『最果てのイマ』発売20周年おめでとうございます

2025年8月12日、『最果てのイマ』発売20周年おめでとうございます。

 

ゲームでここまでやるかという衒学的ハードSF、

時系列入れ替えによって知った「能動的に物語に関わる面白さ」、

哲学を伴ったコミュニケーション論。

今でもマイフェイバリットゲームの一つです。

 

というかこのブログのタイトルとか、そもそも今している仕事のこととか、このゲームから受けた影響は数知れないわけで。

コンシューマー版は会社四散とか色々あってもう手に入らなくなってしまいましたが、FANZAでまだDL版(R-18)が手に入るのはありがたいですね。

dlsoft.dmm.co.jp

 

 

10周年の時には同人誌を作ったりしましたが今回は特にないです。

一応その同人誌は、在庫が残っている分だけ通販をひっそりやっています。後追いで欲しくなったりした人いればよろしければ。

pictspace.net

 

最果てのイマ』が今後も語り継がれることをお祈りしております。

もうとっくに始まっている認知戦について――250719

雑記です。


今の社会は、色々ある対立軸の中で、「知性vs反知性」の対立という側面が一番強いように感じている。

そして、正直優勢なのは反知性のようにも感じてしまう。

これが僕には大変居心地が悪い。

CTスキャンの画像を元に余命宣告する医者よりも、「このサプリを飲めばガンが消える!」と断言するニセ医療の方が「私たちの不安に寄り添ってくれる!」と支持されるような構図が、あちらこちらで繰り広げられているように思う。

 

要因はいくつもあるだろう。

まず、社会が複雑化しすぎている。

コンビニバイトであったりしても覚えることが死ぬほどあって、現代人が生きていく上で要求される知識の水準が極端に肥大化している。

 

SNSによって、身の回りに情報が氾濫しすぎているのも要因の一つだ。

他の人の人生とか余計なものが見えすぎて、ルサンチマンや瞬間的な感情が無限に増幅させられる。

しかも、AI技術まで発展してきて、ただでさえ情報まみれの世の中にAIが作った文章・イラストが混じるようになり、何が正しい情報なのか判別するのがいっそう困難になった。

 

他の国が、社会の混乱を狙って情報工作、いわゆる認知戦を仕掛けてきている、という話もある。

個人的には、そのぐらいのことは当然やられてるんだろうなと思っている。

 

始まってますよ。とっくに。

気づくのが遅すぎた。柘植がこの国に帰ってくる前。

いや、そのはるか以前から戦争は始まっていたんだ。

機動警察パトレイバー 2 the Movie 後藤隊長

 

これらの影響を受けた人の悲鳴が、反知性となって社会に浮かび上がっているのではないかと分析している。

YouTubeとかで何かを「断言」する人が支持されているのも同じ理屈なんだろうな。

強い言葉を聞いていれば、考えなくて済むから。

強い言葉で自分たちとそれ以外の人間を切断処理できるから。

 

だけど、反知性が政治にまで入り込んだ時、社会がどうなるか、なんてのは歴史を見れば明らかだ。

 

中国では、特に根拠なくスズメを駆除したせいで害虫が増えまくって膨大な餓死者が出た(大躍進政策)。

ソ連では、遺伝学を否定したせいで作物が育たなくなって大量の餓死者が出た(ルイセンコ農法)。

カンボジアではポル・ポトが知識人を片っ端から大量に虐殺した。

 

反知性と政治が結びつくと、たくさんの人が死ぬ。

 

しかし、それらのことを声高に叫んでも、とにかくインテリ層の言うことはすべて憎い、ということにまたなるらしい。

 

……と、まあ、人間の知性を信じたい者にとってはなかなか憂鬱な状況ではあるのだけれど、そんな中で自分に何ができるかはしっかり考えたい。

 

ユーモアは一つの武器だなあと思う。

幸いにも僕はクリエイターとして色々表現する能力を持っているので、落ち込んだりしながらも、試行錯誤していきたい。

 

何にせよ、社会が良い方向に進めばいいなあと思います。

 

明日は選挙です。

 

KMNZ 4th ONE-MAN LIVE「AREA 111」ライブレポ(自由形)

sunagi.hatenadiary.jp

前回のKMNZ布教記事(上リンク)はKMNZちゃんのさらなる飛躍を祈って「バズれ~!」と思って丁寧に書いたけど伸びはいまひとつだった。

「ワイは……ワイは無力や……!」と膝を突き、天を仰いだ。冷たい雨が頬を濡らした。

でも数秒後に「まあ、そういうこともあるよな」と思った。なのでもう今回はバズとか気にせず自由に書きます。

 

6月25日川崎クラブチッタのKMNZ 4thワンマンライブ行ってきました! 楽しかった~!

 

noteに他のHZさんのライブレポとか上がってるのを見て、

「あっオデもある!いっぱい感情ある!」(突然自我に目覚めた悲劇のモンスター)

ってなったので自分も記録書こうと思った。

 

でも最近みんなが長い記事書く場所ってだいたいnoteになったよね。わかるよ、あっちのがオサレっぽいし。

じゃあなんすか、はてなブログにはもう狂人しか残ってないってことすか(正解!)

 

違う!

俺はここでいいんだ! はてなでいいんだ!

俺がここで一人屹立することでKMNHZの多様性を守っているんだ!

新人HZが入ってきやすいようにしているんだ!

KMNSTREETでは自分がないやつは泡みたいに消えちまう。つうことで

 

インターネットの僻地の極地

はてなの果てからお前に着地

KMNZ愛だけで走る筆致

行くぞ狂ったライブレポガチ

 

ライブ前

天気予報から台風来るかと思ってたけど、晴れ女界のTier1を自称するNEROが「雨止んでください!」ってポストしたら10分ぐらいで本当に晴れた。え、なにそれ怖い。政府の作った兵器とかじゃないですよね? しかし大変感謝です。

 

物販結構並んだけど欲しいものは買えてよかった。

 

クラブチッタの中に入ると会場はほぼ満員。当日券数枚あったらしいけど誤差です。二階席も機材席も開放してるし、満員と言って差し支えないでしょう。すごい!

俺、クラブチッタ埋めろって言われても埋められる気がしないもん。頑張って金魚とか飲むけどそれでも無理だ。頑張って金魚飲んで戻すから2人ぐらい来てくれ(現実逃避)

 

開演前、前方のスクリーンに映し出されていたのは閉まっている赤い幕のCG。「幕」をスクリーンで再現する利点があって、ちょいちょいメンバーの影が後ろで動いたり、のぞき込みがあったりする度にフロアは盛り上がっていました。5分前には、前回TINAがアナウンス係の人に扮して行った開演前注意アナウンス、本日はNEROが担当。これは正直すぐわかった。TINAが上手すぎる説がある。

 

オープニング映像の最初、現地で音が流れないハプニングがあったけど、これ演出なのかな?ぐらいに思ってるうちに音が出るようになってよかった。まあこちとら1stワンマンの機材トラブルとかも経験してるKMNZオタクだ、面構えが違う。

2025.6.25 KMNZ 4th ONE-MAN LIVE "AREA111" セットリスト

M1. SUNDAY NIGHT MAGIC
M2. NEW DAYS
M3. FREELY
M4. META FICTION
M5. LUNATIC BEAST
M6. GROWL
M7. ビビデバ(cover)
M8. 感電(cover)
M9. よふかしのうた(cover)
M10. ウェカピポ(cover) 
M11. Kickin The Pride
M12. DROP IN
M13. WAVE
M14. CALLING
M15. MIRROR
M16. BE NOISY!
EC1. R U GAME?
EC2. MID JOURNEY
EC3. VERSE

印象に残ったところ

(ZANの有料配信のアーカイブ視聴で、スクショだけは認可されているのでスクショを貼ります)

M1. SUNDAY NIGHT MAGIC

幕が開く演出でスタート!

『終わらせないアンコール』の歌詞通り3rdワンマンではアンコール前最後の曲だったサンマジで始まるの、斬新でよかった。「迎え入れるサンマジ」ですよ。尊(たっと)ぶ。

 

M2. NEW DAYS

MV意識して、後ろ向きでしっぽ振って見せてくれるとこよかった。サイドステップも可愛すぎクライシス

 

M3. FREELY

『私たち、が超最高に、Free!』のFree部分を裏声で歌ったりセクシーに歌ったり毎回趣向を凝らしてきたKMNZ集団ですが、今回のワンマンではついに一線を越えた。「歌わない」。そういう奇策に出た。その代わりに謎ポーズを決めた。

確かに超フリーだよあんたら。へっぽこヒーロー戦隊感が好き。この自由ポーズ、終わり方は決めてなかったらしく、「これいつやめんの!?」ってTINAがちらちら2人を見てたのおもろかった。

ついでにちなたゆのウインクのこの破壊力。二重の極みアッー!

 

M6. GROWL

リタどんの激ヤバ早口ラップゾーンがあることで知られるGROWL

本人も緊張してたらしい。

観客も当然の如く「来るぞ、来るぞ……」と待ち構え、ついにその瞬間!

リタどんが見事にラップ成功! させてまた大歓声起きるの鳥肌~!

「見ましたか俺の推しww あれ俺の推しなんすよww 俺の推しどんどんラップ上手くなってんすよwww」と心の中で勝手に誇らしく思っていたが、たぶん会場の結構な数のLITA推しが同じことを思っていた。現実は無情である。

 

M7. ビビデバ(cover)

各人のソロパート。

TINAはわざわざヘッドセットマイクにしてダンスまで踊ってくれた。

かわちいね~

M8. 感電(cover)

ライブ映像を5億回観て(おそらく誇張表現)「米津さん動き完コピ」を目指したらしいNERO。「あっ、確かにPVで見たことある糸の切れた操り人形みたいな動きだ!」と思った。

 

M9. よふかしのうた(cover)

リタどんのソロ。せやからほんまにKMNZとCreepy Nutsとの相性って最高でぇ……。「お前に手を引かれて出向いた土曜日の溜まり場」を「出向いた川崎クラブチッタ」に変えてまた歓声。生歌らしいリアリティ。

 

そしてそのまま3人カバーの「ウェカピポ」を皮切りに、4連続激アツ楽曲エリアへ入っていく!

 

M11. Kickin The Pride

2人体制時代には『お前に何がわかんだよ』はオケでやってたんですよ(僕は2ndワンマンのブルーレイめちゃくちゃ見てるんだ詳しいんだ)。

でもパートを分担できるようになって、今回ちなたゆが生で「お前に何がわかんだよ」って言ってくれてよかった。

そこライブでやってくれたら盛り上がると思ってたんだ~!

 

M12. DROP IN

はい来ました。間違いなく今ライブのハイライト。

DROP IN」がKMNZライブ史上最強曲だと確信した瞬間である。

観客の音量、熱気、飛び跳ね方、ヤバすぎ! 盛り上がりすぎ~!

dance、bounce、dance、bounceの連呼で会場のボルテージを高めていき、サビで爆発させて「どろっぴんどろっぴん」言いながら飛び跳ねるのほんっとーに死ぬほど楽しい楽しい楽しい!!

 

もうね、運営さんは次のライブの宣伝のために、この「DROP IN」のライブ映像を一曲丸々YouTubeにアップするといいと思います。

誰しもが「僕も(私も)どろっぴんしたい!」ってなると思う!

 

そういえば余談だけど、この曲以外にもKMNZの名曲をいっぱい作ってる作曲者のE TICKET PRODUCTIONさんが、シナリオライター桑島由一さんの別名義だって最近知ってびっくりしました。マジで。大先輩じゃないすか。おれぁ古いオタクだからさあ、グリーングリーンとかCARNIVALの原案とかもともと桑島さん知ってたから……。

 

M13. WAVE

どろっぴんで死にかけたHZの前に休憩無しで紡がれたのは、前日に公開されたばかりの新曲だった……。

かっけ~。

NEROの拳を振り下ろす「がう、がう、がう、ガッツゥ!」(穿つ)ってところの勢いと動きが好きで、しょっちゅう真似するんですけど、こないだ冷蔵庫の前でやって手をぶつけました。

M15. MIRROR

最新シングル「DROPS」からの一曲。

「聴かせる」KMNZの一番美味しいとこ出てるのがこの曲だよな~と思います。そして生でも音程がぶれないの本当にKMNZちゃんたちは歌がうまい。

 

アンコール

アンコールで物販ライブTで出てくるの、普通のバンドだとよくある演出だけど、Vでやってくれると嬉しくなっちゃうな~!

俺はね、バンドTシャツを着てる女の子が銀河でいっとう好きなんだ。

 

アンコールでは2人体制の代表曲「R U GAME?」に「MID  JOURNEY」、定番の「VERSE」で締めて、最後まで熱く盛り上がりました。

 

ちなみに配信では切れていたけれど、現地では終演後、KMNZがマイクで少しだけカムバック。「しー」って会場を静かにさせてから「ありがとう~!」って生声を響かせてくれました。

実在している……!(感謝の五体投地

 

総括

「あんなに飛び跳ねたのに……

あんなに筋肉痛くなったのに……

もうこんなにどろっぴんどろっぴんしたい」(範馬刃牙

「死ぬ……! 死んでしまうぞ杏寿郎! もうどろっぴんするな! どろっぴんしないと言え!」(猗窩座)

「どろぴもちもち……する?」(KMNZ LITA

 

DROP IN」という楽曲のパワーの凄まじさをやはり思いました。

会場がね、揺れんだよ。一体感やべえよ。間違いなく今後ライブにおける代表曲になることでしょう。

 

同行してた友人も「Vtuberに対する偏見が減った」って言ってたのが良かったですね。Vtuberにも本気で音楽をやってるやつらがいる。世の中にはまだまだヤベえやつらがいんだ!

 

今回、NEROのツイートなどから見るに、準備期間が結構ギリギリだったっぽくて、背景が黒かったりした(ヒップホップのライブっぽくてそれはそれで良かったっちゃ良かったんだけど)のもそういう理由もあって不安だったっぽくて。でも歌声をしっかり聴かせる、ってコンセプトはちゃんと伝わってきたし。

個人的には、前回の記事で「ワンマンライブは演出も面白いんだよね~」とか書いてたので、もしそういうのが関係者もろもろの不安を助長してたらちょっと申し訳なかったな~と思った。

でも、いちHZにできるのは、これからどんな演出でも温かく見守ってますよ、って言うことだけだなーとも思った。

その辺、全部引っくるめてまだまだ発展途上らしいので、今後も色々見せてください。

楽しみにしてますよ、よろしゃす!

 

なお、今回2人体制時代のカバーアルバム「KMNREVIVAL」の曲はあんまりやらなかったし(ていうかREVIVALも第2弾第3弾出して! 「RECOAT」「NEEDY」「DRIVING」あたりが収録されるまでずっと待ってるぞ!)、先行販売された最新シングル「WAVE」の残り2曲もライブでは聴けていないので、まだまだライブでやってない曲を聴けるのが楽しみですね。

KMNZ次回ライブ、「REVIVAL & NOW」とかそんな感じでひとつどうすか! よろしゃす!

2025年今最高に熱いVsingerユニット「KMNZ」について語らせてほしい

「KMNZ」(ケモノズ)というグループを知っていますか?


これは、Vsinger ユニット「KMNZ」の紹介記事、および入門記事です。

あるいは昔ちょっと知ってた人、名前だけ知ってる人にも、KMNZに起きた2024年の地殻変動を経て「今のKMNZマジでおもしれーことになってるぞ!」ということをひたすら布教する記事です。

幸い近く川崎クラブチッタで4thワンマンライブとかもありますので、一人でも興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいなという気持ちで一般ファンが書いています。


1.KMNZとは?(簡単な基礎知識)

「歌」をメインに活動するVtuber、いわゆる「Vsinger」と呼ばれる枠組みに入るバーチャルガールズユニットです。
企業勢で所属会社は紆余曲折あり、今はRK Musicという事務所に所属しています。


活動開始は2018年。最初はLIZ(リズ)とLITA(リタ)の2人組で活動していましたが、2023年12月にLIZが卒業。
その後、約半年の休止期間を経て2024年5月、残ったLITAに新人のTINA(ティナ)、NERO(ネロ)を加え3人組として活動再開しました。

KMNZというだけあって、メンバーはケモ耳としっぽのついたケモノ少女たちです。
LITAとLIZの時は犬と猫の組み合わせでしたが、TINAとNEROの加わった今は犬3匹。(LITAコーギー、TINAとNEROはシベリアンハスキー
まとめて3犬なんて呼ばれたりもする。


音楽活動は、YouTubeでカバー動画を上げたり歌枠をしたりすることもありますが、オリジナル曲での活動がメイン。
曲調の特徴は、ストリート、ヒップホップカルチャーを中心としていること。つまり、ラップが多め。
色んな人に曲提供を受けていますが、作詞に彼女たち自身が関わることもよくあります。

KMNZのファンはHZ(ヘッズ)、KMNHZ(ケモノヘッズ)などと呼称されます。


公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@KMNZOFFICIAL

公式X
https://x.com/KMNSTREET


2.筆者とKMNZの出会い(思い出語りのコーナー)

僕がKMNZに出会ったのは、2019年ごろのことでした。

その頃、なんとなく新しい音楽を求めて、Alexaにランダムで曲をかけさせるということをよくやっていました。そんな中、流れてきた一曲に耳が止まりました。


それがKMNZ1st Album『KMNVERSE』収録曲、「OPENING」。

www.youtube.com

これがまあ、衝撃でした。
ゆる~いヒューマンビートボックスから、いきなりトップギアに入るラップがかっこよくて「なんぞこれ!?」と。あいうえお作文みたいな間奏まで含めて、「面白い曲歌う子たちだなー」と一瞬で興味が沸きました。そこからそのまま、1st Albumをヘビロテし始めたわけです。今思うとAlexaくん、いい仕事したなー。


その後は、配信をたまに覗いたり、オンラインライブがあったりすれば視聴し、現地1stライブや2ndライブのクラファンに参加したりするなど、音楽活動をメインにゆるーく応援をしてきました。


……いま思えば、「ゆるーく」応援してきたことに対して、もっとガッツリ応援の声を届けていればなと少し後悔がなくもないんですけどね。
それが今こういう記事を書いている理由の一つかも。

3.KMNZに起きた2023年の地殻変動、その時LITAは決断した

そもそも、2018年にデビューしたKMNZは、コロナ禍の影響をもろに食らったアーティストの一つであると言えます。

元々2020年春に予定されていた1stワンマンライブは、コロナウイルス感染拡大の影響を鑑みて一度中止になってしまいました。
その1年半後(2021年12月17日)、クラウドファンディングでの資金も加えてようやく開催されたKMNZ 1stワンマンライブ「REPEZEN KMNSTREET」。
ただそれも、観客を大幅に絞った「声出し不可」ライブでした。


その後も感染拡大の影響などで中々2ndワンマンライブが開催されないまま月日が流れ、1stワンマンからさらに1年7ヶ月後の2023年7月29日。
ようやく声出し可の2ndワンマンライブ「TYPE WILD」が池袋harevutaiで開催されました。

だから、初の声出しワンマンライブにはデビューから都合5年もかかったわけで。これはまさにKMNZにもHZにも「待望」だったのです。

このライブ自体はとても良いものでした。現地で見ましたが本当に楽しかった。
完全初公開の新曲「STAR-LIGHT」なども披露され、大盛況のうちに終わり、KMNZはこれからもっと面白くなっていくぞ!と今後の飛躍を予感させるものでした。


それだけに、数ヶ月後の2023年12月1日、飛び込んできたニュースは全HZにとって衝撃でした。

LIZの2023年いっぱいでの卒業のお知らせ。


しかも、発表からわずか1ヶ月未満での卒業、卒業LIVEなどもなしという急転直下の展開。多くのHZは心を整理する暇などありませんでした。もしかしたら、まだこの時のショックから立ち直れていないHZもいるかもしれません。


そんな中、残されたLITAの決断は、新メンバーを入れて、KMNZの活動を続ける、というものでした。
この時のLITAの心情・葛藤は、様々なインタビューで語られています。
以下はNHKのラジオ番組「ぶいあーる!〜VTuberの音楽Radio~」に出演したLITAの発言の要約です。

(LIZの卒業を聞かされた時は)ショックでした。
いきなり「電話していいですか」ってプロデューサーから電話でそれを言われて、もう……号泣でしたね。
もう全然予兆もなかったというか。LIZからも何も聞いてなかったので、かなりびっくりして。


まあでも、電話してたのは多分1時間から2時間くらい? その中でもう次のKMNZどうしようみたいな話も一緒に進んでて。一人でやるか、体制を変えるか、まあ……辞めるのか、みたいな話もあったんですけど。
辞めるって選択肢が一番最初になくなって。
なんか自分の中で不完全燃焼だったんだろうな、みたいな。
まだまだこれから二人でやっていくと思ってたし、未来もあるものだと思ってたから、それがいきなりなくなったら、もちろん不完全燃焼じゃないですか。
それを一緒にHZも見たかっただろうし、辞めるという選択肢はなくなって、新体制でやるということを選びましたね。

(2025年4月26日放送「ぶいあーる!」より抜粋)

(新体制でスタートすることに不安はなかったんですか?)
やー、ありましたね!
やっぱり……あの二人だったからKMNZだったんじゃん、って言われるな、って思ってましたし、私も思ってました。LIZが辞めたらそれは果たしてKMNZなんだろうかって。
まあ不安でしたけど、でも二人が入ってきてくれて、レコーディングで一緒に歌って、そこからは、「あ、行けるか」って思って。
私は3人で歌ったときから「見とけよ」というか、「絶対大丈夫だから」って気持ちでいましたね。
(2025年4月26日放送「ぶいあーる!」より抜粋)

こうして、LITAの決断によって、KMNZは新体制で継続することになりました。


僕の気持ちはどうだったかと言うと、やはり、もともと音楽から入った彼女たちのファンでしたので。とにもかくにもLITAがKMNZとしての活動を続けてくれたことに「ありがとう」ただその一言しかなかったですね。


そして、その言葉通り、約半年後、事務所が見つけてきた2人の新メンバー、TINAとNEROを加えて3人体制でのKMNZ第二章が始まったのです。

4.改めて現体制のKMNZメンバー紹介(筆者の主観)

LITA(リタ)

KMNZの金髪の方。愛称はリタどん。
昔は「陽キャの外見で中身は陰キャ」を売りにしていたが、ティナネロの加入以降は「リタ姉」と呼ばれるようにもなり、今では頼れるリタ姉!って感じ。かと思えばお茶目なところもあり。精神的にも音楽的にもKMNZの支柱。
ラップがうまいが、ファルセットなど声の綺麗さにも定評がある。
引くほど服を持っているおしゃれ番長。ギャルをこよなく愛する。歌枠ではちょっと懐かしめの曲(椎名林檎とか)を歌うことが多い。

TINA(ティナ)

KMNZの白い方。新加入したシベハス姉妹の妹。3人の中では一番末っ子気質。他メンバーやHZにはしばしば「ちなたゆ」と呼ばれるが本人はあんまり納得していないもよう。
LITAとNEROに溺愛されており、2人はいつもTINAを笑わせようと頑張っている(お笑い的な意味でも)。
配信ロゴを作ったり、動画を編集したり、DTMソフトを操ったりもでき、PC操作能力が3人の中で圧倒的に高い。(というより他の2人が機械に弱め)
キュートな声質の持ち主であるが、高音でも音が安定している。よく寝る。丸亀製麺のうどんが主食。
歌枠ではネット発ミュージシャン(ヨルシカ、ずとまよ等)やボカロ系を歌うことが多い。

NERO(ネロ)


KMNZの黒い方。シベハス姉妹の姉。パワフルな歌声の持ち主であり、歌というものに対してとてもストイック。
HZから来た質問に一週間考え続けて答えてくれたり、とても真摯。筆者はそういう真摯なところを好ましく思っています。
アイスが好き。つけ麺が好き。コンビニのホットスナックが好き。食べるのが好き。散歩も好き。配信の最後はだいたい「いい夢しか見るな」で締める。宣伝がうまくてKMNZ公式アカウントと半々ぐらいで広報を担当している。
歌枠ではロック系の曲(ヒゲダン、Vaundy等)を歌うことが多い。

5.そして、KMNZの「今」

3人になったKMNZはどう変わったか。
各分野ごとに見ていきます。

音楽性

これがですね。
以前より遥かにパワーアップしました。しかも、右肩上がりでパワーを増しています。


まず新メンバーの人選が、神がかったバランスでした。
TINAは、声質だけで言えばLIZを受け継ぐようなキュートな声質を持ちながら、ハイトーンボイスを安定して歌いこなす歌唱力をも持ちあわせています。NEROは、とにかくパワフルな歌声で、低めの音域からがなり声、巻き舌など器用に歌いこなします。
この2人の加入が、今までのKMNZの音楽にはなかった要素を足してくれました。

そして元からいたLITAは、歌唱ももちろん安定しているのですが、なんといってもラップ技術の向上。
ショート動画一本見れば、LITAの今のラップがどのぐらいヤバいか30秒でわかります。
最新シングルの一曲「GROWL」のバースをちょっと聞いてみてください。

www.youtube.com

かっこいい……。
これ、Vtuberの枠とか超えて、一人のフィメールラッパーとしてラップミュージックとか詳しい人が評価してくれんもんかな?とか思っています。


かくの如く、TINAのキュートな高音ボーカル、NEROの圧倒的なパワーボーカル、さらに強度を増したLITAの激ヤバラップが三位一体となってKMNZの音楽的完成度を一気に上げたわけです。
しかも、ライブの場数を踏むことで、経験値もガンガン上がっている。
今後どこまでいくのか成長がとても楽しみです。

関係性

あと3人になってから、なんでもない駄弁りや会話が純粋にめちゃくちゃ楽しいんですよね。何気ない会話ほどおもろい。
例えば以下の「ちょうちょを追いかけるKMNZ」の記録(制作:TINA)を観るだけでも彼女たちのプライベートの楽しげな雰囲気がよくわかる。

TINAを笑わせようと、延々と生産性のないボケを繰り返すLITA&NEROのこのノリ。バチバチにかっこいい楽曲からのギャップでこれだからね。やられちゃうよね。というか、古参HZはもうLITAが楽しそうにしてるだけで涙ぐむみたいなところがある(親か?)。


とにかくまあ、僕は2人のKMNZも好きだったけど、今ではしっかり現体制の3人とも大好きになっているわけです。なんですんなり受け入れられたかっていうと、新加入の2人が過去の歴史に対するリスペクトを持った上で、いつも全力でKMNZを引き上げてくれようとしてくれるからなんだろうなあ。そう思います。

活動・ライブ頻度

それから、新体制のKMNZはめちゃくちゃ活動的になった……配信ペースも、音源ペースも!


正直、2人時代のKMNZの活動は、Youtube生配信ですら相当頻度が少なかったです。月1、2回とか、そんなもん。それが今は、3人がそれぞれ積極的にYoutubeで歌枠・雑談枠などもしてくれるので、週に2~3回は何かしら供給があるという状態になりました。
単純に供給が増えたのはファンとしては嬉しいところです。


ライブ出演も圧倒的に数が増えました。
ヒップホップアーティスト全般って、やっぱり「声を聴く快感」「メッセージ」「勢い」が生でぶつけられる感が出るライブが超楽しい!ので、興味持った方には一回見てみてほしいなあと思います。


ちなみにKMNZのライブには2パターンあって、まずクラブイベントだとかに招待されて出演する時は、スクリーンに映し出されたPV映像などの裏から歌ったりする形式になります。
それはそれでマイク一本で乗り込んで勝負してる感じがかっこいいんですが、本筋はやっぱりVtuberである強みを生かして3Dモデルの動く「3Dライブ」!

KMNZの3Dライブは舞台演出なんかも凝ってるし、単純に見た目が可愛いし、歌詞とかもオーバーレイされるので初心者でも入りやすい。
で、ワンマンライブならほぼ確実に3Dライブになるので、見たことない人にはワンマンを一度見てもらいたいですね。


ちなみに、KMNZ 4thワンマンは今月、6月25日に川崎のクラブチッタでやります。
KMNZがヒップホップの聖地、川崎でついにライブをやるんですよ! これも熱い!

https://eplus.jp/sf/detail/4219010002-P0030004P021001eplus.jp

チッタのキャパでもチケットは残り僅か。チケットが売り切れてても配信チケットがありますよ。
興味持ってくれた方はぜひ!

6.オススメ曲

さて、ライブを宣伝したからには、ご新規さん向けにオススメ曲なんかも紹介しておこうかなと。


3人になってからのKMNZはまだ活動が比較的浅くて、アルバムだけでいったらまだ1枚「KMNCULTURE」しか出していないのですが(まだ追いやすいとも言える)、今回の4thワンマン前に3曲入り新シングル「DROPS」がリリースされまして。


これが本当に、別々の方向で3曲全部よかった!
KMNZが今最高に熱いって、このシングルが出たから言ってるようなもんです!
かつてないほどバラエティに富んでいてライブで絶対盛り上がるだろう3曲!
KMNZの「今」を知るためには、このシングルを聴きましょう。

DROP IN

そのシングル「DROPS」の一曲目がこの曲!

www.youtube.com

フロアを沸かせるために生まれてきたようなブチ上げチューンです。
まだライブであんまり披露していないのに、KMNZ新体制一周年記念人気曲投票では2位でした。
恐らく今回の4thワンマンでもキーになる曲。どろっぴんどろっぴん、ってコールが熱くて、KMNZもHZも歌い終わったあとへろへろになるとの噂。


あとシングル「DROPS」の2曲目はさっきLITAのヤバいラップを貼った「GROWL」と、
3曲目がおしゃれなR&B乙女ソング「MIRROR」です。(リンク先はYouTube)こちらも合わせてぜひ。


その他3人体制で好きな曲を挙げると、新体制人気曲投票1位だった「VERSE」は新体制KMNZを語る上で基本中の基本だし、「MID JOURNEY」は別々の車に乗っていたLITAとTINA&NEROが合流するPVも合わせて見るとエモい。ブルーアーカイブの曲で有名なミツキヨさんが作曲した「NEW DAYS」も必聴です。



次は2人体制時代の名曲を紹介します。

NEEDY

www.youtube.com

コンピレーションアルバム「SPOTLIGHT vol.1」に収録された一曲。サブスクあり。
作曲は有名ボカロPの八王子P。
退廃的で蠱惑的な歌詞と気怠げな歌い方で、他の曲にないKMNZが聴けます。神曲
「大丈夫 大丈夫 だからどうか一人にしないでよ」って連呼するのが逆に一切大丈夫じゃないことを表していてとてもいい。

終盤のサビで重なる声とか、裏メロとかが本当に綺麗で大好きなんです。
いつか3人で歌ってくれんかな……?

RECOAT

www.youtube.com

コンピレーションアルバム「REWIRE」に収録された一曲。サブスクあり。
作曲はin the blue shirt。そして作詞はLITAの単独作詞なのですが、作詞家・LITAの真骨頂が詰まっていると思います。

さあ筆にまかせて
後悔ごと色づければいい
今好きなColorで端から端まで

根っ子で決して明るくはないLITAの本質というか、後悔や不安だってたくさんあるんだけど、それを自分の手で塗りかえて良いものにしていこうという精一杯の決意と前向きさが感じられます。リタどん……LOVE……。
変拍子で複雑だけど、間を活かしたかっこいいリズムを持つバックトラックも聞き所です。

driving

www.youtube.com

この曲はサブスクに収録されていません。今のところYouTubeだけで聴ける曲。トラックメイカーのBatsuさんのフリートラックを元に、LITAがラップを付けて、後からフルバージョンが作られたとかそんな経緯の曲だった気が。
チルい雰囲気と、二人の絆を感じさせるほのかな百合風味。空気感と清涼感が、夏のドライブにぴったり。
間奏の「ふわふわ系かき氷」トークは、KMNZのカバー動画「サマージャム'95」(スチャダラパー)のフリートーク部分の駄弁りを受けて返歌のように作られている。エモ。


あと羅列すると、「JOURNEY」はチルくて旅したくなる名曲だし、1st Album収録の「R U GAME?」は初期の代表曲で、前述した「OPENING」から流れるように聴くといい。先日クラブイベントで既に披露していて、今度の4thワンマンでも高確率でやるであろう「Kickin The Pride」は超アゲ曲だし(ラスサビ後のシンセがめっちゃいい)、旧体制KMNZ最後の新曲かつ新体制KMNZ初ワンマン最後の曲になった「STAR-LIGHT」はもう色んな文脈が乗っちゃってるから、ライブでもKMNZは泣きながら歌っていて、それを観てたHZもみんな泣いた。ギターがハードで超かっこいい。


……え~、オススメのカバー曲も知りたい? しょうがないなあ。
なに? ぐだぐだと語りすぎ? オタク特有の早口語りになってる?
言われなくてもわかってんだ! こちとら数年来のKMNZオタだぞ!
ということでせっかくだから書きたいだけ書きます。
以下、カバー曲紹介します。

come again - m-flo (Cover) / KMNZ LITA × TINA

www.youtube.com

これいいんだよな~。m-floのこの曲、世代なのでどんぴしゃで刺さる。
TINAの綺麗なボーカルと、LITAの激うまラップで交互浴できるの良すぎん?
イラストもめっかわです。ちなみにm-floの☆Taku Takahashiさんは割と早い段階でKMNZをイベントに呼んでくれたり、近年でもアルバム「KMNCULTURE」収録曲の「METAFICTION」を作曲してくれたり、今でもKMNZとのつながりがあります。


他のカバーだと、
阿婆擦れ - Creepy Nuts (Cover) / KMNZ LITA×NEROLITAとNEROの両方のかっこよさが詰まってる。基本的にKMNZのCreepy Nutsカバーはだいたい良い。LITAソロだと「かつて天才だった俺たちへ」とか「合法的トビ方ノススメ」とか「よふかしのうた」とか。オムニバスアルバム「gnosinA」では「堕天」もカバーしてる)

ハロ/ハワユ - ナノウ (Cover) / KMNZ LITA(しっとり系の歌歌ってる時のLITAの声って本当に綺麗でよくってえ……。一時期めちゃくちゃ聞いて心の支えにしていた)

友達のうた - 倉橋ヨエコ (Cover) / KMNZ LITA倉橋ヨエコをカバーしてくれるセンス、いいよね……)

ウェカピポ - SOUL'd OUT (Cover) / KMNZ(最新の3人カバー。SOUL'd OUTとKMNZの相性も基本的にいい。LITAソロでカバーしていて3rdワンマンでも歌ったTOKYO通信もいい)

あたりも好きですね。

まとめ

特に古参HZほど、「今こうしてKMNZを応援できることって当たり前じゃないんだよな」と時々考えると思います。


コロナ禍時代の困難さ、メンバーの卒業、それらの苦難を経てもKMNZを続けると決めてくれたLITAの決断。
そのLITAの前に現れてくれたTINAとNEROという、音楽性・人間性ともに最高の相性を持った新メンバー。
それらによって生まれるケミストリー。絶え間ない向上心。
それを思うと、やっぱり今のKMNZって奇跡のユニットなんですよね。


LITAはよく、自分たちとHZはいつも「横並び」、だということを言ってくれます。
すべてのHZには古参と新参の序列などないし、また同時に、HZはKMNZの後ろを黙って付いてこいということでもない、と。
KMNZメンバーとHZは、みんな見たことない景色を見るために一緒に進んでいる一団なのです。


あなたもKMNZと横並びで歩いてみませんか?
僕はできるだけ、この歩みが長く続けばいいなあと思っています。


(2025.7.2追記)4thワンマンライブレポ書きました。
sunagi.hatenadiary.jp

傑作コマンドテキストADV『Type Help』感想(後半ネタバレ考察&クリアしたけどよくわからなかった人向け解説)

Xで話題になっていた『Type Help』というゲームをクリアしました。

william-rous.itch.io

こちらなんと、昔のパソコンゲームのように絵や音楽のない「テキスト」だけで表現される「コマンド入力」アドベンチャー

作者のWilliam Rousさんは本ゲームのインスパイア元に「Return of the Obra Dinn」や「Her Story」などを挙げていて、どっちも大好きな僕としては「えー、それほんとにテキストだけで表現できるー?」と半信半疑で始めたんですが……。


ほんとだった! 確かにテキストだけなのにそれらのゲームに近い感覚がして、そしてなにより……めちゃめちゃ面白かった!
個人的に、現時点でマイGOTY候補に食い込むぐらいの傑作だと思っています。

しかも本作、ブラウザ上で遊べて、無料!! 日本語にも対応済です!(翻訳してくださったフマノさん、ありがとうございます!) こんなことがあっていいんですか!?

ブラウザゲーといいつつ、セーブ機能もあってプレイ時間は10時間以上のガッツリボリューム+なかなか歯応えのある難易度なのも嬉しかったです。
本当に無料でいいんですか?(2回目) ありがとうございます!

ということで、上記のゲームや、色々読んだり考えたりするテキストアドベンチャーが好きな人はぜひ!
ネタバレ踏む前にプレイしてみてください! おすすめです!

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ゲーム「Blue Prince」感想(途中からネタバレ)

海外のレビューサイトやらでメタスコア92点だとかGOTYだとか言われており、とても評価の高いローグライク+謎解きADVゲーム『Blue Prince』をクリア(現時点でのエンドコンテンツまで)しました。

store.steampowered.com

Steamでは定価3500円ですがゲームパスで遊び放題。たすかる。

ちなみにこの『Blue Prince』は対応言語が英語のみ、日本語非対応です。

しかも「英語」そのものが謎解きに絡んでくるため、今後も他言語に翻訳されることはないだろうと予測されます。

なので、自分の英語基礎力に加えて、「PCOT」という翻訳ツールを使ってプレイしました。使い方に関してはこちらのページが参考になりました。

gamewith.jp

筆記体とか、普通なら読むのすらしんどかったりしたのもあったけど、PCOT+Geminiの力でなんとかなったかな……!という感じ。サンキュー文明。

 

それで、感想なんですが……

このゲーム、普通の人がいったん「クリア」と呼ぶだろう地点があり、そこまでは26時間ぐらいで到達したのですが、その時点での感想は「うーん、めんどいところもあったけど斬新で面白いゲームだった……かな?」って感じでした。

ここまでで満足するお客さんもたくさんいるでしょう。

おそらく、海外レビューでも少なくない人がここまででプレイをやめてレビューしてるんじゃないかと思われます。

 

ただ、クリア後の「謎」を全部解き明かそうとした時、このゲームはとてつもない沼に変貌しました。牙、剥きすぎ。人、選びすぎ。「こ、これがTLで騒がれてたBlue Princeか~」という感じでした。

僕もXでたくさんフォローさせていただいていますが、いわゆる「ヤバパズル」界隈というものがネットには存在し、明らかにその層向けに作られているゲームです。

比較されうるゲームの中では、過去このブログでも取り上げた『Void Stranger』に匹敵、いやそれを超える「ヤバパズルゲーム」だと感じました。

ちなみに、エンドコンテンツの底の底まで僕が到達した時のプレイ時間は120時間程度でした。あれ、26時間でいったんクリアしたよな? クリアしてからまた100時間ぐらいかかるってどういうこと? そう、通常クリアはただのチュートリアルだったのです。

 

Outer Wildsをプレイした後にVoid Strangerをプレイした僕=「Outer Wildsってまだ優しかったんだなあ」

Void Strangerをプレイした後にBlue Princeをプレイした僕=「Void Strangerってまだ優しかったんだなあ」

 

Blue Princeにおけるヤバパズルの何がヤバい?と問われると、プレイヤーに要求してくることがヤバい。しかも物量もバリエーションもヤバい。それを解きたいタイミングで解くこともできない。

Blue Princeの終盤、僕はガイアvsシコルスキー戦のシコルスキーのように「許してくれェェッ~~~! オレの負けだッ~~!」と赦しを請うしかありませんでした。

Blue Princeを遊ぶぼく(引用:板垣恵介『バキ』18巻154話より)

 

誤解のないように言っておくと、楽しんではいるんですよ、ヤバパズルを。漆黒の意思を持ったパズルゲームは、未熟な俺を聖なる領域に高めてくれるから……。(これはジョジョ7部のリンゴォ・ロードアゲイン

 

ということで、トータルな感想を言えば、個人的にはロアの読み味や読後感はVoid Strangerの方が好きではあったんですが、「ヤバパズル」最前線、ヤリ過ぎてるゲームの味を味わったという点で、とても希有な体験をさせていただいた、という感じです。

普通の人は通常クリアでやめてもいいと思います。でも……Void Strangerを楽しんだ人にここまで言わせるヤバパズル気にならない? 気になるならやってもいいかもね(暗黒微笑)

 

ここから下は、エンドコンテンツまで到達した人に向けて、ネタバレで好きだったところとか泣き言とかの感想です。

 

(以下から全部ネタバレです)

 

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ゲーム 「Until Then」 感想(途中からネタバレ)

Until Then

開発:Polychroma Games 

パブリッシャー:Maximum Entertainment

定価:2300円

store.steampowered.com

 

ゲーム『Until Then』をクリアしました。16時間弱。

基本はドット絵2DのADVゲーム。制作はフィリピンのゲーム会社。

最近だと『A Space for the Unbound 心に咲く花』とか、インディーでもこの手のジャンルが増えてきてる印象ですね。あれはインドネシア産でしたが。

本作はフィリピンの男子高校生として「裁定」という大きな事件が起きた世界で友達と日常を送りながら、不思議な出来事やらに向き合っていくというストーリー。

ゲーム性はほぼ一本道ADV(ミニゲームはちょいちょい挟まれるけどストーリーに関係ないミニゲーム)なため、ゲームという媒体で表現されるインタラクティブストーリー、ぐらいの感覚でプレイした方がいいかも。

それでクリアした感想ですが……サムズアップかダウンかで言うとサムズアップで、やってよかった! とは思いつつも、不満点もちょいちょいはあるため年間ベストとかまではいかないって感じです。

 

いいところで真っ先に挙がるのは演出。マジでいい。

横スクロールとはいいつつ、結構な頻度でコミカルなカットが入ったりして、見ているだけで楽しいしキャラクターに愛着が湧く。

セリフも全部フキダシなので日本の漫画ですね、もう。

また、作中でチャットやSNSが出てくるのですが、チャットの文章を「書いて消したり」することで表現される葛藤とか、友達に「いいね」を押すことでセリフが変わったりとか、SNSありきの高校生の青春が疑似体験できるのもいい。

そういう意味では、コントローラーで遊ぶよりキーボードとマウスで操作した方がいいかも。

一方、ゲームを「演出」に全振りしているため、ゲームとしてのテンポはやや悪いかもしれません。歩く速度は遅いし、探索でフラグを立てないと進まないし。USBを差すのに何回も裏返したりとか、表現の意図はわかるんだけどw

その辺りの不便さを表現として受け入れられて、物語が楽しみたい人にはおすすめできるかもって感じです。

あと日本語翻訳もおおむね良好、音楽も良かったです。

 

 

ということで以下、クリア後前提のネタバレありで書きます。

不満点とかも書くのでご了承を。

 

 

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