さくらさんは、最近は落ち着いてきたのだけれど、以前は夜寝てから朝起きるまでに、最低でも3回はトイレに起きていた。年を取ると、夜中のトイレ通いも一仕事だ。 トイレから戻ると、ベッドにごろんと倒れ込み、布団を掛けずに寝てしまうこともある。 私はさくらさんの部屋と二間続きの部屋にベッドを移動し、いつでも様子がわかるようにしている。そのせいか、自然と1〜2時間おきに目が覚めるようになってしまった。 さくらさんは歩行器を使って歩くのだけれど、その歩行器には郵便局でもらった「赤いポスト型の磁器製の風鈴」を下げている。そのコロコロというかわいい音が、「移動アラーム」になる。 音がベッドに戻ってくると、「ちゃ…