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2016-12-04

角砂糖と棒

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今日は神保町に出て扶桑事務所に立ち寄った後、地下鉄恵比寿に向かった。

恵比寿にあるLIBRAIRIE6にて催される山尾悠子歌集「角砂糖の日」新装版出版記念・挿画「合田佐和子/まりの・るうにい/山下陽子」展のオープニング・パーティーに参加するためである。お誘い頂いた某氏に感謝。19時少し前に伺ったが、歌人や幻想系の評論家やら作家やら、大盛況でごった返していた。2時間近く続いただろうか、お開きとなり散開。歌集は、純白の貼凾入りで大変シックな装幀。その場で購入。著者をはじめ、パーティーに来場されていたまりの・るうにい、山下陽子の両氏にもそれぞれサインをいれていただいた。これで完本。

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帰宅後、先日ネットオークションで落札した本が届いていた。

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新声社同人「三十棒」(新声社)明治34年5月14日3版表紙少破2160円

これ、前々から欲しかった本。初版なら見るのだが、初版だと高いので重版を安く欲しかったのである。まあ許容範囲の価格で入手出来た(窓展前の落札だが、今現在はこの値段でもキツイ)。しかし実際手にして見ると、初版より紙質が悪いというか、初版は柄のある薄紙が扉の前に入っていたような気がする。しかしこれは何より中身が読みたかったので、安ければいい。しかし「三十棒」って何のことだろう。著者は、同人となっているが、いまザッとネット検索してみると新声社の佐藤儀助と高須梅渓の共著の由。改めて本書巻末の広告頁のそれを見てみると、「橘香と梅渓の著」との「万朝報」の記事が引用してあった。この本とか「文壇風聞記」なんかを講談社文芸文庫に入れて欲しいものだが、まあ無理だろうなあ。

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昨日のエントリーに、掘り出した三島由紀夫旧蔵印ありの雑誌について書いたが、作家旧蔵の印がある雑誌ということであれば、安部公房のものも持っている。

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これは、確か数年前か閉店間際に駆け込んだ趣味展の会場で掘り出したものだったと思う。300円だったか。ひょいと見て、あれ、これ安部公房の印ではないかと買ったもの。安部公房の印は実は見たことがあって知っていたのである。

2016-12-03

三島由紀夫の旧蔵書を掘り出した

窓展である。

窓展の目録が来たときに、少しだけ余裕があったものだからそしてまた珍しいものが目録に出ていたというのもあるが、いったれと普段なら注文しないような少しお高めのものを注文してしまっていた。財布の管理が出来ない病気である。そして会期が迫ってきて、当たってしまったらけっこうキツイなあと実感し全部はずれてくれないものかしらといい気なことを考えるのであった。

で、当日。9時50分頃に会場到着。どうせ駆け込んでも仕方が無いと友人と一緒に喫煙所で一服してからゆっくり10時に会場入り。あきつ棚をザッと見た後は、会場の他の棚を見て回った。そして注文品は、2点注文したうち、小山六之助「活地獄」傷6000円はハズレだったが、もう1点は当たりであった(逆に「活地獄」の方が欲しかったのだが)。帳場に取り置きしてもらって、食事に出る。食事して一服してから、また会場にまわって、サッと見てから会計と思っていた。

が、ある書店をあれこれ見ていたら、妙なものを見つけた。表紙に「HROK」のスタンプがおしてある「婦人公論」である。この「HROK」は平岡を意味しており、三島由紀夫の旧蔵書におしてあるものだ。三島は保存用の自著や掲載誌、自作に対する批評が掲載された雑誌などは、表紙にこのスタンプもしくはマジックでHROKを書き、ものによっては「要保存」のスタンプをおす。蔵書印にこだわるとかどういうことは一切ない、合理主義的な扱い方をしているのである(ただ、デビュー前の中高生時代の三島は蔵書印を持っていたり、こういうの凝っていたようだ)。

で、手許の「婦人公論」もそうなのである。おおお、何故これがここにという驚きをおさえつつ目次をチェックしてみると、歌舞伎地獄変」についての劇評が出ているようで、目次の該当部分には赤マジックで点があり、何頁かの書き込みがある。おそらく三島の手になるものであろう。これはほかにもあるかもしれない、と、必死にその棚を徹底的に見て行ったのだが、HROKはこの1冊だけであった。ともあれ、100円である。自分のことながらこれはまたすごい掘り出しをしたなと思ったことであった。

で、ふと見ると、昼前にはなかった本がある。三島の「狩と獲物」初版本の帯付である。4000円。目を疑うような安さだ。10年以上前、ワタクシは1万5千円くらいで帯欠を買って喜んだものである。いくら戦後初版本が値崩れ甚だしいとはいえ、これはこれでみっけものだ。しかし、4千円はキツイということで、抱えていた本をあれこれと吟味して戻す。それでもなあというところだけ残したのだが、結局はかなりの散財になってしまった。あれこれと入り用の年末、こんなに買ってしまって大丈夫なのか。先日の扶桑書房目録注文品の払い込みもまだだし、己の馬鹿さ加減を嘆くのであった。

ということで、会場で買ったもの。まずは単行本。

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熊田宗次郎編「洋行奇談 赤毛布」(文禄堂書店)明治35年3月1日8版背少痛500円

平山蘆江・伊藤みはる「理想的さしむかひ」(武田博盛堂)大正2年5月13日初版カバ傷9000円

序文、本文では「はらのやはるを」名義になっている「赤毛布」だが、これは後に「新赤毛布」というのを出す長田秋濤のことなのだろうか。それから、「理想的さしむかひ」は、平山蘆江初期の著作。国会図書館にも所蔵は無いが、伊藤みはるとの共著第2弾のようだ。伊藤みはるというのは、都新聞時代の仲良しで、この本はまあ男女の仲をモチーフにした粋コントのようなものを収めているもの。調べていないが、おそらく都新聞に書いたものだろう。カットも多数入っている。序文は伊原青々園で、口絵は井川洗崖。これがもうひとつの注文品である。

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佐藤春夫「病める薔薇」(天祐社)大正7年11月28日初版凾欠500円

三島由紀夫「狩と獲物」(要書房)昭和26年6月15日初版帯少汚4000円

「病める薔薇」も初版凾欠本と重版凾付と持ってはいるが、500円というのは安いよ。好きな本でもあり購入。それから、「狩と獲物」については上記の通り。帯付なんか高嶺の花だったのに、こういうものが場には転がっているのだからなあ。

それから雑誌、冊子類。

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「文芸倶楽部」明治30年1月口絵木版欠500円

「風俗科学」昭和29年11月200円

「森脇メモ」1号、昭和29年4月21日少痛500円

「批評」15号300円

「文芸倶楽部」は鏡花「誓の巻」や柳浪「非国民」ほか掲載。「批評」は三島由紀夫らでやっていた雑誌で、この15号入手にてコンプリート。三島のかかわった復刊1号から19号まで揃った。そして「森脇メモ」は御存知森脇将光によるもの。これを見つけた時はちょっと嬉しかった。

で、三島旧蔵の「婦人公論」である。

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婦人公論昭和29年2月号印100円

表紙には「贈呈」と「HROK」印がある。三島旧蔵書の流出といっても、以前から何度か市場にでているのは知っていた。雑誌は知らないが、例えば三島の蔵書印(これとは違う、おそらく中高時代に使っていただろうもの)がある「体操詩集」とか「郡虎彦全集」とか、三島署名の入った「水葬物語」だとか…持ち出されたものなのか何らかの理由で流出したものなのかは判然としないが、ともかくある。といっても、HROK印の雑誌は今回初なのか、なあ。こういうの、三島旧蔵とかいって目録に出たらやはり1万円とかするのだろうか。貧乏書生には今回のような100円のものがせいぜいだ。

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で、よく見てみると、なんと「地獄変」劇評掲載頁は切り取られていた。三島が切り取ったのだろうか。もしかして、山中湖三島文学館に所蔵されていたりして。そういえば、前にここでも紹介したと思うが、安部公房蔵書印のある雑誌も掘り出したことがあったなあ。手を真っ黒にしながら雑書の山をかき分けかき分け、掘り出した原石のようなものか。掘り返した時間も、汚れた手も、一気に報われ、凱歌を上げたい、なんとも言えない気分になる。100円でそういった気分になれるのは、おそらく今のところ古書しかない。なにがあるか分からない面白さ、札束でポンと購入するのではない古書展の醍醐味こそ、今回のような掘り出しものにはあるわけだ。

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それから、この窓展以前に近所古本屋で買ったものと扶桑書房の目録で買ったもの。

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野溝七生子「山梔」(大正15年9月15日再版凾欠3500円

ジョン・ダワー「増補版 敗戦を抱きしめて」(岩波書店)上下揃カバ帯1300円

野溝が扶桑書房の目録注文品。ダワーは、今更であるが、戦後史をやるにはやはり必読だし、前々から増補版を安く欲しかった。2冊で1冊の定価半額ならばと購入したものである。

2016-11-26

11月の雪の翌日の古書

タイトルに「の」がつきすぎである。それはそうと、11月に東京に雪が降るのは観測史上初だという。観測は明治の初期あたりからやっているのであろうか。さいわい、降った雪はすぐにとけた。といっても、今日も昨日ほどでは無いが寒い。本当は、遊古会から和洋会とまわろうと思っていたのだが、案の定、ダラダラしていたら遅れてしまい、五反田に到着したのが17時過ぎ。

ザッと見て、あまり買う物はなかったがそれでも数冊。

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新田宇一朗「新聞の広告」(同文館)昭和30年7月15日200円

寺田透「道の思想」(創文社)カバ帯400円

馬込文士村ガイドブック(改訂版)」(大田区立郷土博物館)200円

日本文学研究資料叢書坪内逍遙二葉亭四迷」(有精堂)凾300円

「新聞の広告」は、「新聞の知識シリーズ」の1冊。代理店とのからみ、歴史といったものと、新聞広告の作り方などの章から構成されている。「道の思想」は「叢書身体の思想」の1冊で、「型」とか既に買って持っているけれど、「道」もお安く欲しかったもの。「馬込文士村ガイドブック」は96年の改訂版。大田区馬込在住であった三島由紀夫は、やはり完全無視されているのだよなあ。お役所が作ったものだから、犯罪者(三島事件)は完全無視ということか。といって、実際馬込駅前に行って文士村案内マップとか見ると、ちゃんと三島家は掲載されているのである。しかしそんなこといったら、白秋だって姦通罪で収監経験があるのになあ。

それから、ここのところ古書で入手した本など。

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夏目漱石倫敦塔・幻影の盾・薤露行」(千章館)大正大正4年9月20日3版1100円

小川佐和子「映画の胎動」(人文書院)カバ帯2499円

三橋修「〈コンチクショウ〉考」(日本エディタースクール出版部)カバ帯500円

濱本高明「紙魚から見た人々」(演劇出版社出版事業部)350円

漱石のは、千章館唯一の漱石本。ネットオークションで落札。なぜ千章館がというのでちょっと気になっていた。そもそも外装はありそうなのだが、どうも元々ないようである。千章館的華麗な本ではなく極めてシンプルな装幀。「映画の胎動」は今年出たばかりで定価は6800円。古書でも5千円前後でたまに出るのだが、何故かマケプレで安くなっていたので購入。うしろふたつは仕事先の商店街にある古本屋に立ち寄って買ったもの。

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松本徹「三島由紀夫の時代」(水声社

ご恵送いただきました。感謝です。三島と11人の作家芸術家たちの交流と関係性を論じているものです(ワタクシもこれから読みます)。

三島由紀夫の時代

三島由紀夫の時代

2016-11-25

国際三島由紀夫シンポジウム論集、発売

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ワタクシも昨年の実行委員を務めさせていただきました国際三島由紀夫シンポジウム2015がとうとう書籍化、刊行されました。編集委員として関わらせていただきましたが、それぞれの方の発表を単に活字化したというのではなく、関連論文や対談なども改めて盛り込んで、ただの記録ではなく書籍版という形になったのではないかと思います。

国際三島由紀夫シンポジウム実行委員編「混沌と抗戦—三島由紀夫と日本、そして世界」(水声社

ワタクシは「三人の写真家三島由紀夫」として、細江英公、矢頭保、篠山紀信らに撮影された三島ポートレートが、順を追って三島と写真の意味するところが変化していき、没後史において意図を離れて種々の意味を纏いつつも流通していったことについて論じました。

よろしくお願いいたします。