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2016-06-24

梅雨の窓

今日は昼過ぎには雨、夕方やんで夜また雨といったような予報。蒸す、しかし気温自体はそれほど高くはないので、電車でも喫茶店でも冷房ガンガンたかれると寒い、といったような塩梅。梅雨の時期である。そんな中の窓展。注文品はない。9時40分古書会館到着。50分過ぎ、古書会館が開いてズラズラと会場入口まで列ぶ。10時、開場。

あきつの棚はどうなのか、前回フィーバーだったかわほり堂はどうなのか等々の思惑を抱きつつ、まずはあきつの棚へ向かう。あるようなないような。前田曙山、武田仰天子村上浪六あたりの口絵欠小説本がここでも数冊見受けられたが、500円ならば買っても1000円では食指は動かない。今回良かったのは村山槐多の本だが、これはあきつ棚ではなく他の書店の棚から買った物であった。正午ちょっと前まで見て、帳場に本を預けてから友人と昼食をとりにいき(丸香のうどん)。茶店で一服してからまたじっくり見て、会計。最終的に購入したものは以下。

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篠原嶺葉「心の誓」(東盛堂書店)大正6年1月10日初凾欠口絵欠貸本印700円

     同後編大正6年4月15日初凾欠口絵欠貸本印700円

なぜか篠原嶺葉は紅葉の弟ではなかったかという意味不明な思い込みをしていて、買っておこうと買ってしまった(無論、弟ではない。弟子。弟子の記述から「子」が脱落しているのをそのまま弟と思い込んでしまったらしい)。もうよくわからない家庭小説は買うの控えようと思っていたのだが。

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黒岩涙香「精力主義」(隆文館)明治45年6月20日3版裸美200円

村山槐多「槐多の歌へる其後」(アルス)大正10年4月18日初版凾欠1500円

田山花袋「椿」(忠誠堂)大正15年11月15日再版裸300円

甲賀三郎「姿なき怪盗」(新潮社)昭和10年6月20日初版凾欠少痛800円

「精力主義」と書いてエネルギズムとルビがある。涙香の批評やエッセイなど寄稿文だったり講演だったりを集めて一冊にしたもの。藤村操論なども収録。この本、寺内蔵書の蔵書印があった。最近出回っている例の口である。花袋のやつは、「紅葉山人訪問記」が入っているので、ちょいと読みたくて購入。「姿なき怪盗」は御存知新潮社の新作探偵小説全集の一冊。岩田専太郎の挿絵が数葉入っている。

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大町桂月「青年時代」(大倉書店)明治41年6月1日初カバ欠美300円

城北隠士「日米開戦夢物語」(中央出版社)大正10年6月7日初裸線引700円

越智治雄明治大正の劇文学」(塙書房)初凾300円

「青年時代」は啓蒙書みたいなものだが、明治40年代の青年と性欲とか青年と読書とかの言説として面白いかと。それから、「日米開戦夢物語」は今で言う架空戦記ものといえようが、猪瀬直樹がなんかの著作で引用して使っていた記憶があり、あれ、この本はと買ってみたもの。

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会計後、一休みしてから早稲田へ向かう。早稲田演博の図書室でちょいと必要な文献をコピーし、ついでに気になっていた「あゝ新宿——スペクタクルとしての都市」展を見てくる。蜷川幸雄演出した「思い出の日本一万年」の記録映像が開場で流されていて、これはちょっと他では見られないと思う。といっても断片、かなり画質の悪いモノクロ映像だが、元はオープンリールのビデオとかだったのだろうか。

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先日新刊書店で買ったもの。

日本語文体論 (岩波現代文庫)

日本語文体論 (岩波現代文庫)

2016-06-19

五反田展と夏日の土曜

暑い。まだ6月も半ばというのに30度越えの気温である。これが7月半ばならわかるのだが、暑い。昨日は、五反田展に行って来た。

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まずは1階を漁っていく。「キネマ旬報」「映画芸術」が山ほどある。映芸もけっこう集めた筈だが、あれこれ持っていたかなあというのを2冊ほど。するとそこに月の輪書林さんが声をかけてくれた。月の輪さんは、今回の目録に「人魚通信」創刊号5000円を掲載していたのである。「人魚通信」とは、約10年ほど前に、神保町古書バーである「人魚の嘆き」に集っていた古書仲間をメンバーとして創刊した古書趣味雑誌。雇われ編集は何を隠そう不肖ワタクシで、創刊号は200部、2号は500部で2号で休刊という3号雑誌にすらならなかったもの。しかし3名の注文者があって、無事欲しい方へ収まったとの由。目録では「麒麟」なんかと列んでいておおーと思ったことであった。

2階へ。ザーッと回って、今日はもう神保町でやっているぐろりや会には間に合わないなとじっくり見る。赤いドリルやおどりば文庫や澤口書店など、1冊200円300円祭かというほどに、安くて面白そうな資料や本がけっこう目についた。そうしてまた必要でもない本が増えていくのである。結局購入したのは以下。

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堀内新泉「故郷を出つるの記」(成功雑誌社)明治43年7月20日再版裏表紙欠200円

尾崎紅葉紅葉集2巻」(春陽堂明治42年10月25日再版凾欠300円

田中智学国体の権化 明治天皇」(国柱産業株式会社書籍部)大正10年6月1日14版200円

巖谷小波「我が五十年」(久山社:復刻叢書)凾欠200円

「変態心理」大正14年10月号200円

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朝日ソノラマ」(昭和35年1月)200円

映画芸術」(昭和43年1月号、44年9月号)各200円

映芸は1階で買ったもの。他は2階である。「我が五十年」は「これ復刻のように綺麗だな」と思ったら復刻であった。元々は大正9年5月に東亜堂から出た本だが、「復刻叢書 日本の児童文学理論」というシリーズで復刻されたらしい。こういう復刻本があるのは全く知らなかったけれども、硯友社まわりのことなども記してあって前から安く欲しかった。「紅葉集」はこの2巻を以てコンプリートだが、凾欠。凾付で揃えているので、また探さないと。堀内新泉の立志小説は、まあ安いので参考用に。読むことはないだろうなあ。表紙にドドンと貼られた図書館ラベルは、長野県神科村自彊図書館のもの。神科村は現在消滅してしまった村だが、当時、この本を読んで村を出た若い村人などいたのであろうか。「故郷を出つる記」読んで上京し、失敗して村に戻ってきて改めて湖処子「帰省」なんかを読む、とか。

朝日ソノラマ」は実は既に所持しているが、思わず。ソノシートが6枚綴じ込まれた雑誌で、スパイラル綴じになっているので、そのままレコードプレーヤーにかけられる。この中に各界著名人1960年の抱負を述べたソノシートがあり、それに三島由紀夫が入っているのである。「変態心理」はゼーゲル夫妻の批判記事が興味津々。ゼーゲル夫妻追っかけている人はいないのだろうか。智学の本は、これ国柱産業株式会社というのは国柱会の運営でこういう株式会社組織にしていたのだなあ、と知る。

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そして土曜日。ぐろりや会には間に合わず。田村書店の外ワゴンを覗いて、扶桑書房に立ち寄り、その後久々に日本特価書籍まで行って古書を購入。夜帰宅してみると、マケプレやらヤフオクやらでの本が届いていた。

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イェシュケ他編「初期観念論と初期ロマン主義」(昭和堂)カバ1300円

稲垣志代「夫 稲垣足穂」(芸術生活社)昭和46年10月4日初カバ300円

富島美子「女がうつる」(勁草書房)カバ帯840円

「游魚」2号375円

「游魚」3号574円

上から特価、田村、オク、マケプレという順。お勉強用。ポチポチ「夫 稲垣足穂」なんかを読んでみたが、しかし稲垣足穂の評伝書いている人っているのかしらん。関係者も次々と亡くなって、もう手を着けていないと間に合わないような気がする。

それから人に教えて貰って注文したのが雑誌「游魚」。この雑誌自体全く知らなかったのだけれども、なんといってもこの2号と3号は、松田修の私家版歌集「靠身文書」および「装飾古墳」を完全再録。これは、ということで購入。

游魚〈NO.3(2015)〉

游魚〈NO.3(2015)〉

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最近気になる本。

死刑執行人の日本史―歴史社会学からの接近 (青弓社ライブラリー)

死刑執行人の日本史―歴史社会学からの接近 (青弓社ライブラリー)

唐牛伝 敗者の戦後漂流

唐牛伝 敗者の戦後漂流

日本人にとって日記とは何か

日本人にとって日記とは何か

石川三四郎と日本アナーキズム

石川三四郎と日本アナーキズム

東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く

東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く

三島SM谷崎 (フィギュール彩)

三島SM谷崎 (フィギュール彩)

太宰治ブームの系譜 (未発選書 26)

太宰治ブームの系譜 (未発選書 26)

曾根崎艶話

曾根崎艶話

2016-06-17

刺青邂逅

先日、いつものように突然来た扶桑書房目録速報、じっくり見て注文したのは帰宅した午前0時過ぎであった。まあ、もうこの時間になってしまっていれば、よいところは売れてしまったであろうという諦観に浸りつつも目録の頁をめくっていった。

すると「新思潮」がある。明治43年のと44年のと。執筆者に谷崎とある。おお、しかも4000円と8000円。4000円の方は3号とある。おいおい、待てよこれは…まさかの「刺青」掲載号ではないか。うわー、もうこの時間では絶対売れてしまっているよな、しかし4000円って何なんだこの値段はとガックリときた。こんな値段では、よもやもう二度と出ることはないだろうし、といって、貧乏書生、今後6万とかそういう値段で出たとしてもとても手が出せない。今回が千載一遇であったのに、既に手遅れということか、とショックを噛みしめつつ、しかしまあこれも運であって仕方あるまいと、それでも百に一の可能性にかけて、ファクスで夜中に注文を入れたのであった。

で、届いた。

薄かったので、ほかに注文した紅葉の本のみか、まあ仕方ないよなあと開封してみると、なんと「新思潮」が。確かに水ムレ、痛み補修ありなのであるが、紛れもない「刺青」掲載号である。久々に古書で震えるような嬉しさである。やっぱり谷崎もののなかでも「刺青」初出はちょっと特別である。ましてや「中央公論」や「スバル」と違って、いわば同人誌であり、発行部数は不明ながら、商業誌に比べれば格段と部数も少ないであろうことは確実。これだよな、荷風食事しているカフェエに乗り込んでいって、メシ喰っている脇から先生読んで下さいと震えながら手渡したのは。この表紙のこの号である。それがいま、100年以上の時を経て、ようようワタクシの手中に収まったというわけである。

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「新思潮」3号(明治43年11月)痛補修4000円

尾崎紅葉「二人比丘尼色懺悔」(吉岡書店:新著百種1)明治22年4月1日少痛2500円

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2016-05-27

和洋会でてふてふ捕獲

和洋会古書展。初日。

閉場1時間前くらいに会場到着。ザッと見ていくものの、今日はいつもよりも黒っぽい本がある棚が多い印象。もうちょっと時間かけて見ていればもっとあったかもしれないし、予算の関係でなくなく手放して買わなかった本もある。で、注文品であるが、楠瀬日年「候べく候」(梅田書房)限定300部署名入4000円はハズレたが、ほか2点は当たってしまって、いいのだが、かなり使って仕舞って金欠。

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菊池幽芳「己が罪 前編」(春陽堂明治44年12月27日33版

    「己が罪 中編」(春陽堂)大正元年8月20日30版

    「己が罪 後編」(春陽堂明治45年4月10日26版3冊揃5000円

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注文品のひとつ。「己が罪」装幀富岡永洗。口絵木版は、前編が永洗、中編が阪田耕雪、後編が武内桂舟。重版揃いで口絵も欠け無くまあまあの状態であればよい買い物かなと。もうだいたい流行り物であったところの小説は入手したか。「不如帰」だの「金色夜叉」だの「己が罪」だのこの辺の家庭小説近辺は元版で持っておきたかった。

それから、もうひとつの注文品。

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谷崎潤一郎春琴抄」(創元社)昭和8年12月初版帙欠背痛3500円

文部省音楽取調掛編纂「小学唱歌集 初編」(大日本図書)明治22年10月4版少痛500円

春琴抄」は、目録に背が切れてると書いてあったがこれまた酷い状態。「春琴抄」は背の製本テープというか製本が弱く安い場合はまあそれなりであることの明示でもあるわけだ。だから仕方ないといえば仕方ないけれども、背の製本テープを剥がした感じで見返しのみで背表紙が繋がっているという(しかもよくみると、背欠で背を墨で黒く塗っているだけ)これで3500円はないでしょ、この状態じゃせいぜい……と思ったが、しかし、ワタクシ的には価値ある本であった。というのも、あとでよくよく確認すると「初版」、「春琴抄」は手許に2冊あるが初めて入手。「何を言ってるの」と思った人はそのうち詳しく説明するのでしばし待たれよ。まあ、そういうこともあって、今回は納得がいかないが納得する。

それから、なんといっても今日ちょっとうれしかったのが「小学唱歌」である。「君が代」「てふてふ」「蛍」などが入っているが、初版は明治14年11月24日。「新体詩抄」が翌15年の発行だから、歌詞であるとはいえ、日本の近代詩歌の在り方を考える時の重要な資料であるともいえる。初版ではないが、まさか元版かと思ったらそうだったので、500円とちょっと高かったが購入。

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塚本邦雄「驟雨修辞学」(大和書房)初版凾300円

塚本邦雄定型幻視論」(人文書院再版凾300円

井上順孝神道入門」(平凡社新書)カバ帯150円

「ポリタイア」17号特集・回想の三島由紀夫300円

塚本も、やはりこれくらいだとよい。「驟雨修辞学」が、「カデンツァ」時代の未発表歌集で安く欲しかった。「定型幻視論」は既に持っているが、安かったのでこれは線引読書用。

しかし、思わぬ出費になってしまった。趣味展でもないのに万越えしてしまって、今月はかなりの金欠。