【文徒】2015年(平成27)8月17日(第3巻154号・通巻599号)

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1)【記事】佐野研二郎の謝罪と弁明
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】佐野研二郎の謝罪と弁明

佐野研二郎が「MR_DESIGN」のホームページに「今回の事態について」を発表した。トーシバッグのデザインに関してスタッフが第三者のデザインをトレースしたことが判明し、スタッフ教育が不十分であったと総括している。しかし、トートバッグのプレゼントに応募したユーザーは佐野の手がけたデザインだと思って応募していたのであり、管理者としての謝罪にとどまらず、もう一歩踏み込んだ謝罪をして欲しかった。
「今回のトートバッグの企画では、まず私の方で、ビーチやトラベルという方向性で夏を連想させる複数のコンセプトを打ちたてました。次に、そのコンセプトに従って各デザイナーにデザインや素材を作成してもらい、私の指示に基づいてラフデザインを含めて、約60個のデザインをレイアウトする作業を行ってもらいました。
その一連の過程においてスタッフの者から特に報告がなかったこともあり、私としては第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていませんでした。しかし、その後ご指摘を受け、社内で改めて事実関係を調査した結果、デザインの一部に関して第三者のデザインをトレースしていたことが判明いたしました」
あくまでも問題があったのはトートバッグのデザインであって、他に指摘された件に関しては次のように総括している。ただし、今後「権利を主張される方から問い合わせを受けた」場合はどうなるかは不明だ。
「また、過去の作品につきましても、問題があるというインターネット上の指摘がございますが、その制作過程において、法的・道徳的に何ら問題となる点は確認されておらず、また権利を主張される方から問い合わせを受けたという事実もございません」
五輪エンブレムに関してはMR_DESIGNの仕事ではなく、あくまで個人の仕事だと主張している。佐野が事務所のスタッフにアイデアを求め、それをもとに佐野がデザインしたものではないと主張している。
東京オリンピックパラリンピックのエンブレムはMR_DESIGNで応募したものではなく、私が個人で応募したものです。今回の案件とは制作過程を含めて全く異なるものであり、デザインを共同で制作してくれたスタッフもおりません」
http://www.mr-design.jp/
松沢呉一は自らのブログで次のように書いている。
「…『制作業務をサポートする複数のデザイナー』というのは、自分のデザイン事務所に属するデザイナー、つまり部下のことのようです。部下のせいかよ。
部下であれば、トップが日頃どういう考えに基づいてデザインをしているのかを見ているはず。トップがアバウトだから下もアバウト。トップが他者の権利を踏みにじってなんとも思わない厚顔な人だからこうなったのだろうと思わざるを得ません」
松沢からすれば佐野は「税金を投下し、国際的な行事であるオリンピックに関わらせてはいけない人物」ということになる。
http://www.targma.jp/vivanonlife/2015/08/post7338/
東京五輪の公式エンブレム問題で佐野研二郎を擁護していた森本千絵にも盗作疑惑が浮上している。森本は佐野の部下であったことのあるデザイナーだ。
http://matome.naver.jp/odai/2143946202763522301
佐野の疑惑も後を絶たない。例えば日刊ゲンダイの「Tシャツも完全コピペか 佐野研二郎氏を襲った“新たな疑惑”」。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162771/1
ところで、ブログ「趙秋瑾の『窓際OLのコラム』」は次のように書いている。
「しかし、東京五輪ロゴのデザイナーをめぐる最大の疑惑は別のところにある。
 デザイナーの佐野研二郎氏は、実は、国立競技場でミソをつけたスポーツ振興センター(JSC)の職員の親戚なのだ。この職員は河野一郎JSC理事長の右手と言われる。そして河野理事長が森喜朗組織委会長にベッタリの子分なのは周知のこと。そのルートを伝って何らかの影響力が行使されたと疑われても仕方のない構造ではないか。
真実はロゴの盗作疑惑も、デザイナーの親戚疑惑も、いずれも偶然の一致なのかもしれない。しかし、これが胡散臭く見えるのは、新国立競技場建設を初めあらゆるところで「政治力と影響力」を発揮する組織委員会会長の森喜朗氏が『疑惑のデパート』にしか見えないからだ」
ちなみに経済産業省商務情報政策局 情報経済課の佐野究一郎課長は兄だそうだ。
http://zhao.jugem.jp/?eid=904&PHPSESSID=650afe331d638e5533465c1e96225123
五輪公式エンブレムの審査過程でベルギーの劇場ロゴの存在が知られていれば佐野のデザインが選ばれることはなかったのではないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎日経に「フィナンシャルタイムズ」を売却したイギリスの教育・出版事業大手のピアソンは「エコノミスト」の株式50%を4億6900万ポンド(約910億円)でイタリアの投資会社エクソールなどに売却することになった。日経によれば「エクソールは、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズの主要株主として知られ、近年はイタリアの新聞やメディア企業への投資を積極化している」そうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC12H01_S5A810C1FF1000/

◎「第3回 白泉社少女まんが新人大賞」の応募締め切りは10月1日だが、ニコニコ静画白泉社少女まんがの人気作品を公開している。
http://seiga.nicovideo.jp/comic/17291
http://www.haku-shojomanga.com/

◎「LINEニュース」が動画に対応した。
http://official-blog.line.me/ja/archives/39100902.html

◎「メンズエッグ」元読者モデルの「まりだぬき」こと中村麻里奈振り込め詐欺容疑で逮捕された。逮捕された際に、覚醒剤も所持していたため覚醒剤所持の現行犯でも逮捕された。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00299986.html

アサツーディ・ケイの2015年1〜6月期の連結決算は、売上高が前年同期比0.4 %増の1751億円、経常利益が前年同期比3割増の51億円。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2015/08/98f1655d6bd55f07c26fa61ddf409178.pdf
日経は次のように書いている。
「業種別ではゲームやアプリなどの情報通信や飲料・嗜好品、自動車からの広告出稿が増えた。広告制作の内製化を進めて外注費を抑えるなど、原価管理を徹底して利益率が改善した」
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLZO9052187013082015DTA000
アサツーディ・ケイの7月度単体売上高。雑誌が前期比113.2%と好調である。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2015/08/release_Billing201507_J1.pdf

◎安倍首相が今年も下関の焼き肉店「アリラン」で食事。
http://www.asahi.com/articles/ASH8F63PTH8FULFA01G.html
コリアンタウンと呼ばれるグリーンモールにある店だ。プロゴルファー広田悟の実家らしい。
http://takkann.com/archives/177

講談社とエキサイトは、共同で展開中の週刊コミック誌サービス「週刊Dモーニング」で、「モーニング」の過去・現在・未来を凝縮した3つの特別企画を実施。8月19日まで配信する「2015年新人増刊夏号」、8月20日まで配信する講談社の全漫画誌から集めた読み切りを中心とした傑作26作品をまとめた「オール講談社読み切り号」、8月15日から各号一週間の限定公開をしている「ちばてつや賞受賞作傑作選 vol.1〜5」がそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000728.000001719.html

◎ぴあ中部では、名古屋の音楽情報サイト「しゃちほこロック」とコラボしたライブを9月13日(日)に池下CLUB UPSETで開催する。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201508130004

◎メイクサイトの「GODMake.」が調査したところによれば、ユーザーがメイクの参考にする第一位は「雑誌」となった。
http://dietclub.jp/news/article/2015/08/13/11055.html
こうした信頼性があるうちに雑誌はデジタルシフトを図るべきである。

◎これが「週刊実話」だ!8月20・27日合併号で「もしも安倍首相があなたの親分だったら従えますか? ヤクザが採点! "安倍親分"の通信簿」を掲載している。
http://tocana.jp/2015/08/post_7069_entry.html

◎「週刊東洋経済」の中原美絵子記者は「テレビ局が夏に社屋イベントを開催するワケ」で次のように書いている。
「テレビ局の夏イベントは、『放送番組の宣伝』、『街のにぎわいの創出』『テレビ広告収入拡大のための顧客(スポンサー)サービス』『イベント事業の収益拡大』という、複合的な要素を持っている。どの部分に力を入れるかは各局さまざまだが、各局の取り組みを見ればわかるように、基本的にはテレビ局の『ブランディング』、番組の『ファン作り』の意味合いが強い」
http://toyokeizai.net/articles/-/80218

◎古井戸が36年ぶりに復活。
https://gunosy.com/articles/Rfj0I

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3)【深夜の誌人語録】

約束するということは約束を守るということなのだから、守れない約束はしてはならない。