「まあ、何をなさいます!?」小侍従が叫びました。「そなたも乗るのだ。来なさい」「急にそのようなことをおっしゃられましても困ります。どなたのお許しもいただいておりません。姫が落ち着かれましたら、後日改めてお迎えくださればよろしいではありませんか」「私のそばに引き取りたいとずっと前から思っていたんだ。残念ながら、愛しの姫君は華やかな御所へ上ってしまわれたわけだが。数ならぬ身の私と雲上人を束ねる帝とを比べれば、姫君の判断は賢明だったかもしれないね」おろおろする小侍従に、楽しげな愚痴を向ける東雲の宮。気の毒なのは山里の姫君です。幼い頃からなじんだ家で、心身ともにようやく落ち着けると思った矢先に宮のこの…