はてなビックリマーク

リテラシーと理解について考える

食える 外来生物

 料理をすれば食べることの出来る(らしい)外来種特定外来生物を調べてみました。実験・実食はしていませんがご容赦を。
 いうまでもないですが食べることが可能だからといって勿論ですが放流はすべきではないですし、可能であれば駆除すべきだと考えます。生態系や環境問題を軽くみる事は控えるべきでしょう。
 現実にはその生き物の生活環境や衛生状態等場合によっては何らかの問題が有ることも考えられるので実行については専門家にご相談ください。
      
 頓痴気な方が「ブラックバスは美味しくないから迫害される云々…」とか言い失笑を買うことも有るようで、それこそ「自然・天然」を何だと考えているのだろうかと思います。調べると幾らでもわかることを平気で思い込みや都合でいい加減な話をするのでしょうか。
    
スズキ目スズキ亜目サンフィッシュ科オオクチバス属 ブラックバス ぼうずコンニャク市場魚貝類図鑑
 http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/sunfish/brack.html
         
 元々食用に輸入されているだけあり見た目も「すずき」で居住水域にもよるでしょうが見たところ普通に白身の美味しい川魚ですね。
 鱗が硬いとの話もあるので「すき引き」にするかうろこ取り又はスチールウールでかき取り、加熱すれば良いようです。
 「皮に臭みがある」とも言われますが幾つかの実食記事では見つけることが出来ませんでした。鮮度か水質の問題かも知れません。
   
 特定外来生物ブルーギルスズキ目スズキ亜目サンフィッシュ科の白身魚です。
ブルーギルの塩焼き&唐揚げ
 http://www.geocities.jp/oyakofishing/giru.html
   
 見たところ普通にグレだとかの磯の白身魚とかと変わらないようで、味も上々の様です。食べないのは名前と色のせいでしょうか。
    
 ウチダザリガニは北海道摩周湖で増殖し特定外来生物に指定されるほどの問題になっています。福島千葉長野滋賀にも生息します。
 日本では食べない「ザリガニ」ですがフランス料理では「エクルビス」といわれる食材です。ウチダザリガニは「レイクロブスター」としてして美味しいことでも知られます。
 茹でたてが美味しいらしく鮮度が重要ですが生きたままでの輸送が禁止されているので美味しい物は現地でしか食べられない事になります。
        
>美味、阿寒湖のレイクロブスター(茹でたてウチダザリガニ)一皿1000円とマリモの危機
 http://web.mac.com/dollyvarden/iWeb/C21CE618-18E0-4855-9FF5-A19702D8C796/Blog%202/039C7697-B21F-4F06-8542-F279C770328B.html
     
 ついでに「アメリカザリガニ」も食用になります。原産地アメリカや中国等ではよく食べられています。
 普通に取れるものは居住水域によっては内臓に泥を抱えていたり泥臭い事もあるそうですが数日間清水で生かすと抜けるようで、味は良いそうです。小さいので食べにくい事は有るようですが叩いて潰してから味噌汁の出汁やソース等にする事もできるでしょう。川蟹と変わらないです。
    
 アメリカザリガニは食用のウシガエルの餌として導入されたそうですがウシガエル外来生物です。
 これも中国やヨーロッパでは普通に食用で味には定評があります。
 フランスのカエル料理の「grenouille(グルヌイユ)」はヨーロッパトノサマガエルだそうです。
 日本人には味が淡白なウシガエルの方が合うかも知れません。
>食用のカエル
 http://majin.myhome.cx/pot-au-feu/dataroom/foods/fishes/grenouille/grenouille.html
     
 アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)も特定外来生物に指定されています。
 これも食用として用いられる魚で味も良く岐阜県奥飛騨で「河ふぐ」として商品化されていることでも知られます。アメリカでは現在ベトナムからのナマズの輸入が多く行われています(ベトナムナマズ」は「バサ」又は「チャー」で別種)。
 ナマズ類自体の多くはは基本的に美味しい白身の魚です。泥抜きは必要かも知れませんし少し捌きにくいようですがフライでの需要さえあれば霞ヶ浦の「天然物」も質・量ともに採算レベルにあるとも考えられます。
   
 「テラピア」と云われるのは幾つかの魚の総称だそうで、特定外来生物に指定されているものはナイルテラピアとカワスズメ(モザンビークティラピア)ですがどちらも元々食用魚として導入された物であり味は当然問題はありません。
 白身の美味しい魚で世界中で養殖・放流され(生態系を破壊しつつも)食用として用いられています。「イズミダイ」として流通もしています。
       
 特定外来生物のパイクパーチ(ザンダー)、ヨーロピアンパーチも綺麗な白身の美味の魚でヨーロッパでは広く食べられているそうです。個人的には「美味しそう」にしか見えません。
      
 特定外来生物ストライプドバス(ストライパー、シマスズキ)も美味な魚で知られます。
 見るからに癖の無さそうな白身魚です。
               
 同じく特定外来生物ケツギョは中国、コウライケツギョは朝鮮半島では白身の高級魚としても知られているようです。
 ケツギョは「桂花魚」等の多くの地方名で名物として重要視されています。
 きめ細かな肉質で色々な調理法に合いそうです。
    
 特定外来生物に指定はされていませんが「ライギョ」と総称されるカムルチータイワンドジョウ、コウタイの三種も食用として導入されました。今では「寄生虫がいる」等としてあまり食用にされないようですが加熱をすれば何の問題もありません。
 東アジアでは一般的な食材で「ゲテモノ」扱いされるべき物ではないでしょう。
スズキ目タイワンドジョウ亜目タイワンドジョウ科 カムルチー雷魚ライギョ)ぼうずコンニャク市場魚貝類図鑑
 http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/sonota/kamuruti.html
     
 ソウギョ(草魚)は草食の魚ですが食欲が旺盛で大型化するために植生を荒らすことがあり問題視されています。
 これも中国料理では重要な魚です。コクレン・ハクレン・アオウオと合わせて中国では古くから養魚として用いられ四大家魚とされています。
 ハクレンやアオウオも同じように用いる事のできる外来種ですが食性から大きな問題とはされていないようです。
     
 一般にある種の「天然魚」等がそれ程流通しない仕組みは(1)需要が少ない(2)安定供給しない(3)手間がかかる。という理由が殆どで、知名度が低く普通の人はあまり見かけない魚でも美味しい物は幾らでもあります。
 付け加えておくと綺麗な白身魚だからといって天然物の淡水魚は寄生虫の危険性があるので基本的には刺身・洗い等での生食は避けるべきです。上の魚も加熱食に向いているようで油を使った調理か蒸し物・焼き物で美味しいようです。
 幾つかの魚は元は食用として多く用いられていたものが時代の変化とともに流通されくなり食べ方や味が忘れ去られたようです。
 ニジマスブラウントラウトは川釣りの対象とされ、釣れたものを食用とする事に違和感はない方も多いでしょう。
           
 「寄生虫がいる」ということを特に忌避的に用いる事がありますが、日本人の多くが日常的に食用とする海水魚にも無害なものを含め多くの寄生虫等はいますが、加熱や内臓の処理等で基本的に無害化したものを現実に食べています。
 その意味でも「天然」や「自然」は元から人間に都合の良い物ではなく人為によって関わらずを得ない物であるのは明らかです。
      
 日本固有の「キジ(雉)」との交雑が問題とされる大陸種コウライキジも日本で古来から食べられているキジと変わらない狩猟鳥で味は良いです。食用に肥育もされています。
      
 特定外来生物であり特定動物として科ごと指定されたカミツキガメ科の中では「要注意外来生物ワニガメが原産地では食用とされ絶滅の危機にあるそうです。
 カメ目の仲間は多くの国で食用とされることもあります。
 「ミドリガメ」で知られるミシシッピアカミミガメも食用とされる場合があるそうです。
      
 特定外来生物キョンは鹿の一種です。原産地である中国料理での使用は古くからあり、鹿肉より柔らかで癖はないようです。
キョン焼肉 趣味友遊マルチハンティング
 http://smyyou.web.fc2.com/menyu/gomoku/kyonyaki/kyonyaki.html
     
 ネコ目ジャコウネコ科のハクビシンは中国の南のほうではよく食べられる「食材」だそうです。日本でも農作物をあらす「害獣」として知られます。
 中国では一時多くが肥育されていたそうですがSARSウィルスとの関連が疑われ、利用が控えられたと聞きましたが現在では安全であることが確認されたそうです。
 濃い味の煮込みに多く使われるらしく、癖はあるようですが味は良く、よく広東料理で食べられるとされる「猫」とは多くが実際はハクビシンだとも聞いたことがあります。
ハクビシンを食べる
 http://www.linkclub.or.jp/~hi-tanio/hakubi/C0677CCD-76B0-4E59-9499-B3C4DB0F3F3D.html
     
 特定外来生物ヌートリアも血抜きや内蔵の処理など上手く処理をすれば食べられるそうです。草食ですからウサギと変わらんでしょう。
 思いのほか癖もなく味も良いようです。(昔アメリカでプレーリードッグでミートパイを造ると読んだ記憶があります)
>驚愕の味、ヌートリア ジビエ料理&ハンティングのシェフブログ
 http://blogs.yahoo.co.jp/japangibier/19739924.html
     
 特定外来生物ハリネズミも中国やアラブなど広範囲で食用とされているようです。そこそこの味だそうです。
      
 悪名高い特定外来生物アライグマも脂を除き重曹を用いて下処理をすれば充分食べられるようです。
 個体差や個人の好みもあるかも知れません。(ちなみに「狸汁」の美味しい物は実はアナグマだとの話があります)
>アライグマ料理に向けて
 http://smyyou.web.fc2.com/menyu/syuryou/araiguma/araiguma.html 
>アライグマ料理 ラクーンシチュー  
 http://smyyou.web.fc2.com/menyu/syuryou/raccoonstew/raccoonstew.html 
    
 有害動物指定をうけているアフリカマイマイは最初は食用として導入されたものだそうです。
 野生のカタツムリ等陸貝は広東住血線虫の中間宿主でもあり、触れるのは危険なのですがフランスや中国では食用としても飼育されています。触れた場合にはよく手を洗わないといけません。
 飼育環境下では線虫に汚染されることもないのか、加熱をすれば全く問題はないようです。
 アフリカマイマイは旺盛な食欲と繁殖力を持ち農作物に被害を与える危険な害虫とされています。
エスカルゴの本場はブルゴーニュ ブルゴーニュの日々
 http://www.bourgognissimo.com/Bourgogne/1ARTL/BR_011_1.htm#2
 元々のエスカルゴは「Helix」という種類らしいのですが、現実に売られている安価な「エスカルゴ」はアフリカマイマイが用いられているようです。
         
 ジャンボタニシといわれるスクミリンゴガイ(世界の侵略的外来種ワースト100)も元は食用として移入されたもので当然食用になります。
 稲の害虫として知られますが水のきれいな所に住むものは特に臭みもないそうです。
         
 詳しくは書きませんが猿肉や蛇肉は食用としては(文化人類学的に見て)極普通の珍しくは無いものです。
            
 安全性や効率の問題としては特に食用としてお薦めする訳でもなく、外来種の移入には否定的なつもりですが、出来れば何らかの形でリスクを評価し。基本的には適切な加熱、衛生管理を行いさえすれば食用としての利用は可能かもしれません。
 調べてみても思い込みの強そうな方が伝聞情報や都合の良い例のみから決めつけているだけのような情報が多くあります。
 現実に原産地や世界の国々では普通に食用とされる物が日本だけでは問題があり食べられないということはあまり考えられないでしょう。嗜好の問題にしか過ぎないです。
 今の自分達が食用として見ないものは「食べられないだろう」「不味いに決まっている」「気持ち悪い」との偏見で見てしまうのが当然で、その感覚を補強する情報や見た目からの印象により食用としないだけです。
        
 しかし、特に食料自給率を気にする方は率先して召し上がられても良いのではないでしょうか。愛国者の方も夷狄を食べて撃退しましょう。
          
外来生物法 環境省
 http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html
>侵入性物データベース 国立環境研究所
 http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/