大相撲〜八百長

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20110203ddm003050077000c.html
相撲もまたけっこう凄いことなっているみたいだな。携帯電話のメール履歴から露見したというのが、なんとも2011年的というか、きわめて今日的なかんじである。メールのやりとりで八百長相撲がきまっていくというのが、その軽みも含めて今風だし、当事者たちに一切罪悪感がなさ気なのが面白いと思った。

【2010年3月17日】
春日錦恵那司「俺は誰に借りているかな?貸しは光龍山本山だけだよね。豊(豊桜)さんと天狼(若天狼)と白(白乃波)だよね。海鵬は消えてるかな?」
春日錦恵那司「とりあえず借りていて無理なら星で返す事になっているよ!白とは当たらないかもしれないね。明日の海鵬光龍は消しておいた方がいいよね」
恵那司千代白鵬「相撲の内容はどんな感じですか」
【3月22日】
恵那司千代白鵬「今日はまっすぐ思いっきりあたっていきます。よろしくお願いします」
【3月25日】
春日錦清瀬海「ありがとう。助かりました!では、ゆっくりと休んでね!」
【4月9日】
恵那司千代白鵬「5万もないのかな」
千代白鵬恵那司「4万しか持ってないっす」
【4月11日】
春日錦清瀬海「△△の手前の橋を渡った所で待っているよ!」
【4月16日】
春日錦清瀬海「お疲れさま!この前はありがとう。光龍に1つ貸しているので、あと20で利権を譲りますがどうですか?」
【5月7日】
恵那司春日錦「霜(霜鳳)は厳しいみたいです〜誰か十両上位とあたったら光龍にこけさせて移行させないといけないですね〜」
【5月10日】
清瀬海春日錦「立ち合いは強く当たって流れでお願いします」
春日錦清瀬海「了解致しました!!では流れで少しは踏ん張るよ」
【5月11日】
恵那司春日錦「昨日は良かったですね。今日はどうなってるんですか?」
春日錦恵那司「今日はコケだよ。昨日お願いされたからとりあえずコケます」
【5月12日】
恵那司春日錦「今日の内容は物言い付けようがないですね〜。南海(旭南海)さんが貸してるのを豊関(豊桜)に移行してもらいたいみたいで、豊関とあたったらコケてもらいたいみたいです。そして新たに南海、天狼(若天狼)、錦関(春日錦)と3人で回したいみたいです。明日、若天狼に勝って〇、南海とあたったら負ける●感じです〜どうでしょうか?」
春日錦恵那司「それでも良いよ。宜しくお願いします」
恵那司春日錦「相手にはたきはなしで、突っ張るだけ突っ張らして胸で受け止めて最終的には右をさして寄り切りかすくい投げ辺りがベストだと思いますよ〜」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110204-OYT1T00174.htm

なんともあっけらかんで、よくある業務メール的である。結局のところ八百長が日常茶飯であるということが、このメールのやりとりだけでも証明されていると思う。
そうなると相撲協会がいっているような、八百長問題は過去には例がなく、今回初めて起きたうんぬんは、あまりにも虚偽的な感じさえする。
絶対昔からあったんだろうなと思う。国技だのなんのといっても、結局のところ年6回15日の興行なのである。おまけに狭い封鎖的な社会の中でのことなのだから。
正直、今回の八百長は氷山の一角だと思う。例えばだけど、今回の件は力士同士のゲリラ的な八百長なのではと思う部分もある。本当はもっと組織的な八百長がいくらでもあるのではないかと。例えば相撲部屋ごとに、あるいは親方同士の間での八百長談合みたいなものとか。もっとはっきりいえば、部屋同士、あるいは協会全体でのマッチメークみたいなもことがあるのではないかということだ。
プロレスなんかでは普通に行われているマッチメークが、同じ興行=ショーである相撲で行われていても、別になんの違和感もないではないかと思う。優秀なメッチメーカーがいれば、それだけ本場所も盛り上がるだろうし。
そしてここからが本論、というわけでもないけど、プロレスだってそうだが、たとえマッチメークによるやらせだの、シナリオだのがあったにしても、鍛え上げられた肉体と技術が備わっていなければ、そのシナリオ通りの熱戦を演じきることなどできないのである。秀逸な脚本を名優が演じることによって芝居が完成度を増すようにという意味である。
人を感動させる興行=ショーとしての格闘技には、つねにそうした演出部分があるのではないかと思う。ガチンコなセメント勝負が概して緊迫感はあっても、見た目ちっとも面白くないのと同じである。だいたいにおいて総合格闘技のあのマウントだとかが面白いかね、私はそう思わない。私がワクワクして見たプロレスはみんな完璧な演出があった。でもそれだからこそ、ストーリー性があって面白かったのだと思う。
今回いろいろネットでググっては、いくつかの記事を読んだ。それらによると横綱貴乃花は、一切八百長に関与せず、ガチンコ勝負を貫いたという。
八百長 - Wikipedia
その信憑性については、クエッションだが、そうだとすると貴乃花は相撲業界におけるUWF的存在、あるいは前田明みたいなタイプだったのかななどとも思ったりもする。
今後、この問題がどうなっていくか。とりあえず直近の本場所は中止になるようだが、いっそのこと相撲協会の分裂とか、そういう道もあるのではないかと思ったりもする。貴乃花親方協会離脱、新団体結成。腐りきった相撲協会を棄て、新生相撲道の確立、ガチンコ真剣勝負を目指す、なんていう言葉が新聞紙面に報道されたりとか。
な〜んてね。

中東騒乱

なにか中東がとんでもないことになってきている。
「民主化」ドミノに中東緊張 失業など課題共通: 日本経済新聞
チュニジアに端を発した騒乱は、まずベン=アリー政権を崩壊させた。現在は中東で大国の一つにあげられるエジプトで連日反政府デモが繰り広げられ、ムバラク政権はその存続すらが危ぶまれている。
エジプト革命 (2011年) - Wikipedia
さらにそのムーブメントはイエメン、ヨルダンなどにも飛び火し、リビア、シリア、サウジアラビアなどにも予兆があるという。
この情勢をみていると、20数年前の東欧で次々と共産党一党独裁体制の社会主義国家が崩れていった東欧革命の連鎖を類推してみたりもする。
東欧革命 - Wikipedia
白雪姫と七人の小坊主達 中東ドミノの行方
当時の熱気と同様のものを今中東情勢に感じる。当時はテレビを中心にしたネットワークを通じて運動が伝播していった。現在それは双方向性に優れた情報発信が可能なインターネット通じて広がっていく。
現在、起きている中東での民衆蜂起の流れには、東欧革命のときと大きな共通点がいくらでもあげられる。一つは情報が伝播していくこと。どの国も長期にわたって独裁政権が続いている。経済的には失政が続いていて、市民生活が厳しい状況が続いている。失業は増大し、貧富の差も大きく、厳然たる格差社会が固定化し蔓延化してもいる。
市民の不満は大きく膨れ上がっており、それが一気に濁流のごとく流れ出そうとしている。ソ連支配下にあった東欧の共産政権はわずか1年の間に崩壊していった。今、20年の歳月が流れて、中東でもそれに近い現実が起きている。逆にいえば、かの地でこうしたムーブメントが起きるためには、20年の歳月が必要だったということなのだろう。市民革命がおきるためには、民意の成熟とか、もろもろが必要なのかもしれない。
まだまだ予断を許さない部分もある。エジプトもどうなるかどうか。ムバラクが破れかぶれで民衆に銃を向ける可能性もある。多くの血が流れるやもしれん。リビアやシリアはどうか、スーダンは。王族によって支配されるサウジはどうか。
中東での動乱は、石油という利権に直結しているため、世界経済に波及する部分も大きいだろう。さらにはアラブと対峙しているイスラエルの動き。市民の蜂起という民意の成熟とは逆行する部分で、イスラム過激派、原理主義者がイニシアチブを握ろうと、また民衆のエートスルサンチマンを収斂していく可能性も否定できない。
思うことは一つ、無血革命として推移していけばいいと。でもたぶんそうはならないだろう。中東での独裁国家市民社会にとって変わるためには、おそらく多くの血が流れる可能性が高い。フリー アラブ。ただただそう思うだけである。
しかし現代ではインターネットを通じて、情報はミニマムな部分を含めて瞬時に世界中に流れていく。中東でこうした事変が起きている以上、もう一つの文化圏においてもこのムーブメントが波及する可能性もでてくる。
そう、アジアでのことだ。北朝鮮ミャンマー、そして巨大国家、中国。どの国も長期独裁政権が続いている。社会主義を標榜する国家でありながら、貧富の差が増大している。近い将来にチャイナ フリーという叫びが、地球上の至る所から発信される時期もやってくるのかもしれない。