支援金は1000万円。受け取るのは遺族ではなく、手術を受けた本人だ。体に種を埋められた人間は、そこからおよそ2年かけて少しずつ植物へ変わっていき、最後は一本の木や一輪の花になって動かなくなる。金は、その2年を好きに使うために先に渡される。 完全に植物へ変わった元人間は「霊花」と呼ばれる。わずかな光からでも酸素を作れるため、原則として国が所有する資源に分類され、傷つけることも壊すことも禁じられている。 制度が必要になった理由のほうは、空を見上げれば分かる。厚い雲が日光を遮ってから100年、地上には冬と夜ばかりが続いている。植物の大半は枯れ、人類は酸欠状態に置かれた。人間を植物に変えて酸素を確保す…