<野球漫画特集号>


さて、ー昨日はちばてつや先生にお会いできたことを記念し、
”ちば家4兄弟”に迫りたいと思います。


そのためには、まず、
少年漫画の最も好かれるジャンルである野球漫画特集したいと思います。
球漫画ほど様々な漫画があり、歴史のあるジャンルもないので、
今日は特に長く書きます。


”千葉4兄弟”と呼ばれる、
長男ちばてつや、三男ちばあきお、末弟で漫画原作者の七三 太朗先生。
特にちばあきお・七三 太朗両先生は、野球漫画に名を残しております。


さてさて、毎度ながら前置きが長くなりますが、ご承知お気を。


少年漫画で、今も昔もこれからも最も人気のあるジャンルは野球漫画だと断言できると私は思います。


なぜそう断言できるのか?
今と昔とこれからの野球を振り返ってみましょう。


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なんといっても今年のプレーオフシーズンの1大ニュースは、松坂が60億円で大リーグ移籍ですね。
60億!すごすぎる!
高校野球、オリンピック、プロ、今年のベースボールクラッシック。
全てにおいてチームの主軸ピッチャーとして大活躍し、チームを栄光に導きました。
来年からヤンキース松井秀喜選手と直接対決することになり、イチロー選手の記録ともにさらに大リーグが楽しめそうです。



松坂投手

松井選手

イチロー選手


振り返ってみるとまさか日本にこんな時代が来るとは思いませんでした。
60年前の日本は、少数のプロ野球チームが発足したばかりでした。
しかしアメリカと戦争することになり、「アウト!」「セーフ!」のような英語は敵性語であると日本語に改められられました。そして野球も廃止になり、選手は招集されるようになりました。
ベーブ・ルースを三振に打ち取ったという巨人の澤村 榮治(さわむらえいじ)投手は戦地で過酷な手榴弾投げをやったことで肩を痛め、後に戦死されました。


戦後からは日本とアメリカで交流試合が行われることになりましたが、実力差もありマイナーリーグの選手と日本の選抜選手で戦っておりました。


戦前・戦後の日本にとって、大リーグは夢でした・・・・


それが今では・・・
日本人選手大リーグ移籍ラッシュ!大リーグで実力も認められました。
世界一を決めるワールドベースボールクラッシック(WBC)では世界優勝!

WBC優勝シーン


WBCは4年に1回ですが、アジア地域で毎年リーグ戦を行うことが構想として出てきました。


これからの野球は日本人もアメリカ人も韓国人もキューバ人も、グローバルに活動するのでしょうね。


以上、そういう歴史もあり、今現在、日本で野球ほど親しまれ、人気のあるスポーツはないと思います。
だからその人気とともに漫画もこれからも新しいストーリー、新しい画風、新しいトピックス(アイデア)で作品は世に出ると思います。


また、作者のカラーによってこれほどまでに異なるのも野球漫画だと思います。


さて、今までの漫画について触れてみたいと思います。


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昔の少年にとっての一番身近で楽しいスポーツは野球です。
放課後、友達で誘いっこして近所の行きつけの原っぱで野球をしたものです。子供の頃の私にとっての楽しい思い出です。小学生時代、男子で一番カッコイイのは、顔がいいのでもなく、勉強ができるのでもなく、野球ができる子供でした。男同士でも好かれましたし、女子からは憧れの視線で見られたものでした。子供の頃の僕は、野球の遊びに加えてもらえましたが、運動は全くの下手糞でクラスでビリでした。


私の上の世代もそのようで、子供の好きなものとして有名な標語に、
「巨人、大鵬、玉子焼き」という言葉がありました。
野球と言えば巨人!好きなお相撲さんと言えば大鵬!好きな食べ物は玉子焼き!
ということです。
巨人を9年間に渡る優勝。その打線を引っ張る、実力・人気を持つ打者を「ON砲」と呼ばれました。O=王選手。世界のホームラン王。今年のWBC監督でも名実共に「世界の王」になりました。現在、パ・リーグ屈指の実力ある球団、ソフトバンク・ホークス監督です。
N=長嶋選手。人気ある巨人で最も人気がある選手で、今も「ミスター巨人」略して「ミスター」と呼ばれております。現役時代の神話的なエピソードも多く、天皇陛下ご覧の試合で最終回逆転さよならホームランを打ったり、かといえば、試合に夢中になり、自分の子供(後の長嶋一茂です)を球場に置いて行った逸話もあります。巨人の監督として優勝もさせ、現在巨人の終身名誉監督です。



王・長嶋監督の握手シーンです


日本に漫画は数あれど、このお二人ほど実名で漫画作品に登場された人物もいないと思います。野球人気。ON人気は昔も今もすごいです。


その巨人人気もあってか、大爆発・大人気漫画になったのが、「巨人の星」です。
http://d.hatena.ne.jp/tao8/20060822
父・一徹が天の星を目指し、「あそこが巨人の星だ。駆け抜けるのだ!飛雄馬よ!」というシーンはあまりにも有名です。


アニメのオープニングシーンとその曲も感動です。


♪思い〜込んだ〜ら 試練の〜道を〜 行くが〜 男の〜 ド根性〜


巨人の星」世代にはたまらないものがあるでしょう!
(私は再放送世代です。でも、しっかり暗記してるし^^;)
※補足させていただくと、主人公・星飛雄馬の声は、その頃まだ経験が浅かった古谷徹氏を大抜擢しました。今では機動戦士ガンダムアムロ・レイなど、多作で、ヒット作も多い、アニメ主役ものをさせたら日本1,2位の声優さんです。


大リーグボールという魔球、、大リーグ養成ギプス、ライバル対決、特訓、そして父子の因縁、という要素を出した「巨人の星」は、まさに現実を度外視した梶原一騎川崎のぼる先生だからこそ創りえた作品でしょう。


原作者が同じの「あしたのジョー」はクロスカウンター、コークスクリューブローなど必殺技はありますが、作画のちばてつや先生は不現実な要素を廃し、ボクシング描写のリアリティさ、そしてスラム街・泪橋の描写、少年院の様子などボクシング以外の要素でありありと読者の心を打ったのではないのかと思います。


また、さらに昔の世代で人気漫画なのが、「背番号0」寺田ヒロオ先生です。
新漫画党・党首、トキワ荘の初期からの住人にして、少年向け爽やかスポーツ漫画をテーマに執筆活動された漫画家です。
寺田ヒロオ先生については、藤子不二雄A先生の作品「まんが道」に非常によく登場しております。「まんが道」を読むと、藤子不二雄A・F先生は、兄貴のように寺田ヒロオ先生を慕っていたのがわかります。


逆に歴史を戻します。
巨人の星」があまりにも大ブレークしすぎて、その後の作家は影響を受けまいと独自の作風で挑戦します。





「タッチ」
http://d.hatena.ne.jp/tao8/20061110
は懸命に努力する主人公です。しかし悲壮感や汗臭さを感じません。
爽やかというか、あえてあっさりと描いております。また、ヒロインが非常に魅力的です。
あだち充先生は、どの作品も女性描写がずば抜けてとても可愛らしいですが^^;


そして、、、、後日語ろうかと思っておりましたが、野球漫画でこの先生をふれないわけにはいきません。水島新司先生です。
古今東西甲子園・高校野球漫画の、だれもがうなずく代表作はこれしかないでしょう!
ドカベン」です。

古今東西、甲子園野球の代名詞!

明訓高校に入学した山田太郎。最初は柔道をやっていたが野球に転向することに。打者としての天性のスラッガーと、守備の要のキャッチャーのポジションにつき岩鬼など個性的なナインとともに甲子園優勝を目指すストーリーです。


奇想天外な魔球や、ラブコメなどの他の要素はほぼ除外し、人間臭ささと野球のリアリティさを追求した作品です。男の漫画です!週刊少年チャンピオンの看板漫画として長い人気を持っておりました。


その後、ドカベンの主要キャラクターがプロ野球選手として活躍する「プロ野球編」などあります。




水島新司先生は貸本屋時代からの長いキャリアを持っており、野球漫画を描かせたら名実共に第一人者です。女の子がプロ野球に入団し、ピッチャーになる「野球狂の歌」や、実在の選手が多数登場する「あぶさん」も魅力的な作品です。



そしてもう一人、野球に精魂かけた先生がいらっしゃいます。
それが、ちばあきお先生です!(前置きが本当に長くなってすみません)


ちばあきお先生の画風は、親しみやすい東京の下町を背景に、チームプレーをテーマとした等身大の主人公たちの野球漫画を描かれております。
「キャプテン」「プレーボール」が代表作です。

中学生野球を等身大に描いた心が温まる作品です

球漫画というと、「巨人の星」のように魔球を出したり、「タッチ」のようなありえないシチュエーションのめちゃんこ可愛い女の子を出したり、色々カラーを出すために試行錯誤しておりますが、この作品の持ち味は、全体野球です。東京の下町、どこにでもありそうな中学校・墨谷二中が舞台です。みんな泥んこになって熱心に練習する。
練習が終わっても、練習したくて、でも照明灯のある球場があるわけでもないので、橋の下が明るいからそこで素振りやキャッチボールの練習する。
そういうシーンが僕はこの漫画が一番好きです。
とにかく汗をかいて「みんなで頑張る」漫画です。
青春時代、みんなで汗をかくって素晴らしいですよ!
そう思える漫画です。
たまにはパソコンやゲームから離れ、外に出て歩いたり走ったりしましょう!そんな気にさせてくれますよ!^^;



ちばあきお先生は4兄弟の3番目で、ちばてつや先生の実弟です。まんが界広しと言えども、4兄弟で漫画家+漫画原作者というのは、私の知る限りちょっと聞いたことがないです。
ちばあきお先生は幼少から身体が悪く、糖分が取れないためすいかを独り占めしていたことから、ちばてつや先生は講演中、とても羨ましかった、ということをおっしゃっていらっしゃました。
ちばてつや先生の初期のアシスタントをこなされ、出版社の方から見出され漫画家デビュー。
また、後にちばてつや先生の作品「あしたのジョー」のラストがどうしても決まらず、アイデア出しに協力されたそうです。ちばてつや先生ご本人から伺いました。あの「あしたのジョー」が!
へ〜〜〜!!!となりました。


享年42歳。




まだ、あります!野球漫画の面白い作品が!
千葉4兄弟の末弟で、漫画原作者の七三 太朗
(なみ たろう、本名、千葉樹之(ちば しげゆき)先生です。


「4P田中くん」も有名ですが、その中でも特に私が好きな作品を紹介しましょう!

表面的にはクールでいながらもハートは熱血の、現代的甲子園野球漫画です

あらすじなどいきます。
主人公は高校受験をむかえた中学3年生。
野球推薦で甲子園で活躍したいと思っている。
しかし喧嘩っぱやく、口は乱暴で、どこの高校からも門前払いをくらう。しかし、主人公の隠れた才能と実力を認め、入学することができた。


入学してからは、ナインと折が合わず喧嘩ばっかりであったが、無言実行で真摯な姿勢で野球に取り組んでいた主人公に徐々に感化され、チームも強くなっていく。


そして、甲子園トーナメントが始まるのだった・・・



今までの甲子園野球漫画の新たなる境地を拓いたと思います。特に、主人公は茶髪でしょっちゅうフーセンガムして態度悪いが、才能ある上に隠れた科学理論的な努力をするというところに、現代版男の美学を感じました。
まさに現代的野球漫画だと思います。