日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2018-05-19

[]天国はまだ遠い

濱口竜介監督の作品。期間限定で無料公開中。ちょうど今読んでいる本もあの世とこの世の境目の話というのもあり、身近に感じる。よい筆致。

http://www.lecinemaclub.com/

[]ほとりの朔子

深田晃司監督の評判をちらほらきいていて、はじめて作品をみたのだが、良かった。

二階堂ふみ演じる浪人生朔子が鶴田真由演じる叔母海希江に誘われ海の近くの町で過ごす夏の終わりの物語。周りの人間の心のベクトルの交錯がみているうちに徐々にわかってきて良質の小説を読んでいるような楽しさ。季節感も素晴らしい。ロメールの映画のような風合いも感じる。

太賀という俳優さん、ドラマ「ゆとりですがなにか」での嫌な感じの後輩の役がえらくうまくてそれ以来気になっていたが、この映画でもリアリティのあるたたずまいだった。

古舘寛治志賀廣太郎など平田オリザの「青年団」の俳優さんたちが出ているなと思ったら深田監督は青年団の演出家だったんだ・・青年団を撮った映画「演劇1」「演劇2」*1との関係か想田和弘監督も出てきてニヤリ。登場シーンの皮肉な感じもおかしかった。深田監督の作品もっとみてみたくなった。

ほとりの朔子 [DVD]

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[][][]もず

夫の暴力に耐えかね娘を置いて故郷を捨て都会の小料理屋で女中として暮らす母を淡島千景、美容師として都会で働こうと母の許にやってきた娘を有馬稲子が演じている。この母がいつまでも女で、母は母らしくなんて思ってもいない自分でも、なんでこういう発想になるかねえというようなところが次々と描かれていく。最後実は・・のようになっているけれど、娘への愛情というものは確かにあるのだろうけれど、なにかバランスがとれていない女性であることも間違いなく・・哀しい気分になる。

乙羽信子が調子の良い役。「大阪の宿」*2をみたとき、仇っぽい乙羽さんが珍しいように思ったのだけど、友人は乙羽さんにそういう印象はもってないというような話をきいていたものだから、あ、なるほど、こういう作品もあるものねという気持ちになった。

もず [VHS]

もず [VHS]

[][][]わるいやつら

当代片岡仁左衛門(当時は片岡孝夫)がぼんぼんの色男の医者役なんだけど、その品がこの作品をリアリティのあるものにしている。「世間知らずのプレイボーイ」とビデオジャケットに書いてあるのだが、ほんとにそれゆえの松本清張らしい展開の物語がおもしろく、飽きさせない。

松阪慶子が若きファッションデザイナーなんだけど、この時代の松阪さんは確かに良く、ストーリー展開に不自然さがない。

看護婦長の宮下順子、これも主役をはっておられる作品よりこういう立ち位置のものが私にはよい感じにみえる。

孝夫さんの事務を取り仕切っている藤田まことの若さ。そしてそのキャスティングがなかなかよいと思う。

コーディネーターに石津謙介氏の名前。ファッションショーには森英恵の姿が。

わるいやつら [VHS]

わるいやつら [VHS]

[][][][]女優

松井須磨子山田五十鈴が演じたもの。衣笠貞之助監督。ビデオに同梱された「山根貞男のお楽しみゼミナール」の文章によると、溝口監督の「女優須磨子の恋」も同じ1947年の少し前に公開されていて競作として話題になったらしい。

山田五十鈴演じる松井須磨子はえらく激しく、劇団の内外に波風が立ったであろうことだけは感じ取れた。

山根さんの解説によると、山田五十鈴はこの当時“恋多き女”として有名だったそう。

戦前から戦中にかけて、俳優の月田一郎、プロデューサーの滝村和男と結婚・離婚をくりかえし、新派花柳章太郎と恋に陥り、さらに戦後は衣笠貞之助監督と結ばれた。(中略)(この映画の)三年後にその恋も終わり、妻子のあった加藤嘉と結婚したあと、これまた離婚して、さらに“恋多き女”として生きてゆく。

とのこと。加藤嘉とのことくらいしか知らなかった。

島村抱月役の土方与志という方が品も良くインテリっぽい雰囲気でとてもよかったが、礫川全次さんという方のブログにその出演の裏話が載っていた。

all cinemaのレビュー欄にも載っていたが、有島武郎「死と其の前後」舞台上演シーンも印象に残る。

2018-05-14

[][]白鷺

島津監督版*1に引き続き、今回は衣笠監督版を。島津版は1941年。こちらは1958年。時代のせいかかなり感じが違う。1941年版が短縮版ということもあったのか、こちらの方がストーリーはわかりやすい。絵画を意識したような図つくりもあったけれど*21941年版の方が情緒があった。(しかしながらこの作品、カンヌでも特別表彰されていたり、たくさんの受賞をしている。)

前回丸山定夫が演じていたイヤがられる旦那役を佐野周二が演じていて、松竹三羽烏の佐野さんがなんと・・というような気持ちになった。川崎敬三山本富士子の相手の画家役だけど、自分にはアフタヌーンショーの司会をされていた時代の川崎さんのイメージが強く、こんな二枚目役をされていたんだ・・という印象。

白鷺 [VHS]

白鷺 [VHS]

[][][][][]秀子の応援団長

昭和15年度作品。近所のこどものお父さんが兵隊に行っているというセリフがある一方、ジャズがかかり、自由な感じで野球をしている様子に、この頃はまだこういう感じだったのか・・と思う。

沢村貞子さんがざあます夫人をすっかりなりきって演じておられる。はじめ沢村さんがどこに出ておられるのかわからなかった。野球監督役の千田是也が座興で朗々とセリフ的なものをいうのが堂に入っている。

清川玉枝のおばあさんは、「いじわるばあさん」風ヘアスタイルの典型的隠居風。またまた「きょうの猫村さん*3を思い出す。猫村さん、往年の日本の家族もの、それも上流風の家族もののスタンダードみたいなものをベースにしているんだな・・

*1http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20180508/1525770828

*2:いよいよの場面での壁にかけてある絵や、一部だけみえている障子からの姿など印象的

*3http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20141211/1418250684

2018-05-08

[][][][]白鷺昭和16年

こちらのブログに詳しく書いてあるのだけど、本来上映時間126分の作品を島津監督の弟子、豊田四郎監督が99分に縮めた再編集版を製作したようで、演出島津保次郎と並んで、再集豊田四郎との書かれている。

小村雪岱の美術考証が楽しみでこの映画をみてみた。確かに小村雪岱の作品のような画面がいくつもみられる。

一番感心したのはクライマックスシーンの入江たか子のはかなさ。ほんとに消え入るような・・

沢村貞子さんが姉芸者のような役どころでよい場面あり。

杉村春子も若い男にコナかけたり悔しがったりする、なかなか若々しい役回り。新鮮。

2018-05-05

[][]光と影 〜光市母子殺害事件 弁護団の300日〜

日本映画専門チャンネルでの東海テレビドキュメンタリー特集で視聴。(こちら

この番組をみて弁護団への印象変わったなあ・・

橋下弁護士が言いだしていた弁護団への懲戒請求のはなし、こういうことだったのか・・と最近も思う事ありで・・

2018-05-03

[][][]ひき逃げ

高峰秀子の演技力。どこから見ても子供を喪って思い詰めている母。

有閑マダム風の司葉子との対比もおもしろい。

高峰秀子の弟役の黒沢年男氏、こういう活躍をしていたんだ。

ドロドロしたサスペンス風でどうなるんだとひきつけられる。

突拍子もない連想だが、猫村さんって舞台はこの映画のようなところがあるなあ。司葉子の息子役の男の子のまっすぐな瞳が印象的。

[][]近松心中物語

wowowにて

宮沢りえの情感の出し方は◎。

でも、近松の言葉そのままで演じている文楽等の方がリズム上もよいなあと思ってしまう。上方の言葉がおかしいのも気になって仕方なくて・・

[][]華 いのち 中川幸夫

公式ページ

中川さんの作品は、早坂暁氏の「華日記 昭和生け花戦国史*1を読んで以来気になっていた。

この映画では大野一雄氏の登場場面の神々しさにうたれる。

お二人の作品は生命の核みたいなものを表現している共通点があると感じた。

瀧口修造氏に捧げるオリーヴの展覧会*2 の時、質問しているご老人の着物の着こなしがとても粋でお顔も原泉さんに似ており、中川氏と中野重治氏も関係があったようなので、もしかして、原さんご本人?と思ったが、展覧会が開催された時点では原さんは亡くなっておられるようだった。*3

オフの原さんってかっこよさそう・・これではまるで話がそれているが、中川氏を巡る人々も重森三怜や土門拳からはじまり興味深いものがあった。

[][]長崎の鐘、この子を残して

長崎永井隆博士の映画を二つ。

「この子を残して」は木下恵介監督 1983年作品 脚本のところに山田太一木下恵介

長崎の鐘」は大庭秀雄監督1950年作品 脚本 新藤兼人光畑硯郎橋田壽賀子

「この子を残して」の中で、永井博士の書籍がGHQによって出版を待たなければいけない表現があったが、劇作家山崎哲さんのブログを拝見していると、映画「長崎の鐘」もGHQの検閲があったらしい。原爆の部分がかなり遠慮がちに描かれている。原爆の時のテロップも「戦争に狂う軍閥への最後の警告となった」というようなテロップが出てきた。

両方に山田看護婦という方が出てこられたと思うのだけど、「長崎の鐘」ではかなりラブロマンス風にまとめてあった。

「この子を残して」は、永井博士のお姑さんを演じた淡島千景がとてもよかった。白血病になった永井博士の遺児の暮しを支えていたお姑さんについて孫に語らせる言葉の視点もすばらしい。

浦上に遺された被爆遺児に対して、「お金をあげておいで のみがうつるから遠くから」と子どもにいった大人の話がでてきて、少々のお金を渡すことは自己満足で、被爆遺児の気持ちになっていないと永井博士が語るエピソードが心に残る。被災者差別二次被害を受ける問題を耳にするが、さらに踏み込んで自己満足の領域まで踏み込んで言及しておられる永井博士、長崎の、原爆の、偉い方、みたいに自分の中で簡単にまとめるのでなく、もう一歩踏み込んで主張しておられることに寄り添いたいなと思った。

その後の息子の教育を一番に考えての決断など山田太一のドラマをみているときのような、家庭生活の中での選択、どう判断してどう生きていくかということを特殊な例としてでなく自分のこととして考えさせられる。

ラスト「にんげんをかえせ」の合唱の使い方はこんな直球の使い方をしない方がいいように思えてしまう。よく木下監督について、時代の空気を吸い過ぎてあとからみるとしんどくみえて残念という言葉をふや町映画タウンの大森氏よりきくが、これもそうなのか・・83年という時代を考えると、自分ももう大学生だっただけにこの当時は観客はどう受け止めていたのか、ありがたい映画だからこの処理はこれでということだったのかなとも思ったり。

この子を残して [DVD]

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*1http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20030918/1209563928

*2瀧口修造追悼「中川幸夫・献花オリーブ展」2000年

*3:1989年没とのこと