TRPGにおけるメタウイッシュと1%の嘘
TRPGは嘘の遊びだ。
「もし願い事がすべて叶うとしたらどうする?」
俺の世界の根本には、いつからか、常にこの命題が横たわっている。
なぜなら、GMにはキャラクターの望みをすべて叶える権限があるから。
「戦闘で死んだ仲間の蘇生を!」
「はいはい蘇生魔法ね」
「このルールでは蘇生魔法のない世界観だけど、1回だけのキセキを!」
「はいはいいいですよー」
「ウイッシュリング?!どんな願いでも叶うの?」
「ルール上制限があるけどね、えーと」
なんだそれ。
なんで魔法にルールがあるんだよ。
ルールで定義できるならそれは科学だろ。
いいじゃんね。
キャラクターが永遠の命を願ったら永遠の命を獲得すればいいし、世界全てを願えば与えればいい。
別にファンタジーものじゃなくたって、うちよそだって、物語構造を持つものであれば常に同じだ。
判定なんてしなくていい。
「次の願いは?」
「次の願いは?」
「次の願いは?」
だいたいこれを100回も繰り返せば、キャラクターは沈黙する。
本当にすべてが叶うから。
「世界と一つになって、すべて自分の思うとおりに」
「なったよ。今後世界は君の考えたままに、考える前に、すべてそうなっている」
頭の回るキャラクターならこうだ。
「先の見える人生などごめんだ。
俺の人生は俺が決める。
おれが死ぬときに、ああ、幸せな人生だったと思えるようにしてくれ。」
キャラクターはウイッシュの使用を忘れ、幸せに人生を終える。おめでとう。
単にウイッシュの力を捨ててもいい。
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ところがプレイヤーは面白くない。
キャラクター作成をした第一話でキャラクターは幸せな人生を終える。
一度ウイッシュを捨てたあとに襲う困難は、
そこに本当の苦悩があるのであれば、ウイッシュを捨てたことが頭をよぎる。
もちろん、それを自分の選択として誇ることもできる。
けれど、多くの人はそうではない。
煎じ詰めれば、TRPGは、冒険の、挑戦の、つまり障害に対する選択の遊びだから。
プレイヤーの深層的なウイッシュは
「キャラクターに障害が降りかかること。
解決不能と思われる障害を
すぐれたプレイヤー能力 / 世界からの寵愛
で克服すること」
だからだ。
ここで言う「世界からの寵愛」とはGMのことではない。
本当の寵愛とは、プレイヤー自身が世界に選ばれたものであること、幸運に恵まれること。
つまり「ダイス目に恵まれること」だ。
自分が幸運だと感じることは、人間にとってとても幸せだ。
幸運とは世界そのものからの絶対の承認。
ガチャの中毒性はここにある。
ノーコストで解決可能な障害は障害ではない。
障害を克服したときの快感は、プレイヤーが感じている障害の大きさに比例する。
単純に帰結させるなら、障害を大きく見せて、
まるで解決不能な課題をプレイヤーが解決したように見せればよい。
GMにはそれが可能だ。
例えルール通りに処理しても。
プレイヤーがGMより愚かなら。
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プレイヤーがGMより愚かでなければ?
挑戦のリスクを計算し、より効率的な選択肢を取り、80%の勝利を引き寄せる。
やったね。計算通り。
楽しい。時間効率も良い。大人の対応だ。
でも、10%の障害を乗り越えた快感にはかなわない。
5%の障害を乗り越えた達成感には及ばない。
1%の、
0.01%の、
数億分の1の奇跡を引き寄せたときの自己肯定感、
記憶の鮮烈さには達しない。
100個ならんだ80%の勝利と、
1つだけ輝く0.8%の勝利。
あなたはどちらを望むだろう。
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嘘はプレイヤーに見透かされる。
予定調和は見抜かれる。
それでもなお、奇跡への到達を望むなら?
成功率50%:失敗率50%の出来事が、10回成功したときだけ辿り着ける局面。
到達率は0.0098%。
選択肢の中で、わずかな解釈の変更で、1%だけ。
成功率を51%に動かせるとするならば。
言葉の表現、描写の調整、時系列の順序で、
成功率51%のできごとを、
成功率50%と感じさせることが出来たなら。
そんな遊びをしたりしていなかったり。
「トリックスターのカルト」とグローランサ
グローランサにはいろいろな謎があるけれど、個人的なこだわりとしてトリックスターのカルトがいつも心に引っかかっている。
自分のワールドビルディングが、世界は「物理法則」ではなく「ルーン法則」で動いているという前提に基づいているからだ。
ルーン法則とは何ぞやについては語ると長いので割愛。わかって。
Wikipediaが正しいとは限らないけどとりあえず引用。
トリックスター(英: trickster)とは、神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者である。往々にしていたずら好きとして描かれる[要出典]。善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのが特徴である[要出典]。
トリックスターのカルトの目的は何か。
「神や自然界の秩序を破ること」?
トリックスターのカルトに入信する目的は何か。
「神や自然界の秩序を破るために入信する」?
そんな人いる?
荒魂的な信仰だとして「神や自然界の秩序を破るものを鎮めるために信仰する」?
おかしいよね。
オーランスがトリックスター的な側面を持つとか、詐欺師が人を口車に乗せるとか、「〇〇はトリックスターだ」という表現は成り立っても、「トリックスターのカルト」なんてない。
もうひとつ。
トリックスターが「神の秩序を破ること」が本質なのであれば、
トリックスターは自分自信を転ばせなければならない。
カルトは破壊すべきだし、
信徒は騙すべきだし、
信仰は幻影であるべきだし、
信仰は幻影だという信念は覆されるべきだ。
そんな組織、維持されるわけがない。
自分自身は対象外とか、幻影のルーンの風上にも置けない。
トリックスターのカルトは、他の目的が主であれば成り立つ。
詐欺師のカルトの目的は「金を儲けること」で、手段として「人を騙す」であって、「人を騙す」のが目的では成立しない。
手品師や演劇人であれば「人を楽しませるために幻想を見せる」ことが主目的で、「幻想を見せる」のが主目的ではない。
カルトは、カルティストは、「トリックスター的挙動を示すことが多い」に留まらないといけない。
もしくは……
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グレッグコン用前口上(グローランサ・サーター王国・ルナー帝国・ハラボーン氏族)
2023/10/07のグレッグ追悼CONで「シックス・シーズンズ・イン・サーター」のマスターをやるけれど、主催者には「初心者参加可」卓で申請しているので、グローランサとルーンクエストについて何も知らない人、というのを前提に前口上を書いてみる。
たぶんそういう人来ない気もするし、特にノートPC持参というハードルのある俺の卓に来なさそうなんだけど、謳っているからには準備はしないとね。
グローランサについて
グローランサはグレッグ・スタフォードが創造した、無数の神々と魔法が実在する、ファンタジー世界です。
誰でも日常的に魔法にアクセスでき、特に、神を通じて強力な魔術を行使することがでます。
とはいっても、D&Dのように一人の魔法使いが大多数や広範囲に魔術を振るえることはなく、ゲーム中に出てくる魔術は対象を自分ひとり・相手ひとりに限定している呪文がほとんどです。
逆に、社会運営の根幹に魔術が組み込まれているのが特徴で、穀物の収穫量を上げる、街や集落を安全に保つ、病を癒す、コミュニケーションをスムーズにする、など、衣食住の確保と社会を円滑に運営するために、社会的な集団によって魔術が行使されます。
例えば大地母神の信徒は産婆としての役割を担い、農夫は穀物神を、猟師は狩人の神を、戦士は戦争の神を信仰し、神から与えられる魔術で自分たちの役割を良く果たせるように暮らしています。
魔法と信仰のために地域によって文明がちぐはぐで、文明レベルを現代と比較するのは難しいですが、おおむね火薬・印刷のない時代、鉄器が魔術的な物品として扱われる時代を想定して貰えればと思います。
また、多数が集まって儀式を行うことで強力な魔術を行使するという性質から、どの社会集団に属するかということが重視されます。
特に最新の版(RQG)では、キャラクターが世界の好きな場所で好きな人生を生きるのではなく、自分の属する集団をどう導くか、という社会的な役割を問われるデザインになっています。
(個人的には「そこ前面に出すと、TRPGを始める年齢層に好まれないんじゃないの?」と心配です)
サーター王国について
今回舞台となる「サーター王国」は山がちな土地で、住んでいるのは「嵐の神オーランス」を主神とする人々です。
現代日本から見れば荒々しい部族社会で生きる彼らは、数百人程度の「氏族」を1単位として暮らし、氏族が集まった「部族」内で他の氏族からつがいを選んで結婚し、どちらかの氏族の一員となります。
詳細な社会設定もありますが、コンベンションで解説しているとそれだけで時間が終わってしまうので、今回はゲーム内で小出しに解説しますので、雰囲気だけ感じていただければと思います。
サーター王国は17年前に北の「ルナー帝国」から侵略を受け、現在はその占領下にあります。
ルナー帝国は官僚化された政治組織を持つ大帝国で、空に浮かぶ赤い月の神「赤の女神」を主神として信仰しています。
そして、サーターの人々は、「赤の女神」をこの世界グローランサを滅ぼす「混沌」の化身として忌み嫌っています。
まずはこの程度の概略で、氏族の説明とキャラクター選択に進もうと思います。
ハラボーン氏族について
ハラボーン氏族はサーター王国のコリマ―部族に属する450人程度の小規模な氏族です(同人モジュール設定なので公式ではありません)。
山と山の間の全長7kmていどの細長い渓谷で暮らす彼らは、古い時代に神聖な「黒い雄鹿」と契りを結び、氏族のトーテムとしました。
南の開口部でも幅は500m程度で、北は滝で終わっています。
12のステッド
川沿いには、氏族が所有する12のステッドが点在しています。これらは、オーランス社会の中流階級である牛飼いの家です。
家には父方の祖父母、叔父、叔母、従兄弟などがいて、ロングハウスで3~5人が一緒に暮らしています。
妻や子供、祖父母を含めると、1ステッドあたり15〜20人、30〜40頭の牛を飼っていて、羊、豚、ガチョウがその2倍ほどいます。
子どもは自分の親が誰なのかは知っていますが、叔母や叔父も「母」「父」と呼び、全員が親としての義務を負っています。
成人男性は氏族から、耕すことのできるだけの畑が与えられています。
また、成人男性は全員、氏族の民兵組織であるフュルドに所属します。各ステッドの長はセイン、つまり「馬の人」の地位を持ち、共同体の指導者とみなされます。
ステッドとステッドの間には、それぞれ20軒ほどの下層民の竪穴式住居が点在しています。
コッターたちの多くは猟師で、ウサギやイノシシ、キジなどを食用にします(ハラボーンでは鹿を狩ることは禁じられています)。
村
谷の中心部に「村」があり、市場、鍛冶場、集会所など、14件の建物が集まっています。
住人は氏族の重要人物で、セイン(近侍)の身分を持ちます。内陣7人のうち、族長以外の6人がここに暮らしています。
- 族長:二度祝福されたステッドの“ケンストレルの息子” ゴーダンガー、“神々の王” オーランスのルーン王。
- ウェポンセインの長:“剣の歌の” ジョルグナス、元赤い岩のステッド出身、フマクトの剣。
- 大司祭:二度祝福されたステッドの“ケンストレルの息子” サヴァン、“雷鳴轟かす” オーランスの嵐の声。
- 大女祭:高き水のステッドの“ジャーララントの娘” モルガネス、アーナールダの女祭。
- 法の語り部:リドル護りのステッドの“白鹿の” ジョディ、ランカー・マイの賢者。
- 代表戦士:落ち熊のステッドの“銅の斧の” エリニナ、バービスター・ゴアの女ルーン王。
- スカールド(詩人):“青き瞳の” ケラドン、繋がれたユールマルのトリックスター。
他に2軒、重要人物がいます。
- 谷と首都ボールドホームとの通商を円滑に行うリドル護りのステッドの“グディンの息子” ボルカー
- 青銅鍛冶の名人である崖の盾のステッドの“ホルヴィックの息子” ハーヴァール
残りの6はその他の司祭や家来の家です。
高台に木製の柵と簡単な見張り台で守られた族長の館があり、村を見下ろしています。
ロイヤル
ロイヤルは黒き雄鹿の息子で、乳白色のたてがみと12本の枝の漂白した骨のような色の角を持つを巨大な雄鹿です。
彼は谷のすべての動物のリーダーでハラボーン氏族の祈祷師であり、8番目の内陣です。
人前にはめったに姿を見せませんが、聖地である「ロイヤルの杜」で会える可能性があります。
ロイヤルの杜は600mほどの高台、巨大な樫の木が広がる森の中にある完全な円形の空き地です。
雄鹿の丘
高さ20メートル、直径70メートルの土でできた塚で、7つの立石が輪をつくっています。
古墳にはヒョルトの息子ジャースタコスの古代の墳墓と、ハラボーンを創設した当初の戦友たちの墓があります。
男たちのオーランスへの入信や礼拝はここで行われます。
リドル
山に彫り込まれた完全な正方形の入り口は、記録が残らないほど古いものです。
内部は迷宮で、松明は中で燃えず、音は消されます。
ハラボーンの女たちは初潮の直後にここで入信儀式をします。
リドルには男性が入ることはできません。
あなたたち
あなたたちは成人の儀式を終えたばかりのハラボーンの男女です。
これから、氏族の役に立つために成人としての義務を果たしていかなければなりません。
キャラクターは8人から選べますが、モジュールで設定されている氏族の生活描写のため、男性1名、女性1名がいることを推奨します。
8人のキャラクターを簡単に紹介します。
とりまここまで。
プレロールドキャラクターの紹介、明日書けるかなぁ…
グレッグコンでノートPC必須卓を企画してみる
※注意事項
2023年10月7日に予定されているグレッグ・スタフォード追悼コンベンション用のGM企画です。
会場で電源を使ってよいか、ノートPC必須セッション、合成音声の使用などについて主催者と確認していないので、現時点では妄想です。
果たして需要があるんですかね?
【募集要項】
ルーンクエスト・グローランサ日本語版の発売を記念して、まりおんさん翻訳の同人モジュール、「シックスシーズンズ・イン・サーター」の第一話、オーランス社会の入信儀式の章を遊びます。
GMは2回テストプレイ済みです。
【想定するプレイヤー】
募集人数:最適3名(最大4名)
オフラインセッションですが、情報共有とダイスロールのために、自作チャットシステム「SpreadChat」(詳細下記)を利用します。
全プレイヤーにノートPCとgoogleアカウントが必要です。
→googleアカウントはGM側でも用意しました。なくても大丈夫です(2023/09/18)
電源タップとWi-FiはGMが用意します。
利用するgoogleアカウントは参加者に対して開示されるため、注意してください。
【テーマ】
- 少年たちの成人の儀式に没入体験することで、グローランサ世界の"野蛮"な雰囲気について感じてもらう。
→ ※成人の儀式はムービーシーン多めなので、ルーンクエストグローランサのルールを体験する単発セッションとしては第2話のほうが選択肢が多いかと再考中です。その場合、村の中でのこどもの神隠しを調査する話になります(2023/09/18追記) - 対面かつノートPCを使った、チャットツール、画像生成、音声合成、ChatGPTなどの新しい技術を使ったTRPG運営のアイデアを体験してもらう。
【できること】
- 成人の儀式を魔術的に描写します。グローランサでの「ヒーロークエスト」のイメージを体験できます。
- ルーン・パッションシステムによる「物語的なルール運用」と、スキルシステムによる「具象的なルール運用」の組み合わせを体験できます。
- プレロールドキャラクターで、キャラクター作成なしに遊べます。
- 卓の割り当てから開催までに時間がある場合、キャラクター作成の希望があれば事前にオンラインで対応します。
- 現在のグローランサ公式が意図しているゲームの方向性を体験できます。(同人扱いですが)
- 長文のナレーションや長いNPCのセリフは合成音声を使用します。環境音を利用するシーンもあります。
- チャットツールを使ってリアルダイスでなくても、ロールに魂を込められると感じることができます(たぶん)。
【できないこと】
- キャラクターは14歳から16歳の少年のみです。
- 成人の儀式前のため、グローランサの売りのひとつである魔法を使用することが出来ません。カルト別の魔術なども使えません。
→第二話にすると、カルト魔術も利用できるようになります(2023/09/18追記)。 - 「どのカルトに入りたい」という心情をロールプレイすることはできますし、それによってセッションの描写は変わります。
- シーンで進むため自由行動ができません。各PCに予定された単独シーンがあります。
- MAPを利用したタクティカルな戦闘はありません。ルールを体験する程度の戦闘、精霊戦闘があります。
- 判定はすべてチャットシステム上で行うので物理ダイスは使用できません。
【運営上の工夫と注意】
- 人権を前提にしたり、理知的に行動しがちになる枷を外すために、現代日本人が理解しうる文脈として、トーンをヤクザ物に寄せます。
- 個人よりも群れ。実利よりもメンツ。登場人物はすべてヤクザか、チンピラか、姐さんです。
- モジュールでは重厚な標準語で書かれているNPCのセリフも、ChatGPTで広島弁に変換したものを用います。
- PC達も基本的なメンタルや口調は、ヤクザ、チンピラ、ヤンキー、鎌倉武士、島津に寄せるのが望ましいと思います。
- 参加する方を見て調整はしますが、暴力、差別、弱者排除、性的な表現が頻出します。身体欠損、拷問、強姦を扱う可能性もあります。
- 参加者はこの点を十分に理解したうえで参加するようお願いします。
- GMはマスクを着用します。
【セッションの流れ】
シーンは固定されています。キャラクターの行動によって結果は変わりますが、シーン進行は変わりません。
【シーン0:60分】事前説明
SpreadChatの使い方、モジュールの舞台となるグローランサ、サーター王国、ヒョルト人の氏族についての説明です。
【シーン1:90分】「鋤を祝福する日」
PCとNPCの1:1の徒競走を通じて、各PCを描写します。
【シーン2:60分】「通過儀礼」
暴力に満ちた生活と、ルーンクエストのスキルシステムを体験するシーンです。
【シーン3:各20分】「穴」
各キャラクターの見せ場です。主要なロールプレイシーンとなります。
【シーン4:30分】「星のこころ」
神々や伝承と共に生きるということはどういうことか、グローランサの魔術の一端を理解するシーンです。
ゲーム時間もしくはキャラクターの選択によって、【エンディング】もしくは【シーン5】にすすみます。
【エンディング:20分】「饗宴と帰還」
【シーン5】「我が戦い、皆が勝った」
【シーン6】(秘匿)
【シーン7】(秘匿)
【エピローグ】
エンディングの後に時間があれば、希望に応じてエピローグシーンを挿入します。
【模擬戦闘】
エンディングの後に時間があれば、希望に応じて模擬戦闘を行います。
【チャットツール「SpreadChat」について】
- Googleスプレッドシートを利用したチャットシステムです。
- キャラクターパレットに登録した情報を元に、技能ロールができます。
- 同一の判定に対するPCの結果が横並びで見れるため、複数人が判定することの多いBRPに向いた作りになっています。
- キャラクターの表情と発言とロールがセットで記録できるため、そのままセッションログ、リプレイとして使用できます。
- 170セッション、1000時間を超える運用実績があります。
- サンプルURL:※準備中 GMの用意したプレロールドキャラクターでロールのできるサンプルシートです。
『推しの子』を覗き込むYouTuberを覗き込む愉悦
とてもいい出会いをした。
最初に『アイドル』を見たのは4月。
ニコニコのランキングだった。
『推しの子』については一切知らない状態で、うすらぼんやりバズってる空気だけ感じて動画を開いた。
ラップパートになったところで動画を閉じた。
ラップが酷いとかそういうのではない。
そもそも酷いかどうか判断する素養も持ってない。
『夜に駆ける』はそこそこ聞いていた。
歌い上げる感じは嫌いじゃないけど、歳を重ねたのもあって、視野狭窄的な感情は少し距離を取りたくなる。
「はいはい。また闇系ね」と嫌気が出て閉じた。
ここからネタバレが入ってきます。
『推しの子』は事前情報なしで見ると、とても心によいアニメです。
アニメ9話をみた後に書いているので、そこまで見ていない人は見てから読んでくれるとうれしいです。
何話まで見て、ともいえない。どこでヤラれるか、知ることさえ興を削ぐ。
原作既読の人は想像がつくとは思うけど、それでも何話ともいいたくない。
(この記事のタイトルも結構なネタバレではある)
準備ができた人だけ先へどうぞ。
続きを読む
純粋TRPGの話-D&Dと不思議の国のアリスと原初的な物語体験-
「〇〇はTRPGじゃない」
「TRPGとは〇〇なゲームだ」
ま、古強者は聞き飽きて適度にいなしたり、「うんうんそれもまたTRPGだよね」とかそういう雑な(実は真摯な)応答になりがちですけども、はるをさんの
同人TRPGを作ってるけど、あまり要素をそぎ落としたところにある純粋TRPGということを考えたことがないな……。他のゲーム/コミュニケーション手段に対する優位性なら、幻想の共有を助ける(だが可塑性のある)台座、とでも名付けられそうな何か、になるけど、これはエッセンシャルなTRPGではなさそう
— はるを@浅川河畔スタジオ (@haruwosumi) 2022年6月28日
に触発されて、ちょっと記事を書いてみる。
まず私の「TRPGとは」については
やってみたいと思ってる人に説明するときの
「TRPGっていうのは〇〇するゲームで」って
「相手が混乱しない、もっとも短い説明」
が、その瞬間のTRPGの定義だという立場です。
「いろいろな種類があって」とか「こういうケースもあって」とか「珍しいものだとこういうのも」とか、全部余分。
相手を混乱させるだけなので。
例えば「この動画みたいなの」とかで十分。
そこから入った人が他のTRPGに対して「そんなのTRPGじゃないでしょw」という発言もOK。
学習過程が違うんだから、そこで怒ってもしゃーない。
用語が定義されていないと不便という向きにおいては、
「世の中で遊ばれる時間の80%で共通しているものがTRPGのコア要素」
でいいんじゃないですかね。
要するに、ルールがあって、マスターがいて、複数のプレイヤーが参加して各自のキャラクターを持っていて、戦闘があって、ダイスで判定をする。
物語の始まりがあり、終わりがある。
これらはなくてもいいけど、多くの(というのはルールの数ではなく、プレイ時間シェアで図る)ケースでまだ今は共通でしょう。
ソロTRPG?ダイスを使わない?GMレス?ルールレス?ハンドアウトあり?プレイヤーが1キャラクターを担当しない?
戦闘ではなく交渉?恋愛?なりきり?演技?遊びじゃない?リアル肉弾戦?
おう、なんでもこい!
別に演劇は全部TRPGだ、とか
読書体験はTRPGである、とか
人生はTRPGだ、とかいいだしてもいいけど、
言葉というのは相互理解のためにあるので、より通じやすい言葉を選択するのが適切だとは思います。
さて、その上で。
成立過程に対する考察とか、自分の体験したことと対策を通じた視点というのは少し書く意味があるかもしれないな、と思いました。
D&Dの成立過程から言えばガイギャックスとチェインメイルあたりの話で、ウォーゲームのユニットを個人レベルに落としたと語られるみたいですけど、
それがなければTRPGは存在しなかったか と言えば、
そんなこともないんじゃないかなとは思います。
不思議の国のアリスはルイス・キャロルがアリス・リデルに即興でつくって聞かせた物語がもとになっているといいますけど、キャロルはひとりでべらべらと話してただけなんですかね。
私には何となく、ボートを漕ぎながら
「うーん、そうだな…
机の上に小瓶があるよ? おいしそうな飲み物が入ってる。
アリス、どうする?」
と言っているキャロルが目に浮かぶんですよね。
実際にアリスがどれぐらい細かく応答していたかはともかくとして、即興の話を相手に聞かせるときは、相手の表情や反応を伺って内容を調整しますし、小さな子供が自分が主人公として語ってくれる語り手に「ぼくは〇〇する!」って興奮して言うのを、俺は自分の子供達相手に知っています。
そしてそのとき、子供たちの目には、本当にその世界が映っています。
冒険に顔は上気し、握りこぶしには力が入り、困った時には指を噛み、危険な描写には身を竦め、悲しい話には涙を流します。
さて、ウォーゲームの駒を個人レベルに落としたという話とこの話、どちらがいまのTRPGに近いか、というと…
私は「ある条件に対する結果的な折衷案」だと感じます。
こどもがインタラクティブな即興譚をやって、何を楽しむかと言えば、
世界が自分の行動でどんどん変わっていくことなんですけど、
ここにはいくつかルールがあって、
① 身近さと驚きと不思議。
② 頭脳的な活動ではなく、身体的な活動描写。
です。
これらを意識して、というよりも、こどもの身体に力が入る話をしようとすると、自然とそうなります。
複数人相手にこれを行う場合…
意識して描写量を均等にし、各自の判断(と、リーダー適正などを見ながら)を引き出す質問をしていかないと、楽しさが一部のこどもに集中してしまいます。
他の子もつまらないということもないんですけど、意思決定の配分が偏り過ぎるとやっぱりテンションは上がり切らなくて難しい。
ただ、一人に対して即興譚をやった時と、複数人のパーティーに対してやったときは、入り込んだ時の最大深度が違います。
「なかま」と「どうする?どうする?」って困難に対して立ち向かう相談をする表情は真剣で、目はきらきらしていて、「自分たち」がここを突破するんだ、危機を乗り越えるんだ、というモードになった時の小集団は、非常に高い熱量を持ちます。
特に自分の判断で事態が好転したときは、仲間に「有能」であることを認められ、単独では感じられない喜びを得ているのもわかります。
ところが。
成長に従って、これを邪魔する要素が出てきます。
① 経験とそれに伴う予測
② 「これは『おはなし』」であるという、現実に対する解像度
③ 社会性という「仮面」
です。
おそらくですけど、こどもって、ほとんど周りが見えていないし聞こえていないんですよ。
それが成長するにしたがって、視界は広く、クリアに、耳は意味のある音を拾うように、予測する未来は長く分岐は多くなっていく。
目の前に置かれた事象に対する予測が正確になるにつれて、
妥当な結果であれば驚きは少なく、
妥当性のない結果であれば作り物感が強く、
──つまりリアリティラインの上昇によって、不思議を楽しめるレベルが低くなっていきます。
「いや、俺は不思議を楽しめている」という方はおめでとうございます。
自分が3歳、5歳の頃よりも遊びによってアドレナリンが出ているという方は、本当に幸せだと思います。
また、小さい子供の集団は本当にひとつの生物のような、集団から弾かれることが死の宣告になるような一体性がありますが、少なくとも現代社会では大人になるにつれて他者との距離を測ることを強いられます。
一体でなくなった他者の意向を諮らずに「本当の望み」を口にすることは、社会の分断になるので抑制する必要があります。
TRPGの全てとは言いませんけど、私はこうした子供が示す素直な喜びが、
TRPGという遊びが生み出されてきた本質的な理由じゃないかな?と思うわけです。
さて、大人になるにつれて減少するこれらの楽しさを補う手段があります。
ひとつはサイコロ、カード…遊びの4要素のひとつ「偶然」、つまり乱数です。
現実でありながら予測困難。
かつ予測バイアスによって、実際の確率よりもはるかにデフォルメされた「意外性の快感」をもたらしてくれます。
ふたつめは解像度が上がることによるメリットとして、遊びの4要素の「模倣」、実際の戦闘をシミュレートする解像度を上げる快感、のような楽しみも見出せます。
みっつめとして、「他者を演じるというルール」によって、赦されないはずの「望み」をかりそめに口にする、実行するという楽しみ。
現実の仮面の上に虚構の仮面を被ることで、衆目にそれを(すべてではなくとも一部を)晒す、束縛からの解放感。
さて、プリミティブな即興譚の楽しみは、多くの人の中にあるけれど、成長するにつれて失われてしまいます。
なんとかしてそれを取り戻そうと「こうしたら楽しい」をいろいろ、ゲームの側、物語の側それぞれが模索すると、回答として
「キャラクター」で没入性を保証し、
「ランダム性」でリアリティラインの衝突をやわらげ、快感を補強し、
「ゲームターム」で認識のすり合わせをやりやすする、
みたいな、いまの主たる形式が出来てくる。
TRPGがウォーゲームからの発展、というのは歴史上のクローズアップとしては「擦り合わせの接点としてそうした局面が来るのは必然」だったからで、ウォーゲームから派生しなくても、即興譚・口承文芸からも何らかのルートで似たようなものができてたんじゃないかな?とは感じています。
いろいろ書いてみましたが、個人的には、この幼少期のプリミティブな快感をなるべく落とさない遊びができないかな?と模索しているという話です。
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オフセでプロジェクターとかUSBタッチパネルを使ってみたあれこれ
オフセでプロジェクターを使ってみたいという人がいたので、以前の記事に続けて、実際にやってみたことと感想などを羅列してみます。
まず、プロジェクターを毎回セットするというのはそこそこの手間なので、次の3つのどれが選択できるかで、やれることは相当変わると思います。
1.自宅に大きなテーブルがあって、毎回そこでセッション出来る。
この場合、私なら天井に設置して机に投影、を試すと思いますが、できていません。
2.移動が車で荷物の多さは気にならない
この場合、私なら折り畳み式の物干し台みたいなので工夫して簡易的に吊り下げて机に投影、を試すと思いますが、できていません。
プラス、暗幕みたいなものも用意すると思います。遮光のレベルで結構ストレスが違います。
3.移動が徒歩/電車/自転車
私はこれなので、せいぜい大き目のバッグ二つぐらいが限界でした。
なので私のアドバイスは基本的にこの状況の人向けです。
「なんのためにプロジェクターを使うのか」
基本はスクエア/ヘクス戦闘を想定したタクティカルMAP共有だと思います。
で、いいんですかね? 笑
凝ったことをするのであれば光源判定とか、MAPマスクでしょうか。
いずれにしてもアナログな紙のMAPを机に置いたり、ホワイトボードに書いたりすると限度があるのは確かです。
マスターがPCを持参するのは自分のことなので問題ないのですが、参加プレイヤー全員にそれを義務化するのは難しい。
選択肢は以下の5つのいずれかでしょうか。
- 全員がモバイルノートを持参している
- 全員が少なくとも十分な大きさのスマホ(できればタブレット)を持参している
- プレイヤー側向けに入力用端末を1台用意する。
- プレイヤーの宣言でユニットをマスターが動かす。
- ホワイトボードに映し、ユニットをマグネットで表す。
マスターが全員分の入力端末を用意するのも自宅/車だと使える手ですが、ようするに1と2です。
■1.全員がモバイルノートを持参している
そもそもプロジェクターはいらないとも言えます。全員各自の画面を見ればいいので。
ただし、アナログな認識共有は、壁やテーブルに映したMAPをみんなで見て、指さしたりして確認したほうが速いし、場としての一体感があります。
私は下記のようにセッティングしていました。
壁 PL PL PL
壁映\机机机机机机
壁映 >プ机机机机GM
壁映/机机机机机机
壁 PL PL PL
このケースでは使用できるツールにほぼ制限がありませんが、モバイル通信環境が問題になることがあります。
通信速度の遅いプレイヤーがいると厳しい。
速い人のテザリングに乗っかっちゃったほうがよかったり。
壁に映すのでMAPの「高さ」の概念が出しにくいです。
机に映した場合、物を積むことで高さの概念が出せるのが凄い有利ですよね。やりたい。
MAPをくっきり写すために照明を落とすなら、キャラシートもダイスロールも、ツールに頼ってしまったほうがいいかもしれません。
紙のシートとダイスが見えにくいです。
照明も落とさずに、状況共有のためだけにプロジェクターを使うだけでも場の一体感が出るメリットはあります。
■2.全員が少なくとも十分な大きさのスマホ(できればタブレット)を持参している
1に比べてブラウザベースが基本になるので、使えるツールに制限が出ます。
自キャラの移動はスマホ、戦場全体の俯瞰はプロジェクター、というバランスになります。
目がスマホとプロジェクターを行き来して、少し疲れる。
自キャラ以外も動かせるツールだと、「誤って他人のユニットを動かしてしまう」事故が増えます。
広いMAPだとピンチ操作で自分のユニット見失いがち。
■3.プレイヤー側向けに入力用端末を1台用意する。
移動イニシアチブのあるゲームだと、やれなくはないです。
移動順に端末を回していくとか、コーラー立てて入力を代理でやるとか。
ただ、待ちが発生するので、オフセ対面でやる速度向上と、オンセで個別にユニット動かせる柔軟性のトレードオフみたいな感じで、メリットの2/3打ち消す感じ。
PCやNPCのノックバックのあるようなゲームだと、結局マスターが動かすことになって、次のマスターが代替するパターンになりがち。
■4.プレイヤーの宣言でユニットをマスターが動かす。
マスターの負荷が高いです。
あと、どうしてもPCがプレイヤーから離れた感じになって、マスター一人劇場とかマスターが小間使いみたいな空気感。
移動ミスとかないけど、あまりお勧めできません。
■5.ホワイトボードに映し、ユニットをマグネットで表す。
うちが最終的に落ち着いたのはこの形でした。
100円Shopの切れるタイプのカラーマグネットシート買って、5cm×5cmぐらいの■に切ってマジックで大きく番号書きます。
会場のセットアップにもよるけど、席から画面まで距離あるので、ユニット小さいと見えないです。
PC黄色、敵は赤、NPC緑、とか。書くのはPC名でもいいけど、太く書かないと見えないので5文字ぐらい。
図形の方が区別尽きます。うちはルーンクエストなので、キャラクターのルーン書いてた。
PCの移動は画面に近い人がコーラーみたいにやるもよし、みんなで立ち上がってわいわいやるもよしです。
敵やNPCはマスターがツール上で動かして、PCだけマグネットという方法と、MAPだけ写して敵もマグネットという方法があります。
敵をツール上で扱う場合、PCがいないので、マスターがホワイトボードと見比べるのがちょっとストレス。
敵ユニットが10以上いるときとか、移動とか楽なんですけどね。
これは戦闘の規模とか気分でどちらでもいいと思います。
一部のPCだけツール上、一部だけマグネットはイマイチ。PC間で温度差出ます。
ということで2015~2018ぐらいで、たぶん40セッションぐらい、いろいろ試した結果です。
セットアップに疲れるのと、プレイヤーの高齢化でガチガチのタクティカルに耐えられなくなってきたのもあって(笑)、3年目ぐらいからはここぞという時だけしか使わなくなっていました。
2019年からは15インチ外付けタッチパネル付きモニタをマップの代わりにテーブル中央に置くとかの実験もしていますが、プレイヤーが4人以上で離れて座る環境だとやはり見えません。立つことになります。
どちらかというと、マスタースクリーンとして立てて、風景とかを写したほうが役に立つw
そこにコロナが来たので、もう2年近くオフセできてないので、研究も頓挫しています。
いまなら値段も重量も落ちたので、タブレットをマスターが人数分用意する、とかのほうがいいかもしれません。
ただ「ひとつの画面をみんなで見る」のは、個別に見るよりも間違いなく一体感はでます。
アメリカの映像であるみたいに、天井から卓上に向けてMAPを写すのが最強だと確信はしてるんですが、車買う予定はないので無理かなー。
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とりあえず書きなぐりなのでこんなところでしょうか。
気になることとかあれば質問してくれれば答えます!
Roll20ならこう、とかココフォリアならこう、とか、どどんとふがタブレットで使えない、とか、ツールによる動作もいろいろあるんだけど、もう3年前なので訊かれないと細かく思い出せない…
いまはボイセできないメンバーが多いので、Googleスプレッドシートで自作した「スプレッドチャット」をメインに使ってます。
テキストチャットのシステムとしてはなかなか優れものなんですけど、広く公開するためにヘルプを書く気力が出ない。
もし使いたいという人がいたら気合入れますので、声をかけてくださいw