕方遅くを指すのが tráthnóna beag であり、今日になった時点で直前の昨日を inné beag と。 |
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RTEの大英断
古アイルランド語の辞書 アイルランド語の辞書(紙媒体篇) アイルランド語と英語の辞書(電子篇)〔追記〕 新しい世界 宿題覚書 一杯の水 Gloine uisce ヨイクの新しい形――Sofia Jannok 詩からエアへ 時の beag をめぐる仮説 No Frontiers の意味 2011年最初の珍事件 2010年の収穫 ラフタリーの命日 こころざし気高しシーリア 至宝シーリア 報道人、ふたり去る ルーミーの命日 ブラジルの空 Speir na Brasaile パダル・オリアダの新刊書 RnaG の音質 再開予定 【自然災害】 災害対策の全面的組直しを ロコモティヴ・シンドローム アイルランド語歌ワークショップ 明けましておめでとうございます [Revised] Comments Frozen 【修正】コメント機能について TradTunes 中止 MDR-NC500D 第一印象 ジョー・ヒーニー伝の紹介 SHM CD のラインアップ Taoiseach Nua Go-Vibe Petite+DAC Soul Speak アイルランド語質問箱 シェーマス・エニスの日記の紹介開始 NetRhythms Picks Andy Palacio (1960-2008), RIP オリーアダ・アーカイブ公開 『アイルランド語文法 コシュ・アーリゲ方言』1月24日刊 シェーマス・エニスの日記 入手 シェーマス・エニスの日記 カハル・オシャルキー アイルランド語辞書 アイルランド語文法書 Tube Fare Stiofan Risteard Oireachtas 2006 Hamza El Din (10 July 1929 - 22 May 2006) RIP Lasairfhiona at the National Concert Hall (July) Sean-Nos Singer in Residence 2006 (NUIG) Statement of Sakie Yokota 横田 早紀江さんの陳述書 Emily Smith 〔追記〕 TraditionFolk.com Scots Irish Music Website trac りんご戦争続報 Beatles and ’Apple’ アイルランド友の会、6月末で店じまい りんご戦争 Apple, Apple, Apple マーバーラカーレ Ma Bala Kale Smoke-free Scotland 3月20日からの一週間 天理大サテライトでアイルランド語講座 Chieftains, Special Program (WFDU) La Feile Phadraig Total Recorder, Scheduler 17世紀ゴールウェーが舞台のゲーム 記事一覧(全部)
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