萩尾望都氏はあちこちで「グレッグを描いていて辛くありませんでしたか?」という質問をされそのたびに「それが楽しくて仕方なかったんですよ」と答えるのを繰り返しています。 むろん萩尾氏は自分自身の辛かった時期を重ねて本作を創作したはずですがこれまでと違って親側に感情移入してしまったということでしょうか。 夏目漱石は小説を書くことで自浄作用があった、と『「坊っちゃん」の時代』に描かれていましたが萩尾氏も本作を描くことで何らかの自浄作用があった、ということなのでしょうか。 ネタバレします。 確かに、執拗にグレッグのジェルミへの性暴力は繰り返し描かれていく。 他のこういった作品であれば衝撃的な描写の後では…