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2016-09-29

和洋会など

和洋会2日目の土曜日。

新宿バスタからの高速バス山中湖三島由紀夫文学館に向かうために、正午過ぎくらいに古書会館をちらと覗く。注文していた、生田耕作訳「フランス愛書家たち」(奢灞都館)特装120限8000円、天井桟敷上演台本「奴婢訓」2700円はハズレ、唯一、東宝ミュージカルパンフ「パノラマ島奇譚」のみ当たる。20分くらい会場をザッと見て、映画リストを購入。

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大映1961映画リスト500円

これは配給する専属劇場なんかに渡す営業用のカタログだと思う。大映はほかの2冊、松竹日活東映新東宝もあったが、各500円はちょっと高い。ということで、参考用に大映のみ1冊購入。ちょうど、「からっ風野郎」が出ている。

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パンフ「パノラマ島奇譚」3240円

ちょっと高かったが、これは前から欲しかったもの。昭和32年7月に東宝ミュージカルとして宝塚劇場で上演されたもの。「パノラマ島奇譚」のアダプテーションといえば、石井輝男の映画と、丸尾末広などのコミックがあるが、これを舞台でやったというのはなかなか想像出来ない。どんな舞台、美術であったのだろうか。装置図スケッチみたいのは小さく入っているが、よくわからず。ただし、パンフに口絵のようなカラー図が入っていて、この図のキッチュさというかキャムプさというか、それが当時の造形を一部想像させるようなものであった。

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いや、これだけ見てもよくわからない。ウツボみたいな女は一体なんなのか、花弁の中心に女が咲いてる人面花に途中で切れてる女とか、なんだかよくわからないが、とにかくキッチュで悪趣味だったろなというのはわかった。ちなみに、パンフを読むと、往時の連鎖劇のように途中で「特殊映画」上映があったようである。舞台上に上映して特殊な効果を狙ったのか。円谷英二が監督である。

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25日の日曜日は、三島由紀夫文学館にて(というか正確には会場は隣の徳富蘇峰館ホール)90分ほどの講演をさせていただいた。緊張したが、いざはじまるとスムーズに話すことが出来たのはよかった。

で、高速バスは渋滞、4時間ほどかけて新宿に戻ってから電車で帰って帰宅してみると、先日ネットオークションで落札した本が届いていた。

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矢野龍渓「訂正 浮城物語」(近事画法社)明治39年1月17日初版カバ付2600円

独歩がやっていた近事画法社からの再刊版で、多色刷木版口絵が1枚入っている。カバー付で安いと入れてしまったものだ。抜かれると思っていたのだが…。

2016-09-17

書生猫オリーブ添え

趣味展である。いつもよりはちょっとだけ早く、9時半過ぎくらいいは会場到着。小雨が降っていたので、行列は会場内硝子戸を入ったところにとぐろを巻くように蛇行。受け付け開始。地下の会場入口に蟠踞するようにごった返す。そして10時、会場。

一斉に皆が向かうのは扶桑書房の棚である。今日は目録に雑誌とりわけ中央公論と改造の昭和に入ってからのものが充実と記してあり、雑誌狙いの人も多かったであろう。ポツポツとカゴに本を入れつつ、開始90分くらいでもう棚はスカスカ気味。スゴイ売れ行きだなと思う。さてこちらは、会場の他の棚をまわる。11時半頃、帳場に本を預けて友人らと共に昼食に出る。丸香の冷やしかけうどんである。

今日は、温度はといえば暑いというわけではなく。むしろ涼しいくらいであるのだが、なんというか蒸す。雨は止んでいた。

で、その後茶店で一服したりしてから再度会場へ。14時半過ぎ。そろそろお昼で帰った人々のリバース分があるのではないかと。またじっくりと棚を見て行き、更にまた買う物を吟味し、お会計。1万円以下に抑えたかったが、久々にかなりの買い物をしてしまい、今後の金欠に眩暈がするような気分でもあるが仕方が無い。で、買ったのは以下。

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夏目漱石吾輩は猫である 上編」(大倉書店)明治41年2月15日13版カバ欠痛汚1500円

夏目漱石「行人」(大倉書店)大正3年1月7日初版痛凾2500円

猫は中編と下編がなかなか入手出来ないなあ。しかし「行人」は背下部に痛み(鼠でも囓ったか)があるとはいえ、初版凾付は嬉しい収穫。

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春のやおぼろ「一読三嘆 当世書生気質」(晩青堂)明治19年8月合本別製本痛3000円

小山内薫一里塚」(三星堂)大正7年6月15日初版凾1000円

当世書生気質」は逡巡したが、まあ近代最初の小説本でもあり、高いけれどもいったれと買ってしまった。無論有名であるが、最初はお江戸の草双紙のような分冊形式で出たものが、合本で後に改めて出ている。今回のはそれらの後版の一種であろう。冒頭に多色刷口絵が入っているバージョン。まだ国産クロスがない時代だし、輸入クロスで製本されたものである。それから、「一里塚」も初版を所持しているけれども、これは版権が植松書院から三星堂になってからの重版で、この凾は初めて見た。初版よりも若干薄く、製本材質も布ではなくクロス。

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三島由紀夫仮面の告白」(河出書房)昭和25年2月10日再版カバ帯欠400円

秋朱之介「書物游記」(書肆ひやね)昭和63年9月8日凾帯限定800部毛筆署名入1500円

書物游記」も最後まで逡巡。これは読んでおきたいと思っていたが、普通古書で3〜4000円するもので、ケチケチと安くないかと思っていたのである。ボロボロの川上眉山の本を戻してこれをセレクト。お次は雑誌。

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「大衆文芸」大正15年7月汚痛300円

「大衆文芸」大正15年10月汚痛300円

「改造」昭和2年9月印800円

「文芸世紀」昭和19年7月800円

「新世間」昭和22年4月創刊号800円

雑誌でかなり散財。「大衆文芸」は「鏡地獄」など乱歩初出。まだ二十一日会のころの。「改造」は芥川龍之介追悼号。「文芸世紀」は三島由紀夫掲載。「新世間」は谷崎潤一郎顧問という雑誌で、一応買っておくかと。「改造」は、芥川追悼号というだけなら買わなかったけれども、表紙に捺されているスタンプが興味深く購入。「大阪朝日新聞文庫2.8.25」「編輯局長室」のスタンプもさることながら、「改訂版」「創作欄」「削除」の文字。

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確かに中里介山「夢殿」が削除されているのであるが、このスタンプは版元デフォの仕様なのであろうか。いや。大阪朝日が捺したのであろうか。

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オリーブ昭和57年6月3日創刊号300円

JAM昭和54年10月?号200円

こちらはサブカル方面。「JAM」は後の「HEAVEN」の前身。翌80年から「HEAVEN」になる。エロ雑誌ではあるが、申し訳程度に巻頭巻末にグラビアがあるだけで、中身は滅茶苦茶で面白い。

今朝はほとんど眠れなかったので、もうくったくた。かなりの散財をしてしまったし、もう今月はいろいろと気をつけないといけない。仕事も進まず。これで改めて気合いを入れてやっていくほかない。

2016-09-09

漁りの楽しみ

本日は紙魚展初日。

会場に到着したのは17時くらいだったか。1時間、みてまわる。ザッと見ていったのだが、けっこう黒っぽい棚があちこちにあって面白い。明治の小冊子ものがドサリとあった棚など、ついついとあれこれと漁り倒してじっくりみてしまう。無論、価格も数百円。安いし、漁っていて、これは…というちょっと面白いものがあると嬉しい。図書館にはあるだろうし、日本の古本屋なんかで探せば入手も出来るのではあろうが、何ら脈絡無くその場でその資料と対面し、これは面白い資料なんではないか、とちょっと抱えてみる、あとでウンウン逡巡しながら棚に戻す、とか、こういう時のあまり何も考えずに漁って楽しいというのが古書展の本当の醍醐味なのであろう。窓展や趣味展ともまたちょっと違う楽しみである。

で、今日買ったのは以下。

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谷崎潤一郎「恐怖時代」(金星堂)大正14年10月10日13版カバ痛2000円

亀谷正司他「快弁自在 演説鍛練法」(国華堂)大正2年2月13日カバー500円

アイゼンステイン「印刷革命」(みすず書房)カバ帯2000円

キーワード事典編集部編「バロック的」(洋泉社)520円

小林信彦「1960年代日記」(ちくま文庫)カバ200円

長谷川伸「石瓦混淆」(中公文庫)カバ100円

谷崎のは目録注文品。金星堂名作叢書の上製後版である。これのカバーは、かつて見たことがあったが、まさか入手できるとは。痛みもあるけれども嬉しい。なかなかカバーが残存していないようで、他の作家のでもまず見ない印象。

それから「印刷革命」はちょうど安く欲しかったのでこれも嬉しい。値札には3000円を消して2000円とあった。演説の本は、500円は高かったかもしれないが、まあいいかと。カバーも綺麗で、中身はいろいろなシチュエーションを装幀した演説の例文のようなものが羅列してあるのが面白い。これが明治20年代後半あたりの本だったら、また意味が違ってくるのであるが。200〜300円くらいの面白そうな明治期の小冊子ものも幾つか抱えていたのだが、戻してしまった。当たっているとは思わず、谷崎のも含めてけっこうな出費になってしまったが仕方ない。

2016-09-06

明治学生気質

明治学生といっても、明大学生ではなく明治時代の学生という意味である。

先日届いた扶桑書房目録で注文した本が届いた。実はちょうどネットオークションでも同じような全く違う本を落札したのが届いたばかりであり、共通項が明治学生なのである。まずは昨日今日で落手した古書

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新公論社編「男女学生気質」(新公論社)明治39年3月29日印4500円

小川未明小作人の死」(春陽堂:新興文芸叢書5)大正7年2月20日再版凾欠印3500円

これが扶桑書房目録で購入したもの。未明の方は短編集。「男女学生気質」は、雑誌「新公論」に掲載された諸家の文章を集めたもので、逍遙、残花、露伴、天外、円了、宙外らが書いている。現代学生の長所と短所ということで、男女学生の堕落ぶりを嘆いたものから、当今学生の流行やらなにやら等々、興味津々の記事。ザッとみたところ、まあ昨今の学生に言われているようなことと同じような感じかなあと、百年前と似たようなところはズッと似たような感じなのかと思ったことであった。

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晴川編「学生の半面 猛虎一声」(博報堂出版部)明治34年6月5日再版印500円

中島万次郎「オイケンの哲学」(アカギ叢書)大正3年6月28日6版書込262円

こちらはネットオークションで落札したもの。これの「猛虎一声」というやつである。これはどうもよくわからないのだが、「晴川」という「同人」がまとめた文集。まあタイトルにもあらわれているように、こちらはバリバリ硬派の連中が、美文調で現代の堕落学生を一喝するというような慷慨調の文章ばかりで、「所謂る文学の衰運を賀す」なんてのが冒頭の文章のタイトル。

よく見ると、「猛虎一声」も「男女学生気質」も判型は同じ文庫判、厚さもほぼ同じで、現代学生に対するアプローチをしているということで似たような本ではある。しかも、実は両方とも入手経路は違うのに同じく「寺内蔵書」の蔵書印があり、状態もかなりよい。奇しくも同じ所有者に似たような時代の似たような本を同時に別経路で入手となったわけである。しかしとりわけ「男女学生気質」は面白そうだ。