ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

鹿芝居

 国立演芸場千代田区隼町4-1)の2月中席というと、例年金原亭馬生とその仲間による「鹿芝居」である。中席というのは11日から20日の10日間をさすが、この10日間に一度だけ金曜日の夜の部がある。今日、蝶花楼馬楽がいうには震災以降ダメなんだという金曜日夜の部に行ってきた。随分前から金曜夜の部は売れていなかったような気がするんだけれど、今日も、入っても全体の7割くらいだったのではないかという気がする。何しろ寄席の客の大半を占める年寄り連中は夜はあんまり外出しないというのが通り相場になっている。何しろ目が良く利かない。その上足元が不安だ、ってんでやめておこうということになる。何しろ平日だろうとなんだろうと昼間平気で出かけられるんだから、敢えて夜にしなくても言い訳だ。
 途中でデパ地下で弁当を誂える。なんだかあれもこれも安くない。とうとう古市庵の助六にした。コンビニの方が手頃だなぁ、やっぱり。

  • 駒松:狸札
  • 林家彦丸(林家正雀の弟子で二つ目):伽羅の下駄
  • 蝶花楼馬楽長屋の花見
  • キク&ヨノ:古今亭菊春(園菊の弟子)と金原亭世之介(先代馬生の弟子)昨年末の鈴本の時のように佐村河内守日本エレキテル連合のアケミちゃんで出てくるのかと思ったら、なんと世之介はぱりっとしたディナージャケットで登場。菊ちゃんはアケミちゃんというアンバランス。菊ちゃんは衣装を脱ぐとアマレスのユニフォームみたいな格好。世之介が菊ちゃんを美女ってことにして、イリュージョンを大がかりにやるのだけれど、そのアシスタントがカマーバンドをして蝶ネクタイをした駒松。似合わねぇなぁ。
  • 林家正雀:大師の杵(生まれて初めて聴いた噺)
  • 金原亭馬生:稽古屋

 いつものように、世之介+菊春が獅子舞を頑張る!しかし、なぜか、今年はご祝儀を出すお客が少ない!どうしたことか!?そういうものだと思っていないのかも。
鹿芝居はいつものように脚本=竹の家すゞめ(林家正雀)「人情裏長屋」〜 井戸の茶碗 〜で、浪人・千代田卜斎:金原亭馬生、 屑屋清兵衛:林家正雀、細川の家臣:高木佐久左衛門:金原亭世之介、 その中間・良助:古今亭菊春、卜斎の隣に引っ越してきた板前半次:金原亭馬治、卜斎に手習いを習う職人留吉およびひげの屑屋: 金原亭馬吉、卜斎の娘お糸:林家彦丸というめんばーに家主太兵衛といえばこの人:蝶花楼馬楽
 やっぱり相変わらずヨノちゃんと菊ちゃんのガチのアドリブ合戦がたまらないね。
 
古今亭菊春

金原亭世之介

金原亭馬生

季刊清水47号

 清水銀座にあった戸田書店は今は本店が静岡って事になっているけれど、今でも年に一度くらい「季刊清水」という冊子を出し続けている。前はネットショップで買えたのだけれど、今この冊子は各店舗での受け取りか、代引きで買うしか方法がなくなった。残念なことに戸田書店の支店は東京都にはない。買いたいとメールを出したら、本体価格は500円だけれど、消費税と送料と代引き手数料で1.380円になると連絡が来た。それでも冊子以外の840円分ではどこの支店にも往復できかねる。それで代引きで注文した。
 特集1は「高度経済成長期清水をかえりみる」である。私が学校を卒業して清水・三保の工場に赴任したのが1971年で、高度経済成長期の本当に最後の頃だった。翌年所帯を構え、1975年に東京に異動した。その間様々なことがあり、あれもこれもと思い出すと時系列がめちゃくちゃになる。この冊子には装幀家の石原雅彦氏が起こした年表がついていて面白い。
 当時、三保の塚間から貝島経由で波止場にいく静鉄観光汽船の渡し船が走っていて、朝夕は金指造船、日本軽金属日本鋼管の従業員で一杯だった。三保街道から三保屋の交差点で曲がって塚間へ向かう細い道は作業服のままバイクや自転車、あるいは徒歩の工場勤務の人間でごった返していた。近辺には何軒も居酒屋があって夕方になると宮城島酒店の立ち呑み場ではジョッキのビールに焼酎を放り込んだ爆弾を呑み交わしていて、賑やかだった。
 昨年いってみると、車一台、ろくに走らない閑散とした通りになっていて、驚くよりもあまりの寂しさに、わが人生の終わりが近づいているような気がしてたまらなかった。
 この冊子には巴川の河口にあった清水港湾線(通称三保線)の可動橋のことが写真付きで掲載されている。昨年バスで巴川を越えた時にこの上下に上がり下がりする可動橋がないことに気がついて、思わずあっといったけれど、あの鉄道がなくなったんだからなくて当たり前だった。結婚したばかりの頃はまだ三保線は走っていて、夜に走ってくるのを裏の踏切で待ち構えて録音したのを覚えているんだけれど、あのカセットテープはどこにいったんだろうか。
 編集後記に石原雅彦氏が高校時代に撮りためた写真を写真集にして刊行すると書いてあって、楽しみにしている。石原氏がご自分のサイトにその写真をアップしているのを見つけたのが、氏を存じ上げるきっかけだったからでもある。ただ、未だに氏にお目にかかったことがない。
 無事に到着した旨を戸田書店の担当の方に報告し、ついでに私ごとを書いたら、その担当の方も三保の出身だというのには驚いた。そういえばこの方の名字も清水では良くお目にかかるものだ。

2015年02月12日のツイート