ピンポーン アパートのインターホンが鳴った。さて、お客さんですか。今日も今日とて、どんな用件ですかなあ。 人助けのヒーローこと、ざんねんマン。テレビをポチリと消すと、玄関に向かった。 「は、はじめまして。僕、就活中の大学生です」 リクルートスーツがビシッと決まっている、といいたいところだが、腰のところでシャツがはみ出ている。ひげも、そり残しがちらほら。うーん、少し残念だ。 相談はシンプルだった。「カッコいいビジネスマン」になるよう助けてほしいのだという。 「まあその、あれです。『世界を股にかける』、的な。それとか、『六本木でブイブイいわせる』、的な」 颯爽とオフィス街を歩く未来の自分を想像した…