芸術学特論1 第6回

講義

  • イメージと視線
    • 観者を見つめるイメージ:はたらきかける「視線」
    • ジェンダーと視線
      • ティントレット《スザンナの水浴》
      • ストーリー:「美しい若妻スザンナが沐浴しているときに、長老二人が近寄り、言い寄った。しかし、スザンナは拒絶した。逆恨みした長老たちは、スザンナを姦通罪で訴え、スザンナは死刑になってしまいそうになる。そこで、預言者ダニエルは二人の長老を尋問し、矛盾を暴き、スザンナの無実が実証された。二人の長老は死刑となった」(旧約聖書ダニエル書外典より)。
      • 3つのまなざし
        1. スザンナを「覗き見」る長老たちのまなざし=見返されることのない「非対称」のまなざし
        2. 鏡を見るスザンナのまなざし=自らを見る:男性のまなざしを内面化したまなざし
        3. 絵を見る観者のまなざし=メタ・レヴェルのまなざし:ポルノグラフィ?
      • ジェンダー=社会的、文化的に定められた性差(男らしさ/女らしさなど):生物学的な性差(セックス)とは区別される。
        • 男性優位のジェンダー構成においては、男性は見る主体であり、女性は見られる対象となる。
        • 視線の主体である男性は、「見る」という行為によって女性という「他者」を性格づける。
        • 男性(主体)は、女性(他者)に付与したそれぞれの性格(受動的、露出、イメージ、感情、神秘、自然…)の反対語(能動的、窃視、言語、理性、好奇心、文化…)を自らに付与する。
        • 「主体」とは先験的に存在する物ではなく、「他者」との関係の網目のうちに構築される物である。
        • 「男は行動し、女は見られる。男は女を見る。女は見られている自分自身を見る。これは男女間の関係を決定するばかりでなく、女性の自分自身に対する関係をも決定してしまうだろう。彼女の中の観察者は男であった。そして被観察者は女であった。彼女は自分自身を対象に転化させる。それも視覚の対象にである。つまりそこで彼女は光景となる」(ジョン・バージャー『イメージ: 視覚とメディア (PARCO PICTURE BACKS)』)。
      • マネ《オランピア》の視線
    • オリエンタリズム」と視線
      • オリエンタリズム=ヨーロッパのオリエントに対する支配的言説の様式
      • オリエントは…ヨーロッパ人の心のもっとも奥深いところから繰り返したち現れる他者イメージでもあった。そのうえオリエントは、ヨーロッパ(つまり西洋)がみずからを、オリエントと対照をなすイメージ、観念、人格、経験を有するものとして規定するうえで役だった(E・サイードオリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)』)。
    • 視線の内面化
      • パノプティコン=一望監視装置
        • ジェレミーベンサムが考案した監獄
        • 監視する:看守から見ると、窓から入る逆光によって、囚人たちの身体は個別性を喪った抽象的な影として浮かびあがる
        • 監視される:中央の監視塔は鎧戸になっている

芸術学概論1 第6回

講義

演習I 第5回

発表の順番ぎめ

講義

芸術学特論 第5回

講義

  • 展示の歴史
    • パノプティコンからパノラマへ
      • 遊歩者と移動的視覚
        • 「パノラマ〔…〕はパノプティコンとは異なる目的をもつ建築=装置で、観察者=主体を閉じ込めるのではなく、移動させることを意図していた。

「世界中から集められたあらゆる種類」の「屋内の見世物」であるパノラマは、「周囲の風景」を用いて、人工的などこか別の場所をパノラマ鑑賞者のために作り出した」。アン・フリードバーグ『ウィンドウ・ショッピング: 映画とポストモダン (松柏社叢書 言語科学の冒険 10)

    • 万国博覧会
    • 百貨店の誕生
      • パサージュとマガザン・ド・ヌーヴォーテ(流行品店)→スペクタクルとしての商品
      • 世界初の百貨店、ボン・マルシェ=「現代商業のカテドラル」(ゾラ)
      • 薄利多売、現金正価、入店自由、返品可
    • パリ大改造と視覚的都市の誕生
      • 1853〜1870:セーヌ県知事、オスマンによる。

芸術学概論 第5回(オンライン補講)

東京理科大学 教養概論

芸術学概論1 第4回

講義

芸術学特論1 第4回

講義

英書講読 第4回

翻訳の順番決め

演習I 第3回

講義

芸術学特論1 第3回

講義

芸術学概論 第3回

英書講読 第3回

講義

芸術学特論1 第2回

講義:視覚文化論

  • 文化概念の変容

https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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