あまりむずかしい主義主張をふまえた上で書いている詩人の詩は、読んでいても、わたしには、いまいちピンとこない。もちろん詩は、なんらかの意味の伝達が目的ではないにしろ、本当に混乱しているとしか感じられないような詩は、たいていの場合、読まれなくなり、歴史の片隅に消えていく。そういうものじゃないかと思う。 手軽に読める、わかりやすい詩集はないかと探しているときに、本屋の本棚に『プレヴェール詩集』(岩波文庫、小笠原豊樹訳)を見つけた。簡単に、この本について書こう。 表表紙の紹介には、「恋愛映画の名脚本家であり、シャンソン「枯葉」の作詞家でもある、フランスの国民的詩人ジャック・プレヴェール(1900-77…