鈴木健による著書。 情報技術が社会に与えるインパクトを、生命史における細胞の起源に遡り、網から膜と核が生成するという視点から社会制度やメディア論を位置づけ、伝播投資貨幣PICSY、分人民主主義Divicracy、構成的社会契約論などの具体的な手法を提案する。 勁草書房より2013年1月28日刊行。
なめらかな社会とその敵
『なめらかな社会とその敵』を読みました。 哲学、生物学、数学、物理学、金融など幅広い知識にて世の中を捉えられており、物事の視点の広さに理解が追いついていないものの、 重要だと思ったポイント3つ挙げます。 ①なめらかな社会とは ②PICSYについて ③自由について それぞれについてポイントと感じたことを以下に記します。 ======================= ①なめらかな社会とは そもそも境界自体を消し去り、なめらかな社会をつくることはできないのだろうか。 それは、今までの社会がもっていた、世界を単純に観ることによって成立してきた秩序を破壊することに他ならない。複雑な世界を複雑なまま生き…
今から10年ほど前、まだ「デジタル ・トランスフォーメーション」という言葉が人口に膾炙する前に、デジタル 情報技術が事業環境にもたらす変化について整理しようとしていて、それを「マーケティング・ジャーナル」で発表し、その内容をもとに、講演などで紹介していたことがありました。 当時の「マーケティング・ジャーナル」の論文はこちらに公開されています。 当時の講演の資料は、2012年1月20日に「嶋口・内田研究会」で講演の機会をいただいた際に使ったものが私の手元に残っておりました。そのときに使ったスライド3枚を再掲します。最初のスライドは、Paul Baranが提案した分散型のネットワークを説明したもの…
鈴木健『なめらかな社会とその敵 PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論』を読みました。2013年に出版された本ですが、フェイクニュースや政治の分断の問題など今日的な問題に通じることがたくさん書かれていて、とてもおもしろかったです。なめらかな社会とその敵作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行本 インターネットというテクノロジーの発達によって、社会がどう変わっていくのかということが書かれています。 限りない数の挫折を繰り返した後に、私たちが見ているような現代の普通選挙が、世界史の中で安定的に現実化したのはごくごく最近のことだ。その実現のために多くの血が流れ、失敗の教訓は知…
なめらかな社会とその敵 作者:鈴木 健 発売日: 2013/01/28 メディア: 単行本 運動を開始するシグナルとなる準備電位は、その運動しようとする意志のタイミングよりも300ミリ秒ほど早く始まると言うことである。つまり、意志より前に運動が始まっていると言うことになる。リベットの解釈によれば、意思と言うのはいわば拒否権である。自由意志と言うのは、複数の並行して回避される運動プロセスの中から、適切でないプロセスを拒否する機能に過ぎないと言う。だから自由意志は運動の準備電位の前でなく300ミリ秒後に起きると言うことになる。その適切さが「一貫性」を意味するときに、人は運動を後付けで合理化すること…
井上智洋『純粋機械化経済』(2019)を先日読んでとても面白かったから、このあとは次の鼎談を視聴しようかと思っている。(飯田泰之『日本史に学ぶマネーの論理』も読んだし) shirasu.io それにしても、ゲンロンカフェでは識者が酔っ払うのが面白い。茂木健一郎さんはもとより、三浦瑠麗さん、國分功一郎さん、與那覇順さん、いずれも唖然とした。飯田泰之さんもいい感じになっている! リラックスできる空間なんだろう。そして酔っ払うと驚愕の本音(真理)が出る。マジ貴重。 『純粋機械化経済』は大風呂敷を広げる本。しかし、世界史を通して経済を総覧して初めて、AIが関与する近未来の経済の本質は見極められると思え…
こんにちは。READYFOR(レディーフォー)で CTO をしている町野です。 READYFOR Advent Calendar 2020 の25日目の記事になります。 はじめに 早いもので、2019年に READFOR に CTO に参画して、もうすぐ2年が経とうとしています。当時まだ10名に満たなかった開発チームは倍以上の人数になり、おかげさまで全社の社員数も100名を超える規模にまで成長しました。 組織が一定の規模を超えてくると、その規模に合わせた組織の構造化が必要になってきます。この記事では、READYFOR のプロダクト開発体制をご紹介しつつ、組織設計において必ず問題になる「境界マネ…
2020年ほぼ毎週本読もうと意気込んでいたんですが、その結果、56冊読んでいました! せっかくなので「冬休み本読みたいけど、どんな本読んだらいいか分からん」という人向けに以下カテゴリーでまとめてみました 【経営】 経営_全般 7冊 経営_採用 2冊 【スタートアップ】 スタートアップ_網羅 5冊 スタートアップ_カテゴリー特化 9冊 スタートアップ_人 6冊 【生き方】 生き方_現代 10冊 生き方_近代 9冊 【世の中】 世の中 6冊 【その他】 その他 2冊 【経営】 経営_全般 7冊 『世界標準の経営戦略』 ”「なぜそうなのか」が説明されなければ、それは理論ではない。”という言葉通り、経…
鈴木健氏が2013年に出版した「なめらかな社会とその敵」から、その鍵となる「膜=核=網」のモデルを整理するために、関連するテキストを再録します。 はじめに 「私的所有は、人類という種に固有の現象のように思われがちだ。だが、それは誤りである。私たちは、私的所有を生命の歴史の中に位置付けなければならない。そのことによって【網】的な世界から内部と外部を分離する【膜】と小自由度で大自由度を制御する【核】が、繰り返し生まれてくる描像がみえてくることだろう。」 【膜】について 「細胞膜の内側はひとつのシステムとして自律性を持ち、弱い意味での一人称性、主観性が立ち上がり始める。あらゆるプロセスが、膜を維持す…
起業家のように考える! こんにちわ、ゆーたです。 (@yut33028) 僕個人、起業や事業のサービス展開の仕方など興味があって よく〇〇の創業や、創業者の思いを綴った本を読むのですが、 その中でおすすめしたい本がありますので、簡単にまとめたレビューとともに ご紹介したいと考えています。 ご紹介する本は「起業家たちのように考える」というタイトル。 起業家のように考える。 [ 田原総一郎 ] この本は、ビジネスや自分の事業を立ち上げるに際し、 先人たちがどのように起業したのか。 今最も勢いのある日本の起業家と、テレビ「朝生」でお馴染みの、 田原総一郎さんがインタビュー形式でまとめられた本になりま…
伴名練(はんな・れん)という作家さんの名前を初めて知ったのは、『アステリズムに花束を』というアンソロジーを読んだときです。 アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2019/06/20 メディア: Kindle版 ただ、そのときはとくにこの作家さんの作品がすごくよかったという印象は、正直な所ありませんでした。 本書に収録されていたのは『彼岸花』という、吸血鬼が登場する往復書簡形式の耽美的な作品だったのですが、あんまりSFっぽい感じがしなかったからです。 その後、『なめらかな世界と、その敵』が刊行されたことは知っていたし、SFの単行本としては異例の売れ行きを見…
★著者情報なし、著者不明(書名五十音順) 『旧約聖書(創世記、出エジプト記、イサヤ書、伝道の書)』(#595) 『古事記』(#710) 『西遊記』(#1068) 『世界の夢の図書館』(#1714) 『東日本大震災 レンズが震えた』(#1054) 『ヨブ記』(#596) ★アンソロジーいろいろ(五十音順) 『アメリカの黒人演説集』(#1046) 『アンソロジー カレーライス!!』(#1755) 『厭な物語』(#2329) 『美しい子ども』(#1660) 『エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 憑かれた鏡』(#1388) 『きのこ文学名作選』(#1431) 『どこにもない国 現代アメリカ幻想小説…
「なめらかな世界と、その敵」を読む。 なめらかな世界と、その敵 作者:伴名 練 発売日: 2019/08/20 メディア: Kindle版 すごく評判になっていたし、大いに思考を刺激された「なめらかな社会とその敵」っぽいタイトルだからそういう社会を踏まえた作品なのかなと思ったらそうでもなかった。面白いっちゃ面白いんだけど、あまり肌に合わなかったというのが正直な感想。 現代日本から明治時代の日本、ソヴィエトだったりと色んな世界を舞台に、それぞれの背景を踏まえたSF的な想像力で描き上げる物語はどれも巧みだと思う。コンセプチュアルで完成度の高い短編集であることは間違いない。ただ、表紙の絵からしてその…
今回はエッセイ『すべて名もなき未来』を紹介します。樋口恭介による著作であり、2020年5月27日に晶文社から発売されました。
樋口恭介さんの新刊『すべて名もなき未来』について、目次を読んだだけで盛り上がってしまい、以下のツイートをした。樋口恭介さんの新刊『すべて名もなき未来』だけど、目次に名前が出てくる書名を見ているだけで、これだけ盛り込んでどんな本なんだよ、と期待が高まるものがあるhttps://t.co/merN6uyRuM— yomoyomo (@yomoyomo) May 17, 2020 するとこのツイートを目に留めてくださった晶文社の安藤さんから『すべて名もなき未来』をご恵贈いただいた。すべて名もなき未来作者:樋口恭介発売日: 2020/05/27メディア: 単行本すべて名もなき未来作者:樋口恭介発売日:…