うまく入れた。 まつりが微笑むのが見えた。僕のソロ。サビまで一人だ。 届くだろうか、聴いている人に。いや、まつりに。 「夢のようにきみは舞い降りた」 冬の乾燥した空気の中で、高いキーがつらかったが、なんとか切り抜けた。 二番はまつりだ。 「ふたりで歩いた道のりは いつもなぜだかでこぼこで」 短い道のりかも知れない。僕たちはまだ十六だ。 でも、その人生の三分の一、いっしょにいたのだ。 僕の思いをまつりはどう思うのだろう。 サビ、まつりと同じフレーズを歌う。 「五回の春夏 秋と冬 出会えてよかった五年の気持ち 溢れてくるから 受け取ってくださ 五回の季節を 振り返る すべての場面に五年の月日に 変…