フランスの小説家ミシェル・ウェルベックの『素粒子』(Michel Houellebecq, Les Particules élémentaires)は1998年にフランスで刊行され、世界30ヶ国で翻訳されている彼の代表作品である。2006年には、ドイツの映画監督、オスカー・レーラーによって『素粒子』(原題:Elementarteilchen)は映画化されている。本論では原作における『素粒子』の特徴を分析し、レーラーによる映画版の原作からの変更点とそれによる効果を分析したものである。 原作について 原作『素粒子』はプロローグとエピローグで両端を挟んだ中身が、ミシェルとブリュノという男2人の母親が…