売れっ子茂木、勝間、池上… 「出し過ぎ」批判に反省した人

http://www.j-cast.com/2010/09/05074641.html?p=all

この店長は、ブックファーストの埼玉・川越店の遠藤晋さん。情報サイト「一個人」のブログ「心に残った本」で2010年8月12日、遠藤さんは、売れっ子の本が大量に出回る「書店バブル」が起きていると明かした。
遠藤さんは、脳科学者の茂木健一郎さん、経済評論家の勝間和代さんに続いて、キャスターの池上彰さんのバブルが続いていると指摘。書店バブルでは、本の作りが雑になって内容が薄くなったり、次第に人生論、精神論、さらに対談ものへと迷走したりするとした。その結果、本の質が落ち、著者まで蝕んでいくと言うのだ。

私は、記事に出ている人達の本には興味を感じず、読んだことがないので、「本の質が落ち、著者まで蝕んでいく」状態になっているのか、よくわかりませんが、こういった傾向は今に始まったことではなく、昔からあって、一発当たったからといって第2弾、第3弾と著作が出るにしたがって質が下がるというのは、よくあることではないかと思います。それだけに、読者側としては注意が必要でしょう。
紙の書籍から電子書籍へ、という流れの中で、紙の書籍が売れず、数少ない「売れる」著者に依存してしまう、粗製濫造になりがちになる、という傾向が生じるのは、無理からぬと感じられるものがあります。新たなビジネスモデルを早期に確立しないとまずいだろう、という気がします。

2010年09月05日のツイート

検察の不調の原因は? 検察は法執行機関の要として構造的、組織的な犯罪摘発のコーディネーターになるべき

http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2010071900010.html
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2010071900010.html?page=2

現状の問題点について、かなり率直に語られていて、参考になりますね。

「特捜検察が仕事をするための基盤というか、検事がものを見る『足場』が細っているのではないか。ものごとを的確に判断する情報能力(インテリジェンス)が足りないということだ。もっと、情報を豊富にして、問題点を早く正確に見抜く能力を磨き、目の前にある事件の軽重を見極めることが必要ではないか」

という指摘は、今週金曜日に判決予定の、元厚労省局長の事件で報道されているような捜査経過を思い浮かべると示唆的です。
特に、

「検事の仕事は、それぞれの専門機関の情報を集め、その情報から世の中を見ていくのが基本。もっとそういう情報を生かせば、ものごとを幅広く考えられる検事になる。そういう観点で捜査していると、特捜検察の独自捜査事件でも、一本の線で突っ走っるような事件の立て方はしなくなる。逆に、検察が、自分の捜査のため、寄せられた情報の隙間を探そうという雰囲気になると、他の機関も協力しなくなる」
「従来の検察は、国税当局が告発してくる脱税事件からいろいろな情報を得ていた。いまは、うちなんかも少し、偽計事案みたいな幅広の事件を摘発するから、周辺にある情報量がすごい。そういう、ちゃんとした機関に足場を置いて、きちっとした情報の分析から内偵捜査をやっていくべきなんだ。なんか大海から釣り上げるような話に次々に手をつけるようなことはすべきではないと思う」

という指摘は、今後の検察庁における捜査というものの在り方を考える上で、進むべき1つの方向性を示しているように思います。
従来は、検察庁内の特捜部等の独自捜査を行う機能が、他の法執行機関と競合し、ライバル視して、という傾向が強く見られた面がありますが、「法執行機関の要として構造的、組織的な犯罪摘発のコーディネーターになる」ということを真剣に考えないと、元々、人も設備も乏しいだけに、どんどん地盤沈下が進んでしまう危険性が高いのではないかと感じました。

<鯨肉窃盗>グリーンピースメンバーに有罪判決 青森地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100906-00000047-mai-soci

弁護側は「船員らの鯨肉横領を告発するための正当な行為」と無罪を主張したが、小川賢司裁判長は「公益目的で正当なものであったとしても調査活動が許容する限度を逸脱している」と退け、横領についても「不正な鯨肉と断定できない」と述べた。

この事件について、私が読んだネットのニュース記事の中では、

鯨肉窃盗:NGO調査活動、正当性どこまで 裁判、来月6日判決
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100830ddm012040004000c.html

がわかりやすく、その中では、

裁判で最大の焦点は、違法な手段で情報収集する行為が、公共の利益を図る目的であれば正当化(違法性の阻却)され、それがNGOの調査活動にも認められるかどうかだ。裁判所が報道機関などの取材行為によって損なわれる利益と社会が得られる利益を比較して判断するのは珍しくない。

内部告発を巡る裁判では、正当行為と認めて違法性を退ける判決も出始めている。取引先への不正請求の内部文書を複写して内部告発した従業員の行為について、東京地裁は「形式的には違法とされる可能性のある行為であるとしても、真実であることを示すために必要な行為。正当行為として違法性は阻却される」と判示(07年)している。
一方、2人の逮捕を巡っては、国連人権理事会の「恣意(しい)的拘禁に関する作業グループ」が09年9月、「国際人権規約に違反する」との意見書を採択し、日本政府に国際基準にかなう手続きを求めた。

とされていました。この点については、私も、以前、

グリーンピース幹部ら2人逮捕へ 窃盗容疑で青森県警
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080620#1213889812

とコメントしたことがあります。
法は守られなければならないものではありますが、大きな利益を守る、実現するために、小さな利益を犠牲にするということが、どうしても必要な場合もあり、そういった行為を一切禁圧すると、大きな利益を守り、実現することが困難になる、という場面は、社会が複雑になればなるほど、そういう社会だけに悪が巧妙に生き延びれば生き延びるほど、増えてくるものです。やはり、一定の範囲内では正当行為として違法性が阻却されることを認めて行く必要はあるでしょう。そういった分野での議論は、日本ではまだまだ活発とは言えない状況ですが、今後、行われる本件の上訴審や、また、本件を切っ掛けとして広がるであろう議論の中で、十分検討されなければならないということを強く感じます。