あと何年自分の足で歩き自由にどこへでも行けるか。 これは若い時には考えもしなかった。 母が亡くなり、父が寝たきりになった時、ハッとしたのが最初である。 今の平均寿命が何歳でも、元気で動き回れる年齢がいくつなのか、大事なのはそこだ。自分の意思で、自分が行きたいところに行けるということが、本当に生きているということではないのか。 その当時寝たきりの父は、なんとか自分でトイレに行けるまでに1度は回復した。その後もデイサービスに週に2回出かけた。楽しみは誰かと将棋をすることだった。これこそが生きているということだろう。 その後まただんだんと機能が衰えて、幻覚や夢を見ているようなことを言うようになった。…