いつしかも 袖《そで》うちかけん をとめ子が 世をへて撫《な》でん 岩のおひさき 源氏は明石に乳母を派遣した。 源氏の心は明石に傾き尽くしていた。 (明石に by 源氏の君) 〜早くわたしの手元に姫君を引き取って 世話をしてあげたい 天女が羽衣で岩を撫でるように 幾千万年も姫の行く末を祝って 【第13帖 澪標 みおつくし】 京の間だけは車でやった。 親しい侍を一人つけて、 あくまでも秘密のうちに乳母《めのと》は送られたのである。 守り刀ようの姫君の物、若い母親への多くの贈り物等が 乳母に託されたのであった。 乳母にも十分の金品が支給されてあった。 源氏は入道がどんなに孫を大事がっていることであ…