「人生の価値とはなんですか」と、ある若い方から突然尋ねられた。あまりにも直球で、しかも深い問いだったため、私はその場で言葉に詰まってしまった。沈黙の後、「うーん……」という間の抜けた声を発するのがやっとだった。日常の会話の中で不意に投げかけられるには、あまりにも重いテーマだった。 この「人生の価値」という言葉は、耳にすれば誰もが何となく意味を分かった気になる。しかし、いざ説明しようとすると、急に言葉が出てこない。なぜだろうと考えてみると、そもそも我々は普段から「人生の価値」について深く思いを巡らせながら生きているわけではないからだろう。目の前のやるべきこと、日々のタスク、仕事、人間関係、社会の…