高円寺駅前の植込みでは、白花ツツジのつぼみがいっせいに自己主張。油断してると咲いてしまうぞと、人間をどやしつけているかのような勢いだ。街路樹のハナミヅキも、開花し始めている。いずれもわが町より早い。 西部古書会館があるから、かつて高円寺駅には頻繁に下車した。古書会館以外にも、特色豊かな有力古書店がなん軒もあったから、高円寺は好天に恵まれた週末の小一日を、独り歩きで愉しむに恰好な街だった。 が、近年はめっきり回数が減った。高架線下の雑多地帯を整理・美化する自治体方針だろうか、個性的古書店が次つぎに姿を消していったからだ。それ以上に、読む時間がもはや残されてないにもかかわらず、念のために押えておい…