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菊池寛賞

(読書)
きくちかんしょう

作家・編集者の菊池寛を記念して、文学・演劇・映画・新聞・放送・雑誌・出版および広く文化活動において創造的な業績をあげた個人・団体に年一回贈られる賞。

過去の受賞者(〜2004)

第1回 1953
■吉川英治
「新平家物語」
■水木洋子
シナリオ(「おかあさん」「ひめゆりの塔」「丘は花ざかり」など)
■俳優座演劇部研究所
その活動
■読売新聞社会部
原四郎氏を中心とする同社会部の暗黒面摘発活動
■扇谷正造
氏を中心とする週刊朝日編集部
■岩波書店
「写真文庫」

第2回 1954
■永田雅一
氏を中心とする日本映画の海外進出への活動
■中島健蔵
著作権確立に関する努力
■横山泰三
「プーサン」
■朝日新聞
第三頁の総合解説面
■石井桃子
児童文学活動
■岩田専太郎
挿絵及び「表紙」

第3回 1955
■木村伊兵衛
日本写真界につくした功績、特に外遊作品
■安部光恭
世界的ニュース「ビキニの灰」のスクープ
■徳川夢声
年毎に円熟を示している各方面に於ける活躍
■阿部真之助
自由且つ気骨ある政治評論家として、民衆の政治意識を高めた近年の活動
■石山 賢吉
雑誌経営並びに編集者として一貫かわらざる精進

第4回 1956
■荒垣秀雄
「天声人語」の執筆
■長谷川伸
多年の文学活動とその著作「日本捕虜志」
■花森安治と「暮しの手帖」編集部
「暮しの手帖」
■河竹繁俊
多年に渡る歌舞伎研究
■淡島千景
本年度に於ける演技の著しき進歩

第5回 1957
■正宗白鳥
いよいよ盛んなる批評活動
■水谷八重子
常に新生面を開く努力
■長谷川一夫
三十年に亙るたゆまざる精進
■毎日新聞社会部
「官僚にっぽん」其の他一連の連載記事
■大修館書店
諸橋大漢和辞典の出版への苦心
■依田孝喜
記録映画「マナスル」のカメラマンとしての功績

第6回 1958
■野村胡堂
庶民の英雄「銭形平次」を主題とし、二十七年に亘り四百二十数篇を創作した功績
■川端康成
世界ペン大会開催への努力と功績
■市川壽海
劇団の最長老として益々新鮮にして円熟せるその演技
■石川武美
婦人家庭雑誌の創造と確立のため、四十二年一貫して編集経営に従事し、戦後はその大型化の先鞭をつけた
■昭和女子大学近代文学研究室
その共同研究になる「近代文学研究叢書」五十四巻刊行への真摯なる態度

第7回 1959
■真山美保
新劇の大衆化、特に文化に恵まれぬ地方公演の成果
■NHKテレビ芸能局
「私の秘密」企画の苦心とその成功

第8回 1960
■菊田一夫
ロングランの新記録をつくった「がめつい奴」の脚本、演出の努力
■石井茂吉
写真植字機の発明並びに写植文字(通称石井文字)の筆者としての功績
■東芝日曜劇場
KRテレビ開局以来、一貫して正当演劇を放送し、テレビ番組の質的向上を目指す製作関係者及びスポンサー
■長谷川路可
伊太利チヴィタヴェッキア修道院に於ける日本二十六聖人殉教大壁画の完成

第9回 1961
■花柳章太郎
「京舞」「夢の女」等における演技と、多年にわたる演劇への功績
■岡田桑三
東京シネマの科学映画への貢献
■伊藤正徳
太平洋戦争外史ともいうべき一連の作品
■NHKテレビ「バス通り裏」
ホームドラマとして多くの家庭に自然に親しまれ、七百回を越えるそのスタッフ一同の努力
■三原脩
作戦統率の妙を得て、最下球団をして、よく優勝せしめた努力
■吉田幸三郎
有形無形文化財の保存、保護に尽力した多年の功績

第10回 1962
■子母澤寛
「逃げ水」「父子鷹」「おとこ鷹」等、幕末明治を時代背景にした一連の作品
■ドナルド・キーン
古典並びに現代日本文学の翻訳による海外への紹介
■伊藤朔
四十年にわたる舞台美術確立と後進育成の功績
■石原登
二十八年の長きにわたって独自の理論と実践により非行少年の補導に当り顕著な成果を挙げた

第11回 1963
■伊藤整
「日本文壇史」
■川口松太郎
三十年にわたり作者と同時に指導者として「新派」を育成しつづけた功績
■「点字毎日」
点字新聞の創始者として四十年間終始変わりない努力
■吉川弘文館と日本歴史学会
「人物叢書」百巻の刊行
■堀江謙一
単身ヨットを駆って世界最初の太平洋を横断した快挙

第12回 1964
■日本近代文学館の設立運動
高見順氏を中心として発足し、近く「近代文学館文庫」開館にまで漕ぎつけた努力と功績
■宝塚歌劇団の五十年
レヴュー、ショーの先駆として永年健全な娯楽を提供し続けた努力と、多くの女優を輩出した功績
■三宅周太郎
五十年間、劇評をつづけ、且つ文楽の保護など斯界に貢献した
■カナダ・エスキモーの報道
朝日新聞記者、本多勝一・藤本高嶺両氏が、未開民族の内に身を挺して、苦楽の生活を共にし、画期的な報道をした功績

第13回 1965
■亀井勝一郎
「日本人の精神史研究」をはじめ、長年にわたる日本人の魂の遍歴を考察した功績
■中国新聞の暴力団追放キャンペーン
地域社会に密着する地元紙として”暴力団追放”を宣言。徹底した報道活動を続けた勇気
■みすず書房の「現代史資料」
貴重な記録・資料を多年にわたり苦心の末収集・整理し刊行した意義
■大宅壮一
マスコミにおける評論活動生活五十年

第14回 1966
■司馬遼太郎
新鮮な史眼による小説「竜馬がゆく」(全五巻)「国盗り物語」(全四巻)の完結に対して
■石坂洋次郎
常に健全な常識に立ち、明快な作品を書きつづけた功績
■毎日新聞外信部
「燕山夜話」をいち早く紹介、批判し、中国文化大革命の核心を追求した鋭敏な感覚
■博物館・明治村
民間独自の力で、明治の文化財を保存再現につとめつつある努力

第15回 1967
■吉屋信子
半世紀にわたり読者と共に歩んだ衰えざる文学活動
■宮田輝「ふるさとの歌まつり」
全国各地の民俗芸能を紹介しつつ、茶の間に笑いと親しみを与えた軽妙なる司会と丹念なる構成企画
青蛙房
特殊文献、特に失われつつある江戸時代風俗研究書の長年にわたる良心的出版

第16回 1968
■海音寺潮五郎
歴史伝記文学作家としての努力と功績
■毎日新聞「教育の森」
村松喬氏を中心とするグループ。三ヵ年にわたり、一貫して戦後日本の教育の批判と向上をめざしたシリーズ
■読売新聞「昭和史の天皇」
すでに六百数十回に及び、的確な調査に基づいた、終戦時の生きた記録を興味深く除述している
渋谷天外
新喜劇のリーダーとして、同時にすぐれた作者舘直志として永年にわたり大衆に健全な笑いを提供してきた
■布川角左衛門
永年にわたり、著作権、出版権の擁護に活動。また「日本出版百年史年表」編集委員長としての努力

第17回 1969
■石川達三
社会派文学への積年の努力
■大佛次郎
「三姉妹」に代表される劇作活動
■日本経済新聞社文化部
新鮮にしてバラエティと創意に富む紙面づくり

第18回 1970
■松本清張
昭和史発掘」を軸とする意欲的な創作活動
■江藤淳
評伝「漱石とその時代」のすぐれた業績に対して
■新潟日報 特集「あすの日本海」
地域社会を原点として描く積極的な企画構成
■平凡社東洋文庫
精緻な注解を付した稀覯名著の復刻
■西川鯉三郎
文芸作品の舞踏化並びに日本舞踏に新鮮な流風を創った功績

第19回 1971
■水上勉
独自の伝記文学「宇野浩二伝」
■尾上多賀之丞
歌舞伎の脇役としてたゆまざる努力とその至芸
■黛敏郎「題名のない音楽会」
卓抜なる企画と独創的な司会に対して
■土門拳
ライフ・ワーク写真集「古寺巡礼」の完成
■H・ストラウス
出版編集人として日本文学をひろく海外に紹介した功績

第20回 1972
■豊平良顕
戦後、沖縄の文化全般にわたり保護推進してきた功績
■永井龍男
市民生活の哀歓をみごとに結晶させた作家活動
■倉林誠一郎
労作「新劇年代記」全三巻の完成に対して
■武原はん
地唄舞を今日の隆盛までもたらした功績
■山田洋次
庶民感覚にあふれる映画「男はつらいよ」シリーズに対して

第21回 1973
■吉村昭
「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品
■小林秀雄
「八丈実記」の原本を十年がかりで公刊した努力
■北條秀司
演劇協会の創始者として、また劇作家として演劇文化に貢献
■土方定一
鎌倉近代美術館長としての卓抜な企画力による業績

第22回 1974
■丹羽文雄
多年にわたり文芸同人誌「文学者」を主宰、後進育成につくした努力
■東京空襲を記録する会
貴重な記録「東京大空襲・戦災誌」全五巻の完成に対して
■城戸四郎
五十数年にわたり、一貫して日本映画の発展につくした功績
■日曜名作座
優れたラジオ文芸として、十七年間日本文学の理解、普及につとめた功績

第23回 1975
■高木俊朗
「陸軍特別攻撃隊」その戦争記録文学としての出色
■サンケイ新聞社会部
連続爆破事件犯人逮捕のスクープ
■萱野茂
「ウエペケレ集大成」を刊行し、アイヌの伝統文化を自らの手で守り続ける独自性
■近藤日出造
漫画で政治を大衆に近づけた多年の功績

第24回 1976
■戸板康二
近代批評を織り込んだ歌舞伎評を書いて三十年、劇評の権威を貫いた功績
■毎日新聞社「宗教を現代に問う」
時代が要請しながらジャーナリズムでは取上げられなかった宗教問題に取り組み、あらゆる角度から日本人と信仰の現在的な態様をとらえた独自性
■TBSテレビ「時事放談」
巧みな話術で社会時評を一千回、二十年間つづけ、政治を市民に接近させた細川隆元ほかスタッフの努力
■入江泰吉三部作
古都奈良の寺社風物と自然を索めて六年、みごとな写真芸術に仕上げた「花大和」「萬葉大和路」「古色大和路」の色彩美

第25回 1977
川崎長太郎
私小説をひたむきに書きつづけて半世紀、近作に実った精進の足跡
■E・G・サイデンステッカー
「源氏物語」英訳(完訳)をはじめとする日本文学の研究紹介につくした功績
■宇野信夫
継承困難な歌舞伎劇の唯一の伝承者として、現在も活躍しつづける貴重な劇作・演出家
■読売新聞記者 井上安正
弘前大学教授婦人殺し再審に関する報道に身をもって示した新聞記者の執念
■畑正憲
ムツゴロウものをはじめ数多の作品で人と動物の心の触れあいを描き、北海道に”動物王国”を造る迄その全生活を賭けた環境の文学
■水本光任とサンパウロ新聞
ブラジル在住の日系人75万人に対する邦字新聞としての報道、啓蒙、親善に果たした役割

第26回 1978
木村毅
明治文化研究者として一時代を画し、文化交流に在野からいくたの貢献をし、常に時代の先導的役割を果した
五味川純平
「人間の条件」「戦争と人間」「ノモンハン」「御前会議」など一連の作品によって太平洋戦争の錯誤と悲惨を問い直す執念と、その戦争文学としての結実
■毎日新聞「記者の目」
部署にとらわれず適材の記者を選び、自由にペンを運ばせて新聞記事に新風をもたらした企画
■沢田美喜と日本テレビ
「子供たちは七つの海を越えた」(番組)で、サンダースホームの歴史と現実をみごとに映像化した
■植村直己
犬ぞりによる単独北極点到達とグリーンランド縦断…・日本青年の声価を内外に高めた二大冒険

第27回 1979
■山口瞳
独自の手法により、自分の家族の生涯を赤裸々に綴った私小説「血族」に対して
■松竹演劇部・歌舞伎海外公演スタッフ
昭和三年の訪ソ公演より、本年二月のアメリカ公演まで十五回の海外公演を行ない、文字通り「歌舞伎は旅する大使館」と賞賛されるまでに至った文化交流に尽くした努力
■柴田穂
サンケイ新聞連載中の「毛沢東の悲劇」をはじめ、文化大革命当時から終始一貫、真実の報道によって読者に説得力のある分析と予見をうち出してきた新聞記者魂に対して
■文學界同人雑誌評グループ
久保田正文・駒田信二・小松伸六・林富士馬の4氏。二十数年にわたって同人雑誌評を試み、文学を志すものに大きな励みを与えるとともに、数多くの作家を育成した功績

第28回 1980
■福田恆存
昭和二十九年「平和論の進め方についての疑問」を発表以来二十六年間、渝らざる言論を貫き通してきた
■大岡信の「折々のうた」
朝日新聞第一面に活性を与えたこの珠玉のコラムは、歴史の流れに立って詩歌のこころと魅力を広く読者に植えつけた
■井上靖とNHK「シルクロード」取材班
井上靖の西域小説にかけた永年の情熱が、NHKの優れたドキュメンタリー製作陣によって、世界で初めて映像化された
■講談社「昭和萬葉集」
五十余年にわたり激動の時代を生き抜いてきた人々の感懐を、四万五千首の短歌に託した国民の昭和史全20巻の完成に対して

第29回 1981
■山本七平
日本人の思想と行動を、独自の視点から捉えた所謂「山本学」の創造に対して
■川喜多かしこと高野悦子
岩波ホールを基点として、世界の埋もれた名画を上映する「エキプ・ド・シネマ」運動の主宰者としての努力
■開高健
「ベトナム戦記」から「南北アメリカ縦断記」に至る、国際的視野に立つ優れたルポルタージュ文学に対して
■「フロイス日本史」全12巻
散逸した一級資料を蒐集し、判読困難な原典写本からの完訳を実現させた、松田毅一と川崎桃太の功績

第30回 1982
■宇野千代
透徹した文体で情念の世界を凝視しつづける教鞭な作家精神
■東京新聞「裁かれる首相の犯罪」法廷全記録
昭和五十二年一月初公判以来のロッキード疑獄裁判記録を欠かさず報道してきたユニークな紙面構成
■塩野七生
イタリアの歴史を通して現代の日本に問いかける鋭い洞察力に富んだ「海の都の物語」その他の著作
■大宅壮一文庫
わが国唯一の”雑誌図書館”として昭和四十六年以来社会に寄与してきた実績

第31回 1983
■竹山道雄
一貫して時流を批判し、常に人間とは何かを探りつづけてきた勇気ある発言…著作集(全八巻)刊行を機として
■サンケイ新聞行革取材班
一連の行革キャンペーン…特に大きな反響を呼んだ武蔵野市退職金問題を報道し、地方自治体改革の先鞭をつけた
■立花隆
徹底した取材と卓抜な分析力により、幅広いニュージャーナリズムを確立した文筆活動
■山藤章二
独自のイラストによる「ブラック=アングル」「世相あぶり出し」など痛烈な諷刺

第32回 1984
■永井路子
難解な史料をもとに、複雑な中世社会のすがたを歴史小説に導入して新風をもたらした
■山本夏彦
軽妙辛辣な文体で歪んだ世相を諷刺し、常識の復権に寄与しつづける現代稀少のコラムニスト
■日本経済新聞連載「サラリーマン」
日本の企業を支えるサラリーマンの生きがいと苦悩を、すべて実在の人物を通したドキュメントとして五年間にわたり報道し、読者の共感を呼んだ
■橋田壽賀子
家庭内における人情の機微と世相批評を、みごとにドラマの中に再現し、特に「おしん」はこの一年の話題をさらった

第33回 1985
■河盛好蔵(※)
明晰にして中正、旺盛な意欲と、豊かな常識とを合わせもったモラリストとしての文筆活動
■山田太一
家庭や職場等のごく平凡な日常を、抜群のドラマに仕上げて、人間愛を訴えつづけている
■読売新聞大阪社会部シリーズ「戦争」
戦争を庶民の視点からとらえ、新聞記者が語りついだ十年におよぶ努力
■田沼武能
世界七十八カ国、二十年にわたって、戦火・飢餓に苦しみながらも純真さを失わない子供たちを撮りつづけ、感動的な成果をあげた
■日本航空写真文化社 末永雅雄監修「日本史・空から読む」
日本の遺跡をはじめて精密な航空写真に撮り、古代人の文化、生活を解明して、古代史の研究に大きな貢献をした

第34回 1986
野口冨士男「感触的昭和文壇史」
著者自らの見聞をもとに、多彩なエピソードをちりばめて生き生きと描く貴重な文壇史
■澤地久枝
ミッドウェー海戦を克明に跡づけるとともに、不明だった戦死者三四一九名を全く個人的な努力で掘り起こした
■徳岡孝夫
気鋭のジャーナリズムとしての文筆活動のかたわら、時代の書の翻訳紹介にすぐれた業績をあげている
■槇佐和子
「医心方」とともに古代医書の双璧とされながら、難解ゆえに幻の書といわれた「大同類聚方」を初めて解読した

第35回 1987
■村松剛「醒めた炎…木戸孝允」
維新三傑の一人・木戸孝允の思想と行動を通じて今まで無視されてきた日本精神史の部分を照射した功績
■笠智衆
昭和の時代とともに俳優生活を始め、その間愛される父親像の原形を演じ続けてきた名バイプレイヤー
■岩波書店・岩波文庫創刊六十年
「万人の必読すべき古典的価値ある書」という理想を掲げて六十年、発行部数三億冊、日本人の文化的水準向上に貢献
■大山康晴
十五世名人、A級在位四十年いまなお現役棋士として活躍する一方、将棋界の発展につくした

第36回 1988
■池波正太郎
大衆文学の真髄である新しいヒーローを創出し、現代の男の生き方を時代小説の中に活写、読者の圧倒的支持を得た
■林健太郎
戦後四十年間空白に曝されてきた歴史教育を社会科の枠から独立させ、本来の姿に復活させた
■白川義員
「聖書の世界」「中国大陸」「仏教伝来」など、世界の大自然を”地球再発見による人間性回復”を理念として撮り続けている
■日本近代文学館
設立以来二十五年にわたって「近代日本文学」の資料収集保存に献身し、文学振興に大きな役割を果たしてきた
■加藤芳郎
四十年ナンセンス漫画一筋、「この人をおいて昭和の漫画は語れない」といわしめた異能の才

第37回 1989
■藤沢周平
江戸市井に生きる人々の思いを透徹した筆で書いて、現代の読者の心を掴み、時代小説に新しい境地を拓いた
■NHKスペシャル「忘れられた女たち」のスタッフ
繁栄の陰に忘れられ、四十年も放置されてきた満州開拓団残留婦人の昭和を、感動的に捉えた歴史的映像に対して
■筑摩書房「明治文学全集」
厳しい出版状況を克服して達成された明治の文化遺産の集大成、索引を含む全百巻の完成に対して
■石井勲
漢字を正しく知ることは美しく正しい心を養い、文化遺産を継承する能力を培うとの信念から、幼児教育に画期的な石井式漢字教育の指導法を樹立した

第38回 1990
■八木義徳(※)
純文学四十有余年。私小説の精髄をひたむきに追求し、独自の境地を守りぬいた
■永山武臣
伝統歌舞伎を現代の演劇として国民の間に広く浸透させ、あわせて海外公演を積極的に推進し、文化交流と国際親善に尽くした功績
■児島襄
明治維新から太平洋戦争、さらに戦後まで…外交史、戦史をふまえた独自の視点から日本の現代史を詳細に書き続けた
■兼高かおる
海外旅行がまだ夢であった昭和三十四年の第一回放映から三十余年「兼高かおる世界の旅」で、未知の国々を紹介し、われわれの身近なものとした
■島田謹二
日本における比較文学研究の創始者。あえて軍人研究をテーマに選び、秋山真之、広瀬武夫という二人の典型的な明治軍人の肖像をいきいきと描いた

第39回 1991
■白川静
東アジア古代文化への広い視野を生かし、いかに漢字が国語として摂取されたかを研究、字書「字統」「字訓」でその成果を見事に示した
■山崎豊子
「白い巨塔」「不毛地帯」「大地の子」…綿密果敢な取材と豊かな構成力で多数の読者を魅了した
■信濃毎日新聞社「扉を開けて」
増大する外国人就労という今日的問題を地方の視点で捉え、その対応をいかにすべきかを提言、日本の国際化への道を示唆した
■秋山ちえ子
TBSラジオ番組「秋山ちえ子の談話室」で健全な庶民の良識を語りつづけること三十四年、ただの一度も休むことなく、一万回を目前に迎えた快挙に対して
■思潮社
困難な出版状況に耐え、現代詩文庫(第一期百冊)をはじめとする詩作品の刊行を続けて三十五年、詩壇を支えてきた真摯な努力
■A・デーケン
迫り来る高齢化社会の中に生きる人々に指標を与え、わが国にはじめて「死生学」という新しい概念を定着させた

第40回 1992
■黒岩重吾
古代に材をとり巷説伝承を越えて、雄大な構想と艶やかな情感で、時代に光芒を放つ新しい人間像を創出した一連の歴史ロマンに対して
■島田正吾
卒寿を前になお矍鑠。朋友、辰巳柳太郎倒れ、新国劇解散の悲運にも屈せず、青春への追慕の「ひとり芝居・白野弁十郎」でパリ公演を果たし、伝統の旗を振りつづける執念
■NHKモスクワ支局
「ソ連邦崩壊」など一連のニュース・番組によって、共産主義の実態と崩壊を、映像が持つ有無をいわせぬ迫真力をもって存分に伝えた。その取材の前線を担当した功労に対して
■産経抄
二十有余年にわたり時にユーモラスに、時にするどく世相を活写し、新聞コラムにあらたな楽しさを与えてくれる、すぐれた観察眼に対して
■ひめゆり平和祈念資料館
戦争を知らない世代がふえて来たいま、鉄の暴風・沖縄戦で犠牲になった女学生たちの悲惨をきわめた全容を、戦争と教育という観点から遺品とジオラマで再現、展示した努力

第41回 1993
■杉森久英
数々の強烈な個性を的確かつ辛辣な筆致で描いて伝記小説に一時代を画し、現在も汪兆銘伝に取り組み新生面を開拓しつつある努力に
■浅利慶太率いる「劇団四季」
創立四十年、築地小劇場以来の演劇体質を否定して、斯界に新風を吹き込むとともに、はじめてミュージカルを日本に定着させ、多数の観客動員に成功した
■秦郁彦
近著「昭和史の謎を追う」など斬新かつ公正な昭和史観の確立と、「日本陸海軍総合辞典」「戦前期日本官僚制の制度・組織・人事」等、日本近現代史研究資料を編纂集成した功績
■上坂冬子
時代を直視し事物の正邪を率直勇敢に表現する旺盛な言論活動と、そのノンフィクション作家としての史眼に
■中一弥
歴史・時代小説のさし絵を、時代に忠実に、情感豊かにひとすじに描き続けてきた努力に対して

第42回 1994
■田辺聖子
王朝期から現代まで幅広く多彩な文筆活動に加えて、「花衣ぬぐやまつわる…」「ひねくれ一茶」などの評伝作品に新たな達成を果たした
■E・マクレラン
「こゝろ」「暗夜行路」等の優れた翻訳(英訳)の業績のみならず、幾多の研究者を育成して、米国有力大学に教官として奉職せしめ、今日の日本文学研究の隆盛を導いた
■和田誠
イラストレーション、ブックデザイン、推理小説の翻訳、エッセイ、映画製作のすべての分野で一級の業績をあげた上質かつ今日的なマルチタレントぶりに対して
■日本テレビ
システィーナ礼拝堂の壁画の修復作業費用を全額負担するかたわら、十三年におよび修復作業をくまなく映像で記録し、世界的文化財の保護と日欧友好に尽くした功績に対して
■中島みち
優れた評論により医療と法律の接点、及び医療・福祉の場の陽のあたらぬ部門の啓蒙・改善につくした功績、とくに「看護の日」の発案、制定への努力
■安田祥子・由紀さおり姉妹による童謡コンサート
全国くまなく「童謡コンサート」の巡演を重ね、先人の遺した美しい日本の童謡を次代に伝え、正しい日本語を普及すべく努めたこの十年間の精進と成果

第43回 1995
■柳田邦男
ノンフィクションのジャンル確立を目指して、孜々として積み重ねてきた功績に対して。最新作「犠牲 サクリファイス」は、家族の絆、脳死と臓器移植など様々な問題を問うて新境地を拓いた
■NHK名古屋放送局「中学生日記」
いじめ、不登校、親子の断絶など、思春期の子供たちを直撃する諸問題に正面から取組み、地域社会に深く根を下ろしてドラマ制作をつづけてきた三十四年の成果
■東京裁判資料刊行會
東京裁判で却下になった弁護側資料の再収集・編集の努力に対して。当時日本側が主張しようとした「言い分」の全貌を戦後五十年目にして明らかにした
■江川紹子
マスコミ沈黙の中、オウム真理教に関わって六年余、戦後最大事件の真実解明の為、沈着冷静な取材活動を行い、遂に教団を追い詰めた勇気と努力
■佐藤喜徳
戦場体験を記録し、既刊戦史の誤りを正すことを目指して、昭和六十二年の創刊以来、毎月たゆまず小冊子『集録「ルソン」』を独力で編集・発行し続け、第一級の戦史資料として結実させた努力
■野茂英雄
本場大リーグにおける夢のような快投は、震災、オウム、不況…暗い世相に沈む日本人の心に、唯一明るい灯を点じた。のみならず、苛立ちを増す日米関係に好ましい影響を与えた

第44回 1996
■城山三郎
「もう、きみには頼まない──石坂泰三の世界」「わしの眼は十年先が見え──大原孫三郎の生涯」『「粗にして野だが卑ではない」──石田禮助の生涯』など、気骨ある経営者の堂々たる人生を描き、伝記文学の新しい領域を拓いた功績
■孤蓬萬里編著「台灣萬葉集」
「日本語のすでに滅びし国」台湾にあって日本語を深く愛し、格調ある生活実感ゆたかな短歌を作家編集した業績に対して
■読売新聞社健康医療問題取材班
医療、医学の最前線を取材し、医療従事者と患者・家族の心が通い合う”優しい医療”を求める長期連載「医療ルネサンス」の企画と紙面構成
■有森裕子
バルセロナ・オリンピックのマラソン銀メダル獲得以後、踵の故障や精神的な悩みを克服してアトランタの銅メダルに輝き、さわやかな生き方で感動を与えた
■「朝の読書」運動(提唱者林公教諭)
児童・生徒が自由選択による図書を、毎朝十分間、静寂の中でひもとき、やわらかい心に読書に親しむ習慣をつける読書普及運動の成果
■市川猿之助
スーパー歌舞伎の創造、埋もれた通し狂言の復活によって歌舞伎を活性化し、ファン層を大き拡げ、門閥によらぬ若手俳優の育成にも大きな功績をあげた
■NHKテレビドラマ「大地の子」製作スタッフ
戦争の悲惨さと、父と子の恩愛を通して、日中近現代史を日中共同製作によって映像化し、国内外に大反響を巻き起こした

第45回 1997
■山田風太郎
激動の時代の生の証をとどめる「戦中不戦日記」「あと千回の晩飯」などの著作のほか、一世を風靡した「忍法小説」、歴史と虚構を自在に操り文明開化期の世相を描く「明治小説」などで、大衆文芸に新たな面白さをもたらした功績
■吉川弘文館「国史大辞典」
編纂着手より三十二年、三千五百余人の歴史学者が執筆にたずさわり、昭和五十四年から十八年の歳月をかけて刊行した総頁目数五万四千余、本格大辞典全十五巻十七冊の完結に至る努力に対して
■中坊公平弁護士と山陽放送報道部
香川県豊島の不法投棄の産業廃棄物をめぐる住民の公害調停の弁護団長をつとめ、さらに住宅金融債権管理機構社長を無給で引き受け巨額の負債処理に立ち向かう中坊公平氏の生命を賭しての活動と、その一連の活動を克明に報道し続ける山陽放送報道部
■東海林さだお
ナンセンス漫画の旗手として、サラリーマン哀歓を描いて共感を得る一方、「ショージ君」「丸かじり」シリーズでは独特の軽妙な文体を生み出し、多くの読者を魅了、雑誌読み物に新しい領域をひらいた功績
■阿久悠
他の追随を許さぬ、オリジナリティをそなえる作詞、その数約五千百。日本人の心をつかみ、絶えずヒット曲を生み続ける作詞活動三十年の業績

第46回 1998
■平岩弓枝
江戸の風物、人情を豊かに謳いあげ、日本の情緒を満喫させる「御宿かわせみ」シリーズ、世の悪を一手に引き受けた幕閣・鳥居甲斐守忠耀を描く「妖怪」など、歴史・時代小説に独自の世界を確立した
■木津川計「上方芸能」編集長
芸能の衰亡は民族の興亡にまで関わるとの理念に基き、私費を投じて季刊「上方芸能」を刊行し続けて三十年。上方の伝統芸能と大衆芸能の継承と発展に尽くし、次代を担う人材を育てた
■櫻井よしこ
従軍慰安婦、エイズ、政官の腐敗、税制、教育など多岐にわたる諸問題を、ねばり強く追求し、現下の「日本の危機」の本質を鋭く証す言論活動に対して
■「捕虜体験記」全八巻 「ソ連における日本人捕虜の生活体験を記録する会」編集
抑留者六十二万人、うち六万人が死亡した過酷なソ連強制労働体験を、延べ三百二十六人が執筆し、一九八四年から十四年をかけて全八巻にまとめあげた。思想や信条にとらわれず体験事実を尊重する編集方針を貫き、後世に貴重な記録を残した
■村上豊
卓抜で変幻自在な挿絵や斬新な構図と豊かな彩りの装幀で、画家として出版ジャーナリズムに新生面を拓いた
■NHK「ラジオ深夜便」製作スタッフ
若者向けであった深夜の放送の中に中高年齢層にも聴くに耐える心やさしい番組を定着させるとともに、定時ニュースや緊急災害時の速報など、ラジオの役割の再認識とメディアとしての可能性を拡げた

第47回 1999
■井上ひさし
戦中戦後の庶民の真実の姿を活写した『東京セブンローズ』の完成、「こまつ座」の座付き作者としての活躍、そして「ことば」をめぐる軽妙洒脱なエッセいなど、多岐にわたる文学活動の充実
■中村又五郎
歌舞伎役者として、立役から老役、老女形まで、広い芸域のますますの円熟に加え、三十年にわたり国立劇場の伝承者養成事業に携わり、伝統芸能の土台を支える後進の育成を続けた功績に対して
■産経新聞「毛沢東秘録」取材班
膨大な内部資料や回想記を渉猟し、これまで報道されなかった多くの事実をもとに、日本の新聞ジャーナリズムが初めて毛沢東と文化大革命の全体像を鮮明に浮かび上がらせた歴史ドキュメント
■宮脇俊三の鉄道紀行
旧国鉄全線完乗をはじめ世界の鉄道に乗車を続け、これまでレイルファンの趣味の読み物だった鉄道紀行を、文芸の一ジャンルとして確立した
■国立天文台「すばる」プロジェクトチーム
宇宙を見通す眼、巨大望遠鏡「すばる」を、日本で初めて外国領土ハワイのマウナケア山頂に造る、その構想から完成までの二十年間の研究者およびスタッフたちの情熱と弛まざる努力に対して
■小沢征爾と サイトウ・キネン・フェスティバル松本実行委員会
教育者・斎藤秀雄の門下生を中心に結成されたサイトウ・キネン・オーケストラによる音楽会を開催し、松本から最高水準の音楽を世界に送りつづける指揮者小沢征爾と松本実行委員会の営為に対して

第48回 2000
■佐藤愛子
紅緑、ハチローそして愛子……、欲望と情念に惑わされる佐藤一族の壮絶な生の姿を、12年の歳月をかけて20世紀の歴史のなかに描いた大河小説『血脈』の完成
■古山高麗雄
著者自らも戦った大東亜戦争・ビルマ戦線での死者と生者のありのままを、『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』の三部作に書き続けて20年、戦争のむなしさを語り伝える作家活動
■香川県琴平町「金丸座」のこんぴら歌舞伎
現存する最古の芝居小屋「金丸座」での歌舞伎公演を昭和60年以来、町をあげて継続し、江戸文化の伝統を現代に蘇らせ、新しい息吹を与えた
■永六輔
放送タレントとしてTBSラジオ「土曜ワイド」などを担当し、庶民感覚あふれる内容と語り口でラジオ放送に一層の親しみと楽しみを与えつづけてきた活動
■佐々淳行
社会の治安を乱す破壊活動との戦いに半生を尽くし、その切実な体験を『完本 危機管理のノウハウ』にまとめて刊行するなど、広く一般に危機管理の要諦を訴えた功績
■田村亮子
日本人の精神を高揚させたシドニー五輪での金メダル獲得。国民の期待を一身に背負い悲願を達成した、その弛まざる努力に対して

第49回 2001
■丸谷才一
創作、批評、書評、エッセイから対談・挨拶まで、多ジャンルにわたる知的にして旺盛な文筆活動により、日本文学に豊かな広がりをもたらした
■宮崎駿
世界的にも高水準のアニメーション作品を20年以上にわたって製作し、世代を越えて人々に感動を与えつづけた
■毎日新聞旧石器遺跡取材班
衝撃のスクープ・旧石器発掘捏造の取材・報道によって考古学界を根底から揺さぶり、日本の先史時代を大きく見直す役割を果たした
■NHK「プロジェクトX」制作スタッフ
戦後日本を築き上げた名も無き人々の挑戦の物語を描き、元気を喪失している多くの日本人に明日への勇気を与えた
双葉十三郎
半世紀以上に及ぶ、高い見識とユーモア精神に溢れた映画批評の集大成「西洋シネマ大系──ぼくの採点表」全6巻の刊行
■イチロー
米国大リーグの選手として攻走守にわたる卓越した野球術を発揮し、日本人のみならず米国人まで魅了した活躍

第50回 2002
■五木寛之
デビュー以来、現代性に富んだ作品を常に世に問い続けてきた作家活動。また多岐にわたる文明批評、とりわけ日本人の高い精神性を平易な文章で説き、広汎な読者を獲得した功績
■杉本苑子
独自の視点と手法により歴史上の人物に新しい光をあてた豊潤な作品群に対して。またテレビラジオ放送講座によって日本の歴史を親しみのあるものとした功績
■松本幸四郎
歌舞伎役者の枠を越えて、二十六歳のときミュージカル「ラ・マンチャの男」に主演、今年千回上演を達成するなど、その充実した舞台活動に対して
■倉本聰とフジテレビ一「北の国から」制作出演スタッフ
二十一年間に及ぶ前人未到の長期シリーズにより日本人の原点を見つめなおし、世代を超えて感動を与えた
■国谷裕子キャスターと NHKテレビ「クローズアップ現代」制作スタッフ
発足以来十年、千六百回を超える番組で、身近な暮らしから政治、経済、国際情勢まで、現代が抱える諸問題を平易かつ的確にレポートし続けてきた功績
■風間完
長年にわたり新聞、雑誌に小説の挿絵を描きつづけ、情感あふれる美人画、風景画で独自の境地に達した画業

第51回 2003
■渡辺淳一
医学小説から歴史小説、恋愛小説に至る幅広い作品群、また最近作『エ・アロール』で老人問題に取り組むなど、時代の抱えるテーマに果敢に挑みながら、常に多くの読者を獲得してきた旺盛な作家活動に対して。
■沢木耕太郎
ノンフィクション作品においてユニークで清新なスタイルを確立、常に単身で息の長い取材を続け、質の高い作品を世に問い続けてきた功績。
■紀伊國屋ホール
一九六四年に開場して以来、多くの若い演劇人に表現の場を与え、日本の演劇や落語などの芸能を地道に育ててきた功績。
■長岡輝子
長年にわたる舞台女優、演出家としての活動、および方言を生かした朗読によって宮澤賢治作品の新たな魅力を引き出して一般に広めた功績。
■雑誌「國華」
一八八九年に創刊以来、百十余年にわたり、質の高い図版と論考によって、すぐれた美術工芸品を世界に紹介するなど、日本の美術史学界を主導してきた文化的偉業に対して。
■夢路いとし・喜味こいし
コンビ結成以来六十年以上、第一線に立ちつづけ、近代漫才の本道を行く話芸で日本の大衆芸能を豊かなものにした。

第52回 2004
宮城谷昌光
中国古代王朝という前人未踏の世界をロマンあふれる雄渾な文体で描き、多くの読者を魅了した功績。
■木村光一と「地人会」
被爆した子供たちや母親たちの手記、日記などで原爆の悲惨さを訴える朗読劇『この子たちの夏─1945・ヒロシマ ナガサキ』を二十年にわたって全国で上演、また台本を公開して自主上演に協力し、多大な感銘を与え続けた実績。
中村勘九郎
「コクーン歌舞伎」「野田版研辰の討たれ」「平成中村座」など歌舞伎の新たな可能性を探る様々な試みを成功させ、この七月にはニューヨークで「平成中村座」の「夏祭浪花鑑」を公演し高い評価を受けるなど、歌舞伎の魅力を世界に広げた功績。
■北海道新聞「道警裏金疑惑」取材班
北海道警の裏金疑惑を長期にわたって追及し、組織ぐるみの腐敗構造を明らかにした功績。
保阪正康
独力で冊子「昭和史講座」の刊行を続け、無名の人々の証言や貴重な史料を残すべく努めるなど、一貫した昭和史研究の仕事に対して。
平凡社『日本歴史地名大系』
地名研究の精髄を集約した郷土の歴史事典を二十五年にわたって刊行し続けた志と尽力に対して。


第56回 2008
宮尾登美子
「櫂」「錦」など、日本の伝統文化や歴史の中の女性を描いた数々の名作を執筆。
安野光雅
絵画、デザインなど多方面の優れた業績と「繪本平家物語」「繪本三国志」の刊行に対して。
北九州市立松本清張記念館
各地の公立文学館が財政的に苦戦する中、水準の高い研究誌を刊行し、多彩な企画展を催すなど、開館10周年を迎えた。
かこさとし
絵本作家、児童文学者としてのユニークな活動と、子供の遊びについての資料集成「伝承遊び考」全4巻の完成に対して。
羽生善治
永世名人をはじめとする数々のタイトルを獲得し、将棋の創造性、魅力をさまざまな形で発信。

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