ダグラス・マレー『大衆の狂気』を読み始めた。実に面白い本だと思う。自分自身のことを反省させられる。この本で扱われているのは「ゲイ」や「女性」といったアイデンティティを主張しすぎることの弊害だが、私自身は過去に自分自身が自閉症者であることにこだわったことを思い出した。自閉症者であるがゆえにマイノリティであり、したがってマジョリティと同じ特権を享受できないという意味で被害者である……こうした狭い見地から世界を見ていたことを反省させられる。なかなかいい本とめぐり会えたと思った。思い出すのは、私自身生きることがラクになるように数々の思想を渡り歩いたということだった。コスプレのように、外部にある思想に自…