日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-05-23

[][]石黒亜矢子作品集

石黒さんは現代の浮世絵師というか、妖怪変化あるいは物語に登場する人、動物などをとても愛情深くそのものが持っている魅力をうまく引き出されて描かれていて拝見していてとても楽しい気持ちになる。とても精緻に描かれている時もあればちょっとしたマンガタッチのような時もあり、いろいろに味わえる。

好きだったのは干支を描いたもの。それぞれの戦闘シーンがかっこいい。たとえばねずみ、うさぎひつじなどのおとなしい動物までもが。こびてない目つきがいい。

うちわやかるたなどもはさみこまれ、とても贅沢な、たびたび読み返すのに値するような一冊。

石黒亜矢子作品集

石黒亜矢子作品集

[]いもうとかいぎ

最後に「このたいせつなえほんをふたりのむすめへ」と書いてらっしゃるけれど、まさに二人の娘さんをお持ちの石黒さんならではの作品。妹の気持ちも姉の気持ちもわかっていらっしゃる。

じょろうぐものじょろこさんがとてもかっこいい。ダーク世界の住人描かれるのうまいな。

いもうとかいぎ

いもうとかいぎ

[][]おおきなねことちいさなねこ

実家のねこがモデルになっているのかな?これもきょうだいの物語のようにも読める。コミカルでくりかえしなど音のたのしさもあり、読み聞かせしてあげたら楽しんでくれる子ども多いのでは?

おおきなねことちいさなねこ

おおきなねことちいさなねこ

[]東京タラレバ娘 8

やっと女の友情という名のおせっかいという話まで踏み込んできた。(常々もどかしく感じていた)主人公倫子の成長にかなり溜飲の下がる巻。

[]重版出来! 9

昔のハリウッド映画をみていると、主人公カップルのために当て馬になる人、その後のその人のことは知らん!なんて状況がたびたび出てくるのだけど、この作品はそういうのがなくて、ひとつの華やかな出来事の陰にはこういう苦労があって・・みたいな多面的な見方でちゃんと描かれているのが読んでいてとても気持ちがいい。

重版出来!(9) (ビッグコミックス)

重版出来!(9) (ビッグコミックス)

[][]ネコヅメのよる

コワい顔なのに魅力的なネコ。実はうちの猫もコワい顔なのでコワいながらも表情豊かな猫の姿がとてもうれしい。ひっそりしていて読後にっこりするような良い風合い。数々のいい猫の顔が描きこまれていてにやにやしながら何度も読み返してしまう。

ネコヅメのよる

ネコヅメのよる

[]激動の記録 第1部

映画館で本編上映前に流される日本ニュース。この巻は昭和15年〜20年まで。

学徒出陣の姿、国の定めたように行動しなければならない有様。。一番やるせない。再現フィルムではない映像の力。

最近、太平洋戦争前後のものをまとめてみていて、例えば去年の夏放映していたNHKの、実在の人物を描いたドラマ「百合子さんの絵本 陸軍武官・小野寺夫婦の戦争」などでもそうなんだが、各部署には優秀で、国の犠牲を小さくする努力をしようとしている人がいるにも関わらず、国としてはストップがきかずに突き進んでいってしまう状況をあちこちで知ることになり、どうすれば歴史から学ぶことができるのか、よりよきシステムができるのか、そのために自分ができることはないか考えこんでしまう。

2017-05-21

[][][]1970年代NIPPON

あとがきより

1970年代の日本は、工業化と高度経済成長の時代で、日本人の生活が豊かで便利になったとよく言われた時期だった。

(中略)

この写真を撮影している間も、農村の人口は労働力として大都市に吸収されつづけ、農村の過疎化が進行していた。

70年代は自分が小学生〜高校生の年代。なんとかDKとか表現する住まいにあこがれたり、近所の店の宣伝の入ったカレンダーやらペナント的なものから必死で逃げたくなっていた時期。(後年のみうらじゅん氏のようにその感じをひっくり返して、いやげものとして愉しむまでの成熟はまだなかった。)

今、当たり前みたいにそんなものがはってある当時の農村の居間の写真が懐かしい。最近の、たとえば海外の方が古民家を買って暮らしておられるようなかっこよさでなく、ただ生活の場を写したその写真が、浮ついたものにあこがれ、切り捨ててきたもののようで、なんともいえない感慨。今村昌平の「人間蒸発」*1でいきなり訪れて映っている、蒸発者の農村の実家の姿みたいなのがあんなエグい形でなく写っている。

当たり前のように地域の行事をこなしてきたような風情。スマートになり過ぎて、以前の当たり前が面倒でたまらなくなるところまできている今を思ったりした。

81年の新潟で撮られた「地蔵年始」という写真、こどもたちがスタジャンを着てイヤーマッフルをしていて、70年代の写真とは一線を画している。「うる星やつら」のワンシーンなども思い出したり・・だんだんに地方と都会の区別がなくなってきている時代なのかなとも思った。

高知の「絵金」の絵をみるはなし、絵金で卒論を書くという京都女子大生との話おもしろい。知らなかったが、夏の祭礼の夜の芝居屏風をかいていた画家なのだな。(こちら参照)


1970年代NIPPON

1970年代NIPPON

[][][]モーガン

1965年英国作品。バネッサ・レッドグレーヴが第19回カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞。

なんとも風変わりな作品だった。若きバネッサ・レッドグレーヴはかわいらしかったけれど、離婚訴訟を起こし、別の男性とつきあいはじめているのに追っかけ続ける夫のモーガンのお話はなんだか極端で・・不条理コメディ風にみえる。(ちなみに格差婚の設定でレッドグレーヴの方が裕福、モーガンの実家の母はコミュニストっぽい感じ)60年代の半ばらしい空気は楽しめる。

モーガン [VHS]

モーガン [VHS]

2017-05-19

[][]地球防衛軍

宇宙からの侵略もの。核戦争の犠牲になったミステリアンという第5惑星人が地球にやってきて、最初は半径3KMだけの土地を要求しているのが女性を略奪したり、実はもっと地球を占領したい気持ちを隠していて・・というような話なんだが、ずいぶん向こうの方が文明も進んでいるようだし、平和的に土地を譲った方がいいのではないかなどという気持ちでみはじめた。どこか現代とも通じるような、判断や対処が複雑で政治的な力が必要な状況。最終的にはミステリアンの攻撃も苛烈になってきて迷っているどころじゃなくなるし、攻撃の方法などがなかなか知恵があって面白かったのだが。

ミステリアン自身の置かれた立場(核の影)などさすが「ゴジラ」の本多猪四郎監督という感じがするなあ。

音響効果などがこどものころウルトラマンシリーズなどの特撮ものできいたのと似通っていて懐かしい。

地球防衛軍 [VHS]

地球防衛軍 [VHS]

2017-05-18

[][][][]帰郷

佐分利信氏がえらくかっこいい。一番最初に佐分利信氏をみたのがテレビドラマの「阿修羅のごとく」だったし、そのあとみるのも「お茶漬の味」だとか、先日観た「花は偽らず」*1だとか、かっこいいという分類ではなくて、落ち着いた、と評したいようなものが多かったので、なにかとても新鮮だった。

川本三郎さんの「日本映画 隠れた名作」*2では津島恵子扮する、子供のころから離れていた佐分利信の娘と佐分利信が束の間会うシーンで、佐分利信がハンドバッグの中身をみせてもらうシーンが、向田邦子さんはプライバシーの侵害を感じられひっかられ*3、ドラマ「蛇蝎のごとく」の中で使われているとのことが書かれていたけれど、わたしはこの映画のあのシーンはさしていやな感じはなく、長いあいだ会っていなかった娘がどんな暮らしをしているのか、それをこういう方法で知ろうとする男の経歴なども感じるようなシーンに思えた。(「蛇蝎〜」ではこっそりみてほんとにいやなシーンとして書かれているようだけど、「帰郷」の中では一応ことわってみているし、またその求めに応じられる津島恵子の、日ごろがきちんとした素敵な娘さんっぷりも感じたりした。)

映画でだったか原作でだったか忘れたのだけど、「雪国」の中に確かあった、箪笥の中をみればその整理の仕方などでその人の生活がわかる、という私をぎょっとさせたセリフのような流れも感じた。

また「日本映画 隠れた名作」によると、山村聰が演じた戦争中は軍部礼賛をしておいて、戦後になるとパッと変わってしまう男の姿が、当時のインテリ批判になっているらしく、それをその渦中に描くのは勇気がいっただろうとのことだった。先日観た「聯合艦隊司令長官 山本五十六」*4で、香川照之が演じていた新聞社の男がそういう感じだったなあ・・

苔寺がよいシーンで出てくる。なかなか簡単に行けない場所になっているので貴重だと思う。

all cinema

[][][]太平洋奇跡の作戦 キスカ

最近太平洋戦争ものを続けざまにみているのだけど、珍しく成功した作戦もの、ということでこの映画もみてみた。三船敏郎の陽性な感じがうまく生きている。

無線を傍受されるかもとの危惧から時々刻々の変化への対応を相談できないつらさ・・「聯合艦隊司令長官 山本五十六」*5でも通信傍受から悲劇が起きていたし、また連絡がとれない中で、各々の行動が裏目に出たりするところたまらない気分になる最たるものだ。

wikipediaで、このキスカ作戦のことを読むと、ドナルド・キーン氏までが最後に出てきて興味深い。

軍用犬のことがかなり印象的に描かれている。わたしも気になるところだったけれど、きっとどうしても描いておきたかったのだろうな。

?太平洋奇跡の作戦?キスカ [VHS]

?太平洋奇跡の作戦?キスカ [VHS]

2017-05-16

[]聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実

日本のいちばん長い日*1の原作者、半藤一利氏の監修とのことで、日本映画専門チャンネルで放映しているのを機にみてみた。

映画「軍閥*2で、戦争継続に関して懐疑的でその旨記事に載せた記者が東條英樹により見せしめ戦地にやられる、しかも年齢がいっていたので、その巻き添えで(見せしめと目立たたさないため)同じような条件の無関係の人を一緒に徴用するというエピソードがあったのだけど、状況は違うが対になるような新聞社がらみの場面もあったり、時代が同じだけに、あちらは東條英樹の動き中心これは海軍中心なのだけど、これはあちらで出てきたこの話のあたりだなと思うところが多々あり*3両方続けてみてよかった。少しは頭の中に単語が入って史実を調べてみようと思うきっかけになったから。

ただ映画のつくり方は「軍閥」や岡本喜八監督の「沖縄決戦」*4日本のいちばん長い日」の方がストイックでずっと好きだ。あちらは大げさに盛り上げたり、思い入れを強調して長く時間をとったりする野暮ったさがなかった。

なぜか心に留まったのは海軍大臣米内光政を演じた柄本明の演技。少し前にみた「シンゴジラ*5官房長官役もよかったが、どう表現してたらいいのかわからないけれど昔の男風みたいなのがハマっている気がした。