#1 回想 「愛を教えてくれて、ありがとう。」 その日僕は、誰よりも愛していた彼女に、振られたんだ。 あれはたしか、今より8年前。僕がまだ22歳の時の話だ。 そう。あの日はキャスターのお姉さんが、今晩は数年に1度の大雨だと騒いでいた。 忘れるはずもないね。 彼女はそんな日に、僕の家で突然そう告げてきたんだ。 僕は動揺してしまってね。情けない話、しばらく放心状態だったんだ。 そんな中彼女は、僕を少し気に掛けつつ、 既に被っていたフードをより深く被り、部屋から飛び出していった。 僕は動けない体をひっぱ叩いて、靴も履かずに追いかけたよ。 振られたからって、好きだったからね。 女々しいかな? でも、動…