言葉は、いつでも湧き上がってくる。 書きたいこと、伝えたいこと、誰かに届けたいと思うこと。それはいくらでもある。頭の中では、ちゃんと形になっている気がする。でも、それを他人の胸に届く文章にしようとすると、急に手が止まる。 説得力のある言葉には、経験の裏付けが要る。ただの経験ではなく、人の根っこを揺さぶるような経験が。 私たちが経験してきたこと、していないこと 私たちの世代は、災害を知っている。地震、台風、洪水。その恐怖も、その後の喪失感も、少なからず身に染みている。けれど、戦争だけは知らない。映像でも、書物でも、戦争を学ぶことはできる。だが、それは「知識」であって「経験」ではない。その区別は、…