中国最高のSF作家である劉慈欣の『三体』はホッブズ的文明観をド派手に展開している。つまり、「万人は万人にとって狼である」を「すべての宇宙文明はすべての宇宙文明にとって狼である」という立場から、「暗黒森林」なる説をプロットに盛り込んだ。 これをフェルミのパラドックスの根拠にするとどうなるか? 「引きこもり」異星文明というあり方もあろう。外からは観測できないし、生存しているしるしも見せない。しかしながら、自分が発生した恒星系を脱した高度な文明はそういうわけにはいくまい。何らかの強力な通信手段をもつ必要がある。それは外宇宙まで漏洩するであろう。 暗黒森林説に依拠するなら、高度な暗号化を行うことになろ…