古い友達と、本と。

tori8102007-05-11

読了。
荻原魚雷古本暮らし』(晶文社
実に、実に幸福な時間でした。
ありがとう、魚雷さん。


エッセイの、最後の一行、もしくは数行に、
思い入れがあるんじゃないかな、と思った。
なんども、笑ったし、ため息をついた。
そしてその一行が、どこにも行かない、
あきらめのような一行であることが多い。
逡巡まるなげ、煙草を一服、みたいな。
読んでいて、ほっとする。


「お金と時間」という文章で書かれている、
お金と時間と、どっちを節約するかについて、
はぁはぁと読んだ。僕が外食してしまうのも、
「食べたい」と思ったときは餓死寸前、みたいな、
そういう生理を持ち合わせているからで、
お金を節約しようと食材を買ってきても、
料理していては間に合わないのである。
時間を節約タイプ?


先日書いた、中田英寿に対する焦り(?)みたいな部分が、
この本を読んでいると、癒される。魚雷さんよりも、
ななつやっつ下なので、「あと7年あるな」なぞと思ってしまう。
しかし、アルバイト週四日って優雅だよなぁ。
僕、六日ですよ。もっと本屋に行きたいですよ。


「第三部」(実際はローマ数字の3)の文章が、
とりわけ笑えた。生活に関するエッセイみたいの。
料理のこととか、生理整頓のこととか、歩くこととか。


『古本暮らし』を読んでいて、読みたくなった本。
小島政二郎眼中の人 (岩波文庫)』(岩波文庫*1
鮎川信夫一人のオフィス―単独者の思想 (1968年)』(思潮社*2
色川武大うらおもて人生録 (新潮文庫)』(新潮文庫*3
関川夏央山口文憲東京的日常 (ちくま文庫)』(ちくま文庫*4


p.183-184に荒川洋治の「行間です」というエッセイが引用されている。
(『詩論のバリエーション』(學藝書林)所収)
それは荒川洋治の、若者に対するいささかきびしい言葉であった。
読みながら、自分が叱られたような気持ちになって、
でもなんというか、嬉しくもあった。


実際はそんなことも無いのだろうが、僕は、
両親から甘やかされて育てられたように感じていて、
あんまり叱られた記憶が無い。幼少のころは別だが、
いい年になってからは、放っておかれているようで、
たまに寂しいと思ったりする。(これがもう、甘えだな)
で、怒られるのは苦手だが、叱られるのはちょっと嬉しいのだ。
かわいがってもらってるんじゃないか、と錯覚する。


これを父親が読むことを想像したら、しかし、
「おいおい、俺はちゃんとお前を叱ってきたぞ」
と、訂正を迫られそうだ。確かに、そう言われると、
叱られた、叱られたんだけど、なんというか、
身にしみないというか、なんだ、無いものねだり?
うーむ。


ついつい、言葉を重ねてしまうね。
面白かったんです。


あ、そう、もうひとつ、
挟まってた「晶文社の読書案内」にはなんと、
「『古本暮らし』の読者のために」と書き添えてある!
専用!


気になる新刊(既刊もあるデヨ)。
梶本博司『デザインサーカス』(ラトルズ)
レーモンクノー、Raymond Queneau、朝比奈弘治『文体練習』(朝日出版社
荒木経惟写真への旅 (光文社文庫)』(光文社文庫
内田樹平川克美東京ファイティングキッズ (朝日文庫 う 15-1)』(朝日文庫
笠智衆小津安二郎先生の思い出 (朝日文庫 り 2-2)』(朝日文庫
谷川俊太郎長谷川宏魂のみなもとへ―詩と哲学のデュオ (朝日文庫 た 46-1)』(朝日文庫
新版 京都音楽空間―音に出会える店案内』(青幻舎)
熊木裕高『吠えない犬』(PLACE M)
熊木裕高『晴天』(蒼穹舎)
歌謡曲だよ、人生は 完全ガイド』(ウルトラ・ヴァイヴ
エドガー・アラン・ポー西崎憲エドガー・アラン・ポー短篇集 (ちくま文庫)』(ちくま文庫


内田樹平川克美とは小学校の同級生だという。
『東京ファイティングキッズ』、文庫になって初めてパラパラしたようだ。
へー。知らなかったよ。ちょっと面白そうよ。


そして同級生といえば、連れがいつのまにか購入していた、
松浦弥太郎本業失格 (集英社文庫)』(集英社文庫)を、
これまたパラパラしていたら発覚した驚愕の同級生関係。
ヌマ伯父さんこと沼田元氣(Genqui)と松浦弥太郎が!?


『文体練習』本家のほうを、初めて手にした。
パラパラ。6まで読んだ。思ったより、面白い。
でもこれ、コミック版よりも、翻訳に拠るところが、
大きいんだろな。

*1:p.38「眼中の人」で紹介。

*2:p.71「精神力の限界」で紹介。

*3:p.107「成長するってこと」で紹介。

*4:p.169「年金未納」で紹介。