何故だろうかしっかりと箱に入れて置いてあった。横浜からこの高原への引っ越しの際に多くのものを捨てたが、これは残してあった。箱を開けると青い靴がでてきた。サイズは22.5。それは小さなナイロンの軽登山靴だった。 もう三十五年も昔だろうか。当時交際していた女性とお揃いの軽登山靴を買った。毎月買っていたアウトドア雑紙の記事に紹介されていた靴だった。何かとても履きやすそうに思えた。自分もまだ山を初めた頃で経験不足で単独ならまだしも女性と、ましてや交際相手と歩くのは不安があった。きっと本格的な装備を、とでも思ったのだろう。それを履いて相模湖ピクニックランドの向かい側にある山に登った。観覧車は未だなかった…