佐藤正午『Y』(ハルキ文庫、2001)を読む。(元版は1998年に角川春樹事務所から刊行) 1998年の8月下旬、主人公・秋間文夫に一本の電話がかかってくる。電話の相手は北川健と名乗り、自分は高校時代の同級生で、秋間の親友だったと言うが、当の秋間にはまったく覚えがない。北川は自分が体験した奇妙な出来事を物語にしたので、ぜひ秋間に読んでもらいたいと言って電話を切る。 数日後、秋間は北川の代理人という女性から、一枚のフロッピーディスク(この辺が時代を感じる)と多額の現金、そして秋間が知るある女性名義の預金通帳を押し付けられるように受け取る。 そのフロッピーディスクに記された物語とは……。 (以下、…