芸術学特論(1) 講義概要

芸術学特論(1) 視覚文化とメディア

  • 月曜日5時限  RY106

講義の目的

  • イメージと文化
    • 本講義では,視覚文化論(ヴィジュアル・カルチャー・スタディーズ)という研究分野を概観する。「視覚文化」には,いわゆる美術のほか,写真,映画,テレビ,広告,マンガ,ファッション等,幅広い対象が含まれる。私たちはこうした視覚的イメージを,どのようにして見,どのようにして理解しているのだろうか。私たちを取り巻くこうした視覚文化の数々を読み解くための方法を,まずは現代におけるさまざまな文化理論を紹介した上で,広告などを例として考察する。さらに現代の視覚文化の基礎となる19世紀における視覚の変容を追っていく。

講義の進め方

  1. イントロダクション:視覚文化とはなにか
  2. 「文化」とは一体何なのか:文化概念の変容
  3. ストリート・カルチャーから「文化」を考える
  4. メディウムとメディア:文化と媒介
  5. 記号と表象:意味とコンテクスト
  6. 視覚的イメージのメディア的諸機能
  7. 広告の記号論:外示と共示
  8. CM映像のレトリック:切り返しと主観ショット
  9. 19世紀の視覚文化:視覚遊具からパノラマへ
  10. 万国博覧会と近代的視覚
  11. 写真・観光・博覧会:世界を視るプロジェクト
  12. 鉄道の視覚文化:パノラマ的風景の誕生
  13. 初期映画とアトラクションの美学
  14. トポグラフィの視覚文化論
  15. 振り返りとまとめ

評価方法/基準

  • 平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等):30%
  • レポート:70%
    • 任意の視覚的イメージを一点選び,それを丁寧に記述し,講義内容に基づいてそれを分析,解釈するタイプのレポートになる予定。取り上げた対象をしっかりと自分の目で見て,それを論理的に説明できているかどうかが評価のポイントである。

芸術学概論(1) 講義概要

芸術学概論(1) ヴィジュアル・リテラシー入門

  • 月曜日4時限 RY303

講義の目的

  • イメージとヴィジュアル・リテラシー
    • 私たちは,日頃,雑誌やテレビ,インターネットなどで,さまざまな視覚的イメージに接触し,それらから情報を得ている。では,私たちはどのようにして,イメージから意味を読み取っているのだろう。 
    • 本講義では,視覚的イメージをコミュニケーションのためのメディアと考え,ヴィジュアル・リテラシー(視覚的な読み書き能力)について理解を深めることを目標とする。扱う対象は,絵画,映画,マンガとさまざまなメディアにわたるが,それらが意味をどのように作り上げているのか,どのように伝えているのか,そういったメカニズムについて理解を深めていきたい 
    • さらに,そのような理解の上で,近代における芸術という制度の成立や変容を幅広く見ていくことによって,芸術と歴史・社会との関わりを再考する。絵画やデザイン,さらには音楽におけるモダニズム近代主義)の確立と変容を通じて,私たちが今日受容している芸術というものがどのような歴史的,思想的プロセスを経て成立してきたのかを問いたい。

講義の進め方

  1. イントロダクション——「芸術」=“Art”?
  2. ヴィジュアル・リテラシーとは——「見る」ことと「分かる」こと
  3. コミュニケーション・メディアとしての視覚的イメージ——交通標識の単語/文法
  4. マンガのヴィジュアル・リテラシー1——イメージとテクスト
  5. マンガのヴィジュアル・リテラシー2——コマの統語法
  6. 物語映画の文法——ショットとモンタージュ
  7. 初期映画——驚きとアトラクション
  8. 遠近法と写真——世界の捉え方
  9. 絵を「読む」—— 絵画と意味
  10. 絵画の内容・絵画の形式——「何」を「どのよう」に描くのか
  11. 西洋絵画における近代性——「意味」からの脱却
  12. 絵画のモダニズム——「主体」と「表現」の神話
  13. 音楽における近代性——モダン・ジャズを中心に
  14. デザイン/ファッション/建築のモダニズム——機能と形態
  15. 振り返りとまとめ

評価方法/基準

  • 平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等):30%
  • レポート:70%
    • レポートの内容は,受講生が任意のイメージを選び,それを詳細に記述し,講義で扱う作品の構造を分析するというものになる予定。取り上げた対象をしっかりと自分の目で見て,それを論理的に説明できているかどうかが評価のポイントである。

英書講読(1) 講読概要

英書講読(1)
同志社大学 シラバス検索/検索結果/英書講読(1)〔美〕

  • 金曜日1限 RY404

講読の概要

    • 本講読で取り上げる文献は,ジェームズ・エルキンズによる『目の使い方(How to Use Your Eyes)』である。エルキンズは,シカゴ美術館附属学校の美術史/理論/批評学科の教授で,美術史にとどまらず写真や視覚文化に関する幅広い著作で知られている。 
    • 『目の使い方』は,世の中に存在するさまざまなものの「見方」を解説する入門書である。対象となるのは,絵画や透視図だけでなく,切手,X線写真,ヒエログリフ,地図などの人工物から,人の顔,指紋,蛾の羽,夕焼け,水晶などの自然物まで,多岐にわたる。そうしたごく普通の諸事物の「見方」から,本書は眼という感覚器官を通じた視覚とその社会性を,平易な言葉で考えることを目指している。 
    • 本書の講読を通じて得られるのは,視覚的な対象物をどのように扱うか,どのように「読む」かといった,多くの美学芸術学を目指す学生が向かい合う基礎的なことである。 
    • はじめの数回は,美術史のみならず,視覚文化論,記号論やメディア論などの諸方法論に関する講義を行う。続いて講師による翻訳のモデルを紹介し,そして受講者が順番に担当箇所の翻訳を口頭発表していくというかたちで進めていく。視覚的イメージへのアプローチの紹介だけではなく,翻訳のテクニックなども伝えて行きたいと考えている
  • 講読テクスト

2024年度春学期全科目共通

  • 佐藤守
    • 同志社大学文学部美学芸術学科/大学院文学研究科美学芸術学専攻
      • 『イマ*イチ』97
      • 研究室:徳照館614
      • オフィス・アワー 
        • 学期中毎金曜日 12:30-14:30
          • Office Hoursとは、教員が研究室にいて、学生の質問や相談を受け付ける時間。オフィスアワーの時間内であれば学生はあらかじめ約束せずに教員と会うことができます。この時間以外も結構研究室にはいますので、メールなどでアポイントメントをとってください。
      • コンタクト:morsato@mail.doshisha.ac.jp
  • 2024年度春学期担当クラス
    • 学部
      • 芸術学概論(1)
      • 芸術学特論(1)
      • 演習II(1)
      • 演習I(1)
      • 英書講読(1)〔美〕
    • 大学院
      • 芸術学特講III
      • 芸術学特講III演習
      • 美学芸術学特殊演習I
  • 学歴
    • 1992年 早稲田大学政治経済学部経済学科 中途退学
    • 1994年 Columbia University, School of General Studies 卒業
    • 1996年 Columbia University, Graduate School of Arts and Sciences修士課程 修了
      • M.A. in Liberal Studies/East Asian Studies
    • 2003年 同志社大学大学院文学研究科博士後期課程 美学および芸術学専攻 退学
      • 博士(芸術学)〔2005年〕
  • 2023年度の仕事から
    • 5月:批評「「ブラックとして育って」——ジャマイカ系イギリス人たちのサウンド、スタイル、政治」、『KYOTOGRAPHIE 2023 Catalogue』KYOTOGRAPHIE、28-29ページ。
    • 6月:論文「写真×絵画/工芸/映画——複合メディアとしての彩色/色彩写真」、『美術フォーラム21』vol. 47(特集:フォトグラフィック・アート——技術と芸術のあいだ)、きょうと視覚文化振興財団、44-49ページ。
    • 7月:エッセイ「伝統への対抗——隠されたままの“歴史”」(「京都・左京区研究」#0-2)、『THE KYOTO』京都新聞社、2023年7月14日。
    • 7月:批評「人新世の里山にて——今森光彦生態学的=触覚的写真」、今森光彦里山─水の匂いのするところ』クレヴィス、66-73ページ、
    • 8月: 批評「世界からの呼び声——「吹けば風」展によせて」、豊田市美術館編『吹けば風』474-484ページ。
    • 12月:書評「「移動」と「時間性」で風景を読み替える:辻成史編『はるかなる「時」のかなたに——風景論の新たな試み』(三元社、2023)」、『図書新聞』3619号、2023年12月16日付、6面。
    • 3月:批評「『INK』——モノとヒトの世界」、『SPIN OFF』
    • 3月:論文「眼視の力——コミュニケーションとしての商品展示」『文化学年報』第73輯、同志社大学文化学会、177-204ページ。

コンビニ展示論——商品陳列のコミュニケーション

「セミオトポス再訪」研究会・第1回「メシの記号論 revisited——ひとりめしとコンビニ」開催のお知らせ(2024/3/16) – 日本記号学会ウェブサイト

論文

佐藤守弘(2024)「眼視の力——コミュニケーションとしての商品展示」、『文化学年報』第73輯、pp.177-204、
2024年3月末掲載予定(いずれ同志社大学学術リポジトリでも公開予定)

参照した文献

写真論 第8回

レポート課題

  • 任意の写真を一点選び、その写真が「何を」「どのように」表しているかを記述した上で、講義で触れた写真の理論(複製技術論、ストリート写真論)を踏まえて論述する。
    • 字数:本文1200〜2000字(参考文献表、註などをのぞく)
    • 書式:A4用紙横書き、明朝体 PDF形式で提出すること
    • 取り上げたイメージやモノの図版を、必ずレポート内にレイアウトすること。
    • 提出期限:2024年2月9日(土)23:59
    • 提出場所:セイカポータル

芸術学特論2 最終回

講義

期末レポートについて

  • 課題:任意の写真(興味がある、面白い、好き、あるいは嫌い)な写真を一点取り上げて、それを講義内で触れた諸理論を意識しながら、記述、分析、解釈してください。
    • とりあげた写真は図版としてレポート内にかならず挿入・レイアウトすること(忘れたら1グレード下げます)
    • 字数:2000〜4000字
    • 形式:A4用紙、横書き、明朝体、PDF
    • 提出:e-classに作る窓口(4年生以上と3年生以下で分けるつもりです)
    • 締切:2月13日(火)23:59

写真論2 第7回

レポート課題

  • 任意の写真を一点選び、その写真が「何を」「どのように」表しているかを記述した上で、講義で触れた写真の理論(複製技術論、ストリート写真論)を踏まえて論述する。
    • 字数:本文1200〜2000字(参考文献表、註などをのぞく)
    • 書式:A4用紙横書き、明朝体 PDF形式で提出すること
    • 取り上げたイメージやモノの図版を、必ずレポート内にレイアウトすること。
    • 提出期限:2024年2月9日(土)23:59
    • 提出場所:セイカポータル

講義

  • 路上と写真と蒐集
    • 視覚的無意識と精神分析における無意識
    • 痕跡の採集者としての探偵
    • セレンディピティ=ちょっとした徴候から推論して解答に至ること
      • 三人の王子が旅の途中でラクダを曵いた商人に出会ったとき、ラクダそのものを見ないで、その足跡や道端の草の食べられた跡などから、ラクダの身体的な特徴を的確に言い当てた(中東の民話「セレンディップの三人の王子」より)。
    • 写真家と狩人
    • 推論的パラダイム
      • さまざまな近代科学(臨床医学など)に見られる知の枠組み
      • 「人は何千年もの間、狩人だった。そしていくたびも獲物を追跡するうちに、泥に刻まれた足跡や、折れた枝、糞の散らばりぐあい、一房の体毛、からまりあった羽毛、かすかに残る臭いなどから、獲物の姿や動きを推測することを学んだ。人は絹糸のように微細な痕跡を嗅ぎつけ、記録し、解釈し、分類することを覚えた。人は密林のしげみや、罠でいっぱいの林間の空き地で、こうした複雑な精神作業を一瞬のうちに行えるようになったのである(カルロ・ギンズブルグ「徴候--推論的範例の根源」『神話・寓意・徴候』)
    • 推論=アブダクション
      • 「化石が発見される。それは例えば魚の化石のようなもので、しかも陸地のずっと内側で見つかったとしよう。この現象を説明するために、われわれはこの一帯の陸地はかつては海であったにちがいないと考える。これも一つの仮説である(C・S・パース)」
    • 路上写真

デザイン論特講3 最終回

期末レポート

  • レポート課題:興味のあるポピュラー文化に関わるイメージやモノを一点選び、それを精密に記述した上で、本講義で扱ったさまざまなサブカルチャー論やストリート文化論を参考に論述する(路上観察をやってもいいですよ)。
    • 引用元、情報の出典、参考文献(書籍、ウェブなど)は、文末にリストの形で必ず明記すること(下記の字数には含めない)
    • 書式:A4用紙横書き、明朝体 PDF形式で提出すること
    • 字数:1200〜2000字
    • 取り上げたイメージやモノの図版を、必ずレポート内にレイアウトすること。

講義

芸術学特論2 第14回

期末レポートについて

  • 課題:任意の写真(興味がある、面白い、好き、あるいは嫌い)な写真を一点取り上げて、それを講義内で触れた諸理論を意識しながら、記述、分析、解釈してください。
    • とりあげた写真は図版としてレポート内にかならず挿入・レイアウトすること(忘れたら1グレード下げます)
    • 字数:2000〜4000字
    • 形式:A4用紙、横書き、明朝体、PDF
    • 提出:e-classに作る窓口(4年生以上と3年生以下で分けるつもりです)
    • 締切:2月4日(日)23:59の予定

コメント返し

講義

      • オリジナリティと流用=二次的な制作

写真論2 第6回

レポート課題

  • 任意の写真を一点選び、その写真が「何を」「どのように」表しているかを記述した上で、講義で触れた写真の理論(複製技術論、ストリート写真論)を踏まえて論述する。
    • 字数:本文1200〜2000字(参考文献表、註などをのぞく)
    • 書式:A4用紙横書き、明朝体 PDF形式で提出すること
    • 取り上げたイメージやモノの図版を、必ずレポート内にレイアウトすること。
    • 提出期限:2024年2月9日(土)23:59
    • 提出場所:セイカポータル

講義

デザイン論特講3 第13回

レポート課題

期末レポート

  • レポート課題:興味のあるポピュラー文化に関わるイメージやモノを一点選び、それを精密に記述した上で、本講義で扱ったさまざまなサブカルチャー論やストリート文化論を参考に論述する(路上観察をやってもいいですよ)。
    • 引用元、情報の出典、参考文献(書籍、ウェブなど)は、文末にリストの形で必ず明記すること(下記の字数には含めない)
    • 書式:A4用紙横書き、明朝体 PDF形式で提出すること
    • 字数:1200〜2000字
    • 取り上げたイメージやモノの図版を、必ずレポート内にレイアウトすること。

講義

  • 路上と痕跡:考古学的想像力
    • 建築のデスマスク=都市の皮膚に刻み込まれた記憶
    • 痕跡と想像力
      • 手に入ったほんのかけら(部分)から、見えない/捉えることのできない全体を想像する
      • かけら(部分)は、全体に対して換喩の関係にある

芸術学特論2 第13回

コメント返し(随分間が開いちゃった)


www.youtube.com

  • 「視覚的無意識」(ベンヤミン
  • 写真宝飾品とインデックスの二重化

講義

写真論2 第5回

講義

デザイン論特講3 第12回


https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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