今年の大河ドラマ『べらぼう』の第一話で、ナレーションの綾瀬はるか演じるキツネが劇中に登場してカメラに向かって語りかけ、スマートフォンの地図アプリを使って視聴者に距離感を説明するというくだりに私は、物凄く感動した。素晴らしすぎると思った。町田康『ギケイキ』スタイルだと思った。私は、現代語訳ってこういうことだよねと思う。 この本『改訂 雨月物語 現代語訳付き』にも現代語訳が付いている。1776年に出版された当時の原文は、難しくて読み進められなかったけれども、現代語訳は超面白く読めた。各話の冒頭では簡単なあらすじが紹介されている。そのあらすじの文章が、けっこう今っぽい文章というか、ちょっとおかしみの…