グリム童話集。原題は「Kinder- und Hausmarchen」。ヤーコプ・グリムとウィルヘルム・グリムの兄弟による再話。 「赤ずきん」「シンデレラ」「ラプンツェル」「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫(厳密には「雪白姫」)」など、有名な話がある。一方で、ただ単に、皆さんが集まって人をやっつける「コルベス様」のような陰惨と言うか不条理なものもたくさんある。
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その56 『つぐみのひげの王さま〈KHM52〉』 あらすじ(要約) どこかの王様が、姫をもっていました。姫は美人ですが、気位が高く威張っていて、嫁にほしいと言っても相手にしませんでした。一人ひとりに肘鉄砲を食わせからかうのです。 あるとき、王様は宴会を催し、姫を嫁にほしいという人たちを招きました。呼ばれた人たちは、身分に従って一列に並び整列すると、姫は誰を見ても欠点を探し出すのでした。 初めは太りすぎで「酒樽」 背が高すぎると「背高のっぽは、ふらふら」 背が低すぎて「ずんぐりみじかの、ぶきっちょう」 血の気がなさすぎて「死神の青んぞう」 赤すぎて「小作料代わ…
映画『スノーホワイト 白雪姫とドワーフの魔法』:嫉妬深い女王とドワーフの秘宝 女王の魔法の鏡は、この世で最も美しいのは自分だと毎日告げていました。しかし、女王の姪である白雪が成長し、その美しさで女王を凌駕するようになると、女王の心には強い嫉妬が芽生えます。白雪の抹殺を恐れた女王の兄ギリグは、彼女を森へ逃がしますが、その真の目的は殺害でした。危機一髪でドワーフたちに救われた白雪は、彼らが女王のために作っているという「永遠の若さと美貌、そして支配の力」をもたらす魔法のウィッグの存在を知ります。このドワーフたちが作ったウィッグを手にすれば、永遠の若さと衰えない美貌が手に入り、さらに民も惑わせ、すべて…
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その55 『めっけ鳥〈KHM51〉』 【あらすじ(要約)】 昔、山林の番人がいました。狩りに森に入ると、喚く声が聞こえました。その声は小さい子供のようでした。声のする方へ行ってみたら、木の高いところに子供が座っていました。これは、母親が子供と木の下で寝込んでいたのを鷲か何かが膝にいる子供を見つけ、さらってこの木の上に置いたのです。 山番は子供を降ろし、家に連れて帰り、レンぼうと一緒に育ててやろうと考えました。 子供二人は大きくなりました。木の上で見つけた子は、鳥がさらってきたので、「めっけ鳥」と名がつきました。めっけ鳥とレンぼうは、大の仲良しでした。 山番の…
今日は実写版眠り姫こと、「眠れる森の美女」の悪役視点版『マレフィセント』が地上波で放送されています。 大学時代に師事していた教授から、教授が大学辞めるときにもらったちくま文庫のグリム童話集。私の家宝のひとつです。 エロチックメルヘン3000年 作者:金成 陽一 講談社 Amazon 完訳 グリム童話集 全7巻セット (ちくま文庫 く5-0) 作者:グリム兄弟 筑摩書房 Amazon 【セット】完訳 グリム童話集 全7巻セット (ちくま文庫 く5-0) グリム兄弟価格: 9800 円楽天で詳細を見る 原作を読んでからディズニー作品を見ると、だいぶ大衆向けに加工されていることが分かります。それにし…
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その54 『野ばら姫〈KHM50〉』 あらすじ(要約) 昔、王様とお妃がありました。 「なんとか子供が一人欲しい」と毎日言っていましたが、いつまで経っても子供はできません。 あるとき、お妃が水を浴び清めているところへ蛙が一匹這い上がってきて「お妃様の願いは叶います。お姫様が産まれるでしょう」と言いました。 お妃は女の子を産みました。お姫様は美しかったので、王様は嬉しくて祝宴を催すことになりました。 王様は親戚や友達、神通力を持った女たちまで招きました。神通力を持った女は、この国に13人います。しかし、その女たちの食事に使う金の皿は12枚しかないので、1人だけ…
ドイツのブレーメンにやってきました。ブレーメン出発が遅れれば遅れるほど、渋滞に巻き込まれてアムステルダム着が遅くなるので、駆け足で周ります!【2024年5月】
ハンブルクからアムステルダムへ帰る途中、ブレーメンに立ち寄りました。ハンブルクからブレーメンへは車で約2時間、ブレーメンからアムステルダムまでは約4時間です。【2024年5月】
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その53 『六羽の白鳥〈KHM49〉』 あらすじ(要約) 昔、ある王様が森で狩りをしていました。獲物をわき目もふらず追い、家来は後に続くことができませんでした。日が暮れ、道に迷ったことがわかりました。 そのとき、婆さんがやってくるのが見えました。それは魔女でした。 「お婆さん、森を抜ける道を教えてもらえませんか」と王様が声をかけました。 「いいですよ、王様」と老婆は答えました。「一つ条件があります。もしその約束をしなければ、この森から出られず、餓死することになります」「どんな条件かの」と王様が尋ねました。 「私には娘がいる」と老婆は言いました。「娘は美しく、…
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その52 『ズルタンじいさん〈KHM48〉』 あらすじ(要約) お百姓がズルタンという名前の忠実な犬を飼っていました。 強いズルタンもお爺さんになり、歯が全部なくなってしまったので、物をしっかり咥えることができなくなりました。 ある日、お百姓がおかみさんに「ズルタンじいさんを明日撃ち殺してやる。もう役に立たない」と言いました。 おかみさんは、かわいそうに思って「長いこと奉公してくれてので、一生飼ってやっていいと思うわ」と答えました。 「あいつはもう歯が一本もない。怖がる泥棒なんてもういないよ」と亭主が言いました。 犬はかわいそうにこの話を全部聞いてしまい、明…
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その51 『柏槇(びゃくしん)の話〈KHM47〉』 あらすじ(要約) 昔、金持ちの男に美しい妻がいました。妻は子供を授かるようにとお祈りしますが、いつまでたっても授かりせん。 二人の家の前に柏槇という木がありました。妻はその木の下に立ち、林檎の皮をむいていましたが、指を切り、血が雪に落ちました。 妻は血を見て、やるせない気持ちになり「血のように赤く、雪のように白い子供がいたらいいのに」と言いました。 1ヶ月がたつと雪が消え、2ヶ月で緑、3ヶ月で花が咲きました。4ヶ月で森の木々が濃くなり、鳥たちが囀り、花は梢から舞い落ちました。 5ヶ月たって、妻は柏槇の木の下…