🪷【源氏物語440 第14帖 澪標14】父は 宮内卿の宰相、母は父帝の女房であった宣旨の娘を乳母として明石に赴くことを交渉する。宣旨の娘は承諾する。 〜明石のような田舎に 相当な乳母《めのと》がありえようとは思われないので、 父帝の女房をしていた宣旨《せんじ》という女の娘で 父は宮内卿《くないきょう》宰相だった人であったが、 母にも死に別れ、寂しい生活をするうちに恋愛関係から 子供を生んだという話を近ごろ源氏は聞き、 その噂《うわさ》を伝えた人を呼び出して、 宰相の娘に、 源氏の姫君の乳母として明石へ赴《おもむ》くことの交渉を始めさせた。 この女はまだ若くて無邪気な性質から、 寂しい あばら屋…