始末の極意

参院選の前哨戦となる東京都議選で、安倍晋三首相が「アベノミクス」の効果をアピールしました。


http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013060801001533.html

首相、都議選街頭演説をスタート 「金融緩和で家計潤す」

 安倍晋三首相は8日午後、東京都議選(14日告示、23日投開票)に向けた遊説を始めた。墨田区で街頭演説し、政権の経済政策「アベノミクス」について「大胆な金融緩和、財政政策を前に進め、皆さんの家計が潤う経済を取り戻すことを約束したい」と訴えた。昨年末の政権交代後初の本格的な国政選挙となる参院選を視野に、各党党首も午後から全国各地で街頭演説などを行う。

 首相は都議選を参院選の「前哨戦」と位置づけ、国政選挙並みの態勢で首都決戦に臨む。演説で「都政と国がタッグを組み、日本を取り戻す戦いだ」と述べた。

 8日は6カ所、9日には8カ所で街頭演説を行う予定だ。


が、これに各方面からッコミが入っています。


朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0608/TKY201306080212.html

「年収150万増やす」 首相演説、成長戦略と矛盾?

 安倍晋三首相は8日、東京都内で街頭演説し、「私たちは10年間で平均年収を150万円増やす」と訴えた。だが、首相が5日に公表した成長戦略第3弾で増額を約束したのは、「1人あたりの国民総所得(GNI)」。年収とは異なる。

 この日は、首相が「準国政選挙」と意気込む都議選に向けた初遊説で、1日に6カ所を回った。最初の2カ所では「所得」との表現で増額を約束したが、後半4カ所は「平均年収」「収入」「年収」を150万円増やすと変わった。

 首相周辺は「演説だから分かりやすく説明したのだろうが、修正する必要がある」。首相が増額を約束した「1人あたりGNI」は企業のもうけが含まれ、家庭の年収とは別物で、企業がもうけをため込めば給料は上がらないことになるためだ。


東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013061102000106.html

首相「誤解」発言1日で修正  「10年で150万円増」GNIを平均年収と演説

 安倍晋三首相は八日の都内での街頭演説で、国の豊かさを測る指標の一つとして用いる国民総所得(GNI)を、国民の年収と混同して発言し、翌九日に修正した。菅義偉官房長官は十日の記者会見で「分かりやすく説明しようとした」と釈明したが、国民が誤解しかねない表現だった。
 首相は五日に発表した成長戦略第三弾で、一人当たりのGNIを「十年後には現在の水準から百五十万円以上増やす」と宣言した。GNIは国民や日本企業が一年間に国内外で得た所得を指す。企業の所得が含まれるため、個人の所得を示す指標とは別物だ。
 それなのに首相は八日、都議選の自民党候補を応援する街頭演説で、一人当たりのGNIについてきちんと説明しないまま「十年間で百五十万円、収入が増える」と発言。別の場所でも「十年間で平均年収を百五十万円増やすと約束する」「成長戦略を進めていけば、間違いなく年収が百五十万円増える」と繰り返した。
 首相は、九日に一部報道などで表現の変化について指摘を受けると、同日の街頭演説では成長戦略の発表時と同じ表現に修正した。
 街頭演説に先だって出演した九日のNHK番組では、GNIについて「ちょっと分かりにくいが、これが増えていかなければ国民の収入が増えていかないのは当然だ」と八日の表現に若干の補足を加えた。


赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-11/2013061102_02_1.html

首相が「国民年収150万円増」 官房長官 「分かりやすく説明」 市田氏 「幻想ふりまいてる」

 安倍晋三首相が東京都議選の応援演説で、「10年間で国民の平均年収を150万円増やす」と実際の成長戦略と異なる説明を繰り返して批判されていることについて、菅義偉官房長官は10日の記者会見で「首相は分かりやすく説明しようとしたんだろう」と釈明しました。

 政府の成長戦略で「150万円以上」増やすとしているのは1人当たりの国民総所得(GNI)です。GNIには企業の海外でのもうけも含まれるため、仮にGNIが増えても国民の所得が増えるとは限りません。小泉内閣(2001年4月発足)の5年間では1人当たりのGNIは18万円増えましたが、1人当たりの賃金は16万円減っています。企業が国内での人件費を抑えて利益を確保し海外でもうければ、国民の所得は減ってもGNIが増えることはありえるのです。

 街頭で首相は、「年収」「平均年収」「1年間の年収」「みなさんの所得」と、「国民の総所得」以外の言葉にいいかえコロコロ説明を変えましたが、どれも間違いです。首相の演説はGNIを「わかりやすく説明」するどころか、ごまかしです。

 日本共産党市田忠義書記局長は10日の記者会見で、首相の“GNI150万円増”発言について、「国民総所得には企業が海外でつくり出した付加価値も含まれる」と述べ、日本国民と日本経済に責任をもたない多国籍企業の利益を優先するカラクリだと指摘。「まるで国民の収入が150万円増えるかのような幻想とうそを振りまくことは許されない」と批判しました。


まぁ、アベシンには富裕層以外の人間なんて見えてないでしょうから、企業がますます人件費を抑制して利益を確保するであろうこと(まさかトリクルダウンなんていう妄想を信じている人はもういないよね)が、「皆さんの家系が潤う」という表現になるんでしょう。この人がいう「皆さん」ってのは、大企業の経営者だけですからね。誤解のなきよう。



んで、民主党からもツッコミが入っています。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130612/k10015259741000.html

海江田氏 可処分所得増やし健全な消費に

民主党の海江田代表は東京都内で街頭演説し、「働く人の可処分所得を増やし、健全な消費にまわしていくことが大事だ」と述べ、夏の参議院選挙に向けて、働く人の所得を増やす政策を訴えていく考えを示しました。


この中で海江田代表は、安倍政権の経済政策について、「国民は、かば焼きの臭いだけかがされているが、おそらくかば焼きは出てこない。『安倍さん』という居酒屋は、『臭いをかいだだけでも、お代を頂戴します』というもので、物価上昇分は、国民が負担しなければならない」と述べました。
そのうえで、海江田氏は「働く人たち一人一人の可処分所得を増やし、健全な消費にまわしていくことが大事であり、持続的な消費の拡大で、景気回復のサイクルに入らなければならない」と述べ、夏の参議院選挙に向けて、働く人の所得を増やす政策を訴えていく考えを示しました。
また、民主党の歴代の代表経験者も演説し、このうち、野田前総理大臣は「今、もてはやされているアベノミクスの『3本の矢』は、的をきちんと狙っておらず、的外れだ」と述べました。
さらに、菅元総理大臣は「安倍政権の、原発の輸出を経済成長の柱にしようなどという考えは、日本を誤るだけでなく、世界を誤った方向に向けていくものだ」と述べました。

海江田さん、そりゃ落語だよ。


始末の極意 - Wikipedia


落語にはケチ噺というジャンルがありますが、マクラとしてよく使われるのが「ケチと鰻屋」という小ネタ。

鰻屋の近くに住む男が、蒲焼きの匂いをおかずにしてご飯を食べていました。
それを知った鰻屋が、月末に「お代をいただきに参りました」と集金に訪れます。
もちろん男は「鰻なんか注文していない」と突っぱねますが、鰻屋は「あんたはうちの鰻の匂いでご飯を食べているそうな。なら匂いの嗅ぎ賃をいただきましょう」と食い下がります。
男は「わかった」と金を出しますが、お金を地面に落としてちゃりん、ちゃりんと音をたてます。
「こっちは匂いだけで我慢してるんだから、そっちもお金の音だけで満足しておくんだね」


海江田さん、絶対この話を念頭に置いてしゃべってると思います。
まぁアベノミクスは、お金の音だけでは済まされませんけどね。


あと、「鰻の匂いだけ嗅がされる」というと、『あしたのジョー』でジョーが減量に苦しむエピソード(ジョーの限界を超えた減量をやめさせるため、丹下段平が焼き鳥や鰻やさんまなどいい匂いのするものを大量に買ってきて、ジムの中で焼いて「ジョー、食え!」と迫る)を思い出しますが、このブログで金竜飛のことを書くのはもう13回目なので、いい加減にしろという声が聞こえてきそうです。

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