・・・愛する者の死を生かす唯一の方法・・・ 私は関東大震災を知らないが、どの場合にも日本人は、まずかけがえのない「愛する者たち」の命が失われたことに、人生観が根本から変わるほどに深い衝撃を受けたはずだ。どんな生涯も貴重なものであった。それが失われたことを、心底激しく悼んだ。戦争も天災もその点では同じ残酷な運命であった。その死を悼む思いは別にして、私たちは常に人生からも、今回は地震からも学ばねばならない。それが人間の分際というものだ。そして、今、私の耳には再びアウグスチヌスが「存在するものすべては善である」と考えた強烈な叡智 の言葉が聞こえてくるような気がする。いかなる運命からも学ばない時だけ、…